第394回/現実幻想かくれんぼ - さよなら、リアル(アクアポラリス) - 不思議系
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第394回/現実幻想かくれんぼ - さよなら、リアル(アクアポラリス)

不思議系
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さよなら、リアル

さよなら、リアル■制作者/アクアポラリス(ダウンロード
■ジャンル/空想恋愛覚醒ノベル
■プレイ時間/1時間15分

母から受け継いだ、不思議な石。その石は、一度だけ誰かの願いを叶える事ができるという。孝太郎は、その石を携えて旅に出ていた。いつか「奇跡」を必要な人と巡り会えることを信じて。そして出会った少女奈月。孝太郎は次第に彼女に惹かれて行き、彼女の願いを叶えたいと思うが。後半の展開に背負い投げを食らいそうな、短編恋愛ノベル。

ここが○

  • 整った文章とテンポのいい展開。
  • 後半、幻想から少しずつ現実に戻される描写。
  • 少し救いもあるような気がするifエンド。

ここが×

  • まともな恋愛ものを期待すると肩透かし。
  • 同じ文章を二度読ませられるので、メインのはずの後半がだれてしまう。
  • 感情移入できるとは言い難い後半。

■現実幻想かくれんぼ

何とも変わった作品をご紹介。「さよなら、リアル」というタイトルからして、何だか意味深です。一応恋愛ノベルに分類されるかも知れませんが、これを恋愛ノベルと呼んでいいのか、ちょっと考え込んでしまいます。

冒頭は、主人公である孝太郎が夏の田舎町に辿り着いたところから始まります。そこで、白い帽子が印象的な少女奈月と出会い、ここだけを見ると、よくある恋愛もののオープニングです。イベント一枚絵も効果的に使われており、少し展開が急過ぎる感はありますが、まずまず整った作りで、退屈せずに読み進める事ができるでしょう。

さよなら、リアル……とか思っていたら、後半の展開で背負い投げを食らいました。うーむ、そういう話だったとは。この後半、序盤からなかなか凄い展開です。そして、だんだん主人公が幻想の世界から現実へ引き戻される描写が、非常によく描けていて、最後には物哀しさすら覚えます。これを狙って書いたのだとしたら、なかなか凄い文章力です。

とは言え、読後感がいいかというと、それはまた完全に別のお話で、読み終わった後には、何とも言えない後味の悪さが残ります。面白い試みの作品ではあるのですが、「心に響く」かというと、それは「読んだ人による」としか……。一応、ifエンドでそこらについて少しフォローされているので、少しは救われるのですが。

ふりーむの感想では、「既存ギャルゲーへの皮肉、当て付け」と書かれていましたが、私はそうは感じませんでした。後半(リアル編)こそが、作者さんが描きたかった事であり、前半は別に皮肉ではなく、単に後半のための「準備」「カムフラージュ」だったのではないかと思います。そう考えると、非常に面白い作りの作品だと思います。

なので、前半はあまりに御都合主義で性急な展開ではあるのですが、それもまた後半のための準備だと思うと、妥当なところだと思います。前半で終わってしまったら、確かに駆け足過ぎる展開ですが、後半まで含めて考えると、その性急な展開にも意味があるように感じました。

ただ、そういう観点で捉えると、気になる事があるのも事実です。同じ文章、展開が繰り返して出てくるだけなら一般的なループものも同じですが、この作品の場合、(一般的なループものと異なり)展開が前半と特に変わったり、意外な事実が明らかになるという、読み手にとって何らかのカタルシスがある訳でもありません。一応、意外と言えば意外な事実が明らかになりますが、前半の謎が解けるという意味での意外な事実ではなく、前半の舞台をひっくり返すような意外性であって、一般的なループものとは性質が異なりますし。ですから、後半がメインなのに、そこでは読み手を引き付ける力が落ちてしまっているのです。そういう意味で、構成には少々難があると言わざるを得ません。

とは言え、私個人としては、もっとストレートに心に訴えかけてくる物語が好きなのですが(なので、前半の方向性の方が好きだったりします)、時にはこういう変化球も刺激になっていいかも知れません。作者さんの意気込みがダイレクトに伝わってくる感じで、こういう作品がフリーノベルゲームの醍醐味だと思います。

ツールはLive Makerです。選択肢はif編で一つだけ出ますが、実質一本道。プレイ時間は丁寧に読めば1時間半くらいはかかるかも知れません。当たり前の作品では飽き足らない変化球の物語がお好きな方は、お試しください。
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