第401回/ハートの隙間へスルーパス - ベルリンの船(Krimis) - 恋愛
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第401回/ハートの隙間へスルーパス - ベルリンの船(Krimis)

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ベルリンの船

ベルリンの船準推薦
■制作者/Krimis(ダウンロード
■ジャンル/幼馴染ドイツ観光恋愛ノベル
■プレイ時間/40分

修治は、高校生の頃単身ドイツに渡り、サッカーに打ち込んでいた。そんな折、幼馴染の恵梨香、弟の孝輔とその彼女の夕菜が、旅行がてら修治の元にやって来た。修治は3人を案内しつつ、来たる試合のための練習に汗を流す。修治と恵梨香の関係に変化は。そして修治は試合に出られるのか。大人な雰囲気の幼馴染恋愛ノベル。

ここが○

  • 心情描写が巧みで、整った文章。
  • 修司と恵梨香の微妙な関係の描き方。
  • サッカーの試合シーンの臨場感。

ここが×

  • 画面に表示される文章量が多すぎて読みにくい。
  • ストレート過ぎる描写に照れる人もいるかも。
  • 地味な見た目。

■ハートの隙間へスルーパス

今回は、ドイツを舞台にした立ち絵なしの恋愛ノベルです。背景写真は、作者さんの自前でしょうか。ドイツでの生活や食事についての描写もリアリティがあり、「紀行もの」としても楽しめる作品です。「黄昏の白い靴」という作品を思い出させます(あちらはイタリアでしたが)。

主人公の修司は、ドイツのクラブでプレイするプロサッカー選手。高校生の時にドイツに渡ってきたという設定です。修司はベルリン在住で、所属するのは大クラブではなく、船をモチーフにした云々とありますから、彼のクラブは「ヘルタ・ベルリン」ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。サッカー好きには、ニヤリとできる描写も結構あったりします。

ベルリンの船この作品は、まず主人公である修司とヒロインの恵梨香の関係の描写が、とてもよくできています。お互いが気になりながら、序盤は素直になれない。さりとて高校生カップルのように、不安感を前面に出したりもしない。そこらの「大人な関係」と「幼馴染」という2つの要素を、非常に上手にブレンドしています。

そしてある時は大人の男女として、ある時はずっと一緒にいた幼馴染として、その2つの関係の間で揺れ動く2人。そこへ大変仲のいいカップルである、修治の弟とその彼女、孝輔と夕菜がいいアクセントになっています。みんないい人達ばかりなので、安心して読めますし、幼馴染ものとしての2人の関係の描き方としては、出色の出来栄えです。

台詞のやり取りなどに、少し青臭さというか、照れを感じるようなところがなくもありません。しかし、実際に幼い頃からずっと一緒にいて、恋愛感情を自覚できない幼馴染なんてのがいたとしたら、こういう感じになるのではないでしょうか。私としては、ドライにならず、さりとてウェットになり過ぎもせず、いい塩梅のところで寸止めしてくれている、という感じで好印象です。

また、終盤の試合シーンがとても良くできています。じりじりする展開の中、ベンチで出番を待つ修司や、終盤に出番が来て、ピッチに飛び出す時の様子、そしてもちろん試合の様子もリアリティがありますし、何よりゴールを決めて、スタンドのどこかにいるであろう恵梨香に対して示したパフォーマンス、これがいいですね。

上でも書いたように、「少し青臭い」と言えば言えなくもないのですが、逆にこのパフォーマンスが2人の関係にとてもマッチしていて、素直に心に入って来ます。修治の一番の見せ場に照準を合わせて、ここまででこういうパフォーマンスが似合う2人を描いた事が、このラストシーンが「決まった」一番の原因だと思います。

この作品は、見ての通り文字だけで立ち絵はないのですが、一画面に表示される文章が多過ぎ、かつ改行が少なすぎるのがちょっと難点です。お陰で少々読みにくく、目が疲れる箇所もあります。文章量はいいとして、もう少し適切に改行を入れた方が読みやすかったかも知れません。文章自体は、変に捻り過ぎたところもない素直な文体で、読みやすいと思います。実は「星空に馳せた想い」「ウィンドチャイムに連れられて」の作者さんがシナリオを書いているようで、文章の進化ぶりにびっくりです。

プレイ時間は40分程度。選択肢のない一本道です。ツールは吉里吉里のようです。見た目が地味で、プレイ意欲をそそられないかも知れませんが、幼馴染恋愛ものとしては間違いなく高いレベルの作品ですから、見た目の地味さで敬遠せずに、ぜひプレイしてみてください。
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