第393回/勇気で踏み出す十三階段 - ななしのおろち 春(BLUE AZALEA) - ホラー
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第393回/勇気で踏み出す十三階段 - ななしのおろち 春(BLUE AZALEA)

ホラー
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ななしのおろち 春

ななしのおろち 春準推薦
■制作者/BLUE AZALEA(ダウンロード
■ジャンル/ホラーアクションコメディノベル
■プレイ時間/2時間

中学生の赤月倫と藍澄重深歌は仲のいい親友同士。ある日重深歌は、夜の廃校探検に出かけるが、行方不明になってしまう。心配した倫は、勇気を奮いおこして重深歌を探しに出かける。そんな倫の元に届く謎のメッセージ。そして倫の前に現れたのは。テンポの良さで楽しく読める、一話完結式のホラー風コメディ。

ここが○

  • 生き生きしていてよく立っているキャラクター。
  • バランスの良い構成。
  • テンポが良く盛り上がるアクションシーン。

ここが×

  • 絵柄が巧みとは言い難い。
  • メタ発言が多いのが気になる。
  • キャラクターのバランスが少し良くないかも。

■勇気で踏み出す十三階段

今回は、私にしては珍しいホラー風の作品のご紹介です。この作品は、存在は知っていたのですが、今までずっと手を出してきませんでした。というのも、私はホラーが大の苦手なのです。右のカテゴリー一覧を見ても、ホラーが異常に少ないのがお分かりかと思います。もう、昔から苦手なのです。苦手なものは仕方ありません(笑)。

が、いざプレイしてみると、今まで敬遠していたのが(いい意味で)馬鹿馬鹿しくなるような、大変楽しい作品でした。ホラー風アクションコメディノベル「ななしのおろち 春」のご紹介です。「ゲゲゲの鬼太郎」風とでも言えばいいでしょうか。要するに、中学生の女の子二人組が、悪い妖怪(?)を退治していくというお話です。

ななしのおろち 春舞台はとある中学校。仲の良い二人組の女の子の会話からスタートします。会話がちょっとぶっ飛んでいるのですが、すぐに事件が起こります。重深歌が夜の廃校で行方不明になるという、緊張感のある出だし。それを、倫が助けに行くというところからお話がスタートします。会話の文章では、キャラの名前ではなくキャラの顔グラフィックが表示されるという、独特の仕様です。

この作品、絵は正直巧みであるとは言い難いです。しかし、キャラクターの性格や世界観にはよく合っていて、読み進めていると愛着すら感じてきます(笑)。キャラクター描写自体はとてもよく描けていて、やり取りもくどくない範囲で軽妙です。特に、十三階段がお気に入り。弱さも見せながら戦いに臨むところ、お茶目なところや恋する乙女的な一面を見せてくれるところなど、とても魅力的なキャラクターです。

また、物語の構成がとてもよくできています。今回は第一話と第二話が収められていますが、いずれも、序盤はゆるゆると引っ張りつつ徐々に事件が起こり、イベントも交えて盛り上げつつ、後半のアクションシーンになだれ込み、ピンチになりながらも、機転を利かせて見事勝利を勝ち取り、最後は緩やかに締める。テンポがいい上、各イベントの展開バランスも良く、とても心地よく楽しく読めます。立ち絵が美麗な作品に比べると第一印象で損をしていますが、凄く良く練りこまれて作られた物語です。

ただ、少しメタ発言(作者さんの発言が括弧書きで出てきたり)が多いのが、ちょっと気になりました。シリアスなシーンではそういう事はないので、雰囲気ぶち壊しというほどではないのですが、こういうのはやはり控えた方がいいように感じました。

この作品は、後半では悪い妖怪(なんて古めかしい表現)とのバトルシーンになるのですが、このバトルシーンがまた大変よく出来ています。何せ主人公達は何の力もないただの中学生の女の子。味方になってくれる妖怪もいますが、敵の妖怪の力が強大で、非常に緊迫感を持って読めます。文章だけで「手に汗を握るバトルシーン」を書くのは大変な事ですが、第一話も第二話もここがとてもよく出来ています。

第一話での、十三階段の設定を上手く使った決着のつき方もいいですし、第二話ではピアノを弾くシーンが出てきますが、ここで重深歌が弾くのが、何故か「猫踏んじゃった」。「もっと雰囲気に合いそうなクラシック曲はいくらでもあるのに、何故?」と思ったら、その後の展開で、ちゃんと「この曲である」事が生きているという凝った作り。この筆力と構成には脱帽しました。

キャラクター全体で言うと、男性キャラがほとんどいないため、その辺りが少し弱く感じました。魅力的な男性キャラクター(同級生でなくても、学校の先生とか……)がいれば、バランスがもっと良かったかも知れません。第二話で一応男性キャラが登場はしますが、メインで彼と絡むのは十三階段ですので、彼女が全部美味しいところを持って行っている気もしますし(笑)。そこは続編以降で期待しましょう。

使用ツールはLive Makerです。このツールは、易しく作れるのにプレイもしやすく、本当に優れたツールでしたね。開発が停止したのが惜しまれます。プレイ時間は、一話辺り40分〜1時間というところです。選択肢はないので気楽に読めます。ホラーが物凄く苦手な私でも楽しくプレイできましたので、この作品はむしろホラーが苦手な人にこそお勧めします(ホラー的演出もあるのですが、怖さは全面に押し出していません)。続編も既に2作品出ていて、1作制作中のようですので、続きも是非プレイするつもりです。
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