第389回/頑張るお兄さんに花束を - 妹のコミュ力が皆無な件。(さつき晴れ) - 学園・青春
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第389回/頑張るお兄さんに花束を - 妹のコミュ力が皆無な件。(さつき晴れ)

学園・青春
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妹のコミュ力が皆無な件。

妹のコミュ力が皆無な件。準推薦
■制作者/さつき晴れ(ダウンロード
■ジャンル/妹更生奮闘ノベル
■プレイ時間/20分

家入こもりは、超がつくほどの人見知り。今日は高校の入学式だというのに、学校に行こうともしない。見かねた兄の明人は、無理やりこもりを学校に引っ張っていき、何とか友人ができるように、陰ながら奮闘するのだが、当のこもりはまるでやる気なし。果たしてこもりに無事友達ができ、楽しい高校生活を送れるのだろうか?

ここが○

  • 脇キャラにもちゃんとしっかりした役割がある。特に優子はいいキャラ。
  • 主人公である兄の頑張りに共感できる。
  • ちゃんとこもりが自分の力で成長する。

ここが×

  • こもりの性格は、ちょっと極端過ぎるかも。
  • 主人公にも、ちょっとはいい目を見せてあげても良かったかも。
  • タイトルにひねりがあっても良かったかも。

■頑張るお兄さんに花束を

3年近くのブランクを経て、ブログとして「NaGISA net」の更新を再開し、新しいノベルゲームのレビューも少しずつ書いていく事にしました。改めて宜しくお願いいたします。

再開1回目は、気軽に読める短編学園もの。いわゆる「妹もの」作品です。この手の作品って意外といっぱいありますが、バランスよく作るのはなかなか難しいものです。変に恋愛方向へ振ると噓っぽくなりますし、かと言って淡々と語っても面白みに欠けます。

妹のコミュ力が皆無な件。その点この作品は、まず恋愛方向へは一切振っていない(少しだけ、こもりが兄への感情を吐露するシーンもありますが、あれくらいなら十分許容範囲でしょう)のですが、それでいて退屈な話にはなっていません。こもりの、少し極端とも言えるキャラクター付けは最初は面食らうと思いますが、そのキャラクターが物語の重要なキーでもあります。

こもりがちょっと極端なキャラであるのに対し、主人公である兄の明人を始め、他のキャラクターはしっかりした常識人の性格付けである上、各キャラクターの配置バランスがとてもいいと思います。変に受けを狙った、マンガ的な言動がないので、キャラクターにリアリティがあるのが好印象です。

特に、サブキャラではあるものの重要な役どころを担う優子は、とてもいいキャラクターです。この作品は選択肢一つで二種類のエンドに分岐するのですが、バッドエンドの方で優子が明人に言い放つ言葉は、プレイヤーの胸にもぐさりと突き刺さるかも知れません。本当に大事な事には、自分で向かい合わないといけないという事を、彼女は教えてくれます。

そしてグッドエンド。一見問題から逃げてしまったかに見えるこもりが、今度は優子のために勇気を出す場面が、この作品の一番の見どころです。ちゃんとこもりが、自分の力で問題を解決し、人間的にも一歩成長するところを見せてくれます。短編ですが、非常に構成の優れた作品だと思います。

結局、こもりにしても優子にしても、二人を本当の友達として結びつけたのは、二人の「自分がどう思われるかを気にせず、相手の事をまず思う心」だったように思うのです(主人公である明人もそうですね)。こういう友情は、きっと長続きするはずです。友情ドラマとして、短編でこれだけのメッセージ性を持たせ、かつエンターテインメント性も犠牲にしていないというのは、大した筆力です。

この物語は、見た目は萌え系のようにも見えますが、変にそういう方面に色気を出さなかったことが、優れたストーリー構成となった一因のように思えます。この作者さん、これが処女作との事なのですが、一作目でこれだけのものを書けるのですから、これ以降の作品も大いに楽しみですね。

主人公は徹頭徹尾妹を手助けする役目に終始するんですが、主人公にも少しいい目を見せてあげても良かったようにも思えます。ただ、これだけの短編ですから、そこまで盛り込むと話の焦点が定まらなくなった恐れがあるような気もしますし、これでいいのかも知れませんね。

ツールはティラノスクリプト。プレイ時間は20分から30分。選択肢は一箇所だけで、その選択肢でグッドエンドとバッドエンドに分岐します。後からバッドエンドを見てしまうとあまり収まりが良くないので、先にバッドエンドを見る事をお勧めします(恐らくどちらがバッドに行く選択肢なのかは、見ればすぐ分かります)。短編としては非常によくできた構成の秀作です。是非プレイしてみてください。
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