第412回/キャンバスに心の絵筆を - 四角い恋人(幻創映画館) - 恋愛
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第412回/キャンバスに心の絵筆を - 四角い恋人(幻創映画館)

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四角い恋人

四角い恋人準推薦
■制作者/幻創映画館(ダウンロード
■ジャンル/学園絵画恋愛ノベル
■プレイ時間/2時間半

昭斗は、絵が得意な高校生。だが人物画だけは極端に苦手で、美術の課題でも未提出。その罰として、放課後に1週間の美術室掃除を言い渡された。そこで出会った奇妙な少女、日向こより。彼女は「自分は非公式な絵画部部員である」と言う。かくして、昭斗とこよりの放課後の活動が始まった。後半からラストへ向けての展開が美しい、学園恋愛ドラマ。

ここが○

  • 背景絵が非常に美しい。
  • 後半からラストへの展開が見事。
  • キャラクターみんながいい人で、安心して読める。

ここが×

  • 序盤から中盤にかけては退屈。
  • 終わり方はちょっといかがなものか。
  • 展開や設定が少々ワンパターン。

■キャンバスに心の絵筆を

明けない夜が来る前に」「ななこい」の作者さんの最新作のようです。この作者さんは、非常に作風がはっきりしており、どの作品でも似たような舞台設定、似たような展開、似たようなヒロインです。この作者さんの味と言えば味ですが、ワンパターンであるとも言えます。

この作品は、美術室で不思議な女の子、こよりと出会うところから始まります。そしてプレイした人のほとんどが、恐らくこよりの正体にはすぐに気付いてしまうでしょう。そもそもタイトルがネタバレだし(笑)。なので、ほとんど閉鎖空間しか舞台にならないと言うこともあって、前半は少々退屈です。とにかくやたら甘ったるい日常描写がずっと続くというのも、他作品と共通です。

四角い恋人もちろん、作者さんとしてはあえてこよりの秘密を隠そうとはしていないと思われるのですが、もう少し伏線として上手く利用すれば、前半の退屈さが減ったのではないかと思います。特に「片手で持ち上げられるほど軽い」とか「水に濡れると云々」は、不要な設定だったのでは……。どのみちこよりの存在自体が奇跡なのですから、普通の人間の女の子と変わらない存在で良かった気がします。

さて、後半にかけて、プレイヤーはみんな気付いていた秘密が明かされます。物語はこの辺りから盛り上がっていきます。前半だけ見ていると、正直ちょっとだれてしまうところがあるのですが(登場キャラがまた少ないし。主人公と絡む友人でも1人出せば、大分印象が変わったのでは)、こよりの秘密を昭斗が知ってからのシナリオの動きはとても素晴らしいと思います。

特に、「あーあ、やっちゃったよ。これじゃ絵が完成しないんじゃないか」と思わせてからの……という辺り。あの一連の流れは、非常に心を動かされる展開でした。この作者さんは、こういう後半にちょっと印象的な場面と台詞を持ってきて、読み手の心を動かすという展開が、実にお得意だなと思わされます。この後半の展開は、前半の退屈さの印象を払拭して余りあるものがありました。

ただ、ラストはいかがなものでしょう。ちゃんと別れを描いて終わらせた方が、物語として美しかったような気がするのですが……。あれでは単に結論を先送りにしてしまっている感があって、あのラストには少し「うーん」となってしまいました(実は、ラストさえ綺麗に締めてくれれば、「推薦」だと思ったのです)。あと、最後の絵のタイトルにずっこけてしまいました。あそこで、絵のタイトルに作品タイトルを持ってくる、なんていうのは駄目だったんでしょうか。

それと、昭斗が人物画を苦手としている理由が、少し軽かったような気がします。そこをもう少し重くして、シナリオに関わらせれば、より昭斗が絵を仕上げようとするラストシーンが引き締まったような気もします。まあ、この物語においてフォーカスすべきはそこではないのかも知れませんが……。

過去作品もそうでしたが、背景絵の美しさには目を見張ります。ちょっとクラシカルなBGMも雰囲気十分。ワイド画面にあまり意味がない気がするのも相変わらずではありますが(以前のレビューでも書きましたが、結局画面は4:3で、両側をフィルムの模様で遮っているので、ワイドなのに妙な圧迫感があるのです)、まあこれがこの作者さんの味なのかも知れません。

全体に、悪人がおらず、主人公も好感が持てるキャラクターなので、確かに前半は少し退屈なのですが、安心して読めます。これもこの作者さんの作風ですね。あまりいい人じゃないように描かれている大石先生も、ラストで「いい人」になっていてほっとしました。そしてクリアすると、あとがきで今までの他作品との関わりなども読めたりします。もしかしたら、ちょっとワンパターンに感じるところは、あえて狙ってやっているのかな、なんて事も考えました。

ツールは恐らくYU-RISです。選択肢のない一本道の物語で、プレイ時間は2時間半から3時間くらいでしょうか。台詞を残らず全部聞いたら、その倍くらいにはなるでしょう。なんだかんだで、信頼と安心のブランドです。感動系の学園恋愛ものをお探しの方なら、きっと満足のいく作品だと思います。
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