第413回/連れて行こう、あの高みへ - クロス×ヒート!(STARVAN!!) - スポーツ
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第413回/連れて行こう、あの高みへ - クロス×ヒート!(STARVAN!!)

スポーツ
  • comment0
  • trackback-

クロス×ヒート!

クロス×ヒート!準推薦
■制作者/STARVAN!!(ダウンロード
■ジャンル/熱血バラスポノベル
■プレイ時間/1時間

柳下義之は、部員が1人しかいない「バラスポ部」の部長。ある日、ナイフを持って老婆の家へ侵入しようとしている、同じ学校の後輩を見つけ、叩きのめした。義之はその後輩、ヒロヒコをバラスポ部に誘う。こうして始まる熱血チャンバラ学園生活。バラスポ部の5人は、義之に厳しく鍛えられながら「高み」を目指す。最初から展開がやたらに熱い学園スポ根ノベル。

ここが○

  • とにかく展開が熱い。
  • キャラクターの描き分けもよくできている。
  • だれる事なくテンポがよく、後半は盛り上がる。

ここが×

  • 文章は上手いとは言い難い。
  • 絵も上手いとは言い難い。
  • テキストウィンドウの透過率が高すぎて、読みにくい箇所がある。

■連れて行こう、あの高みへ

ノベルゲームをダウンロードする基準は人によって違うとは思いますが、「画面写真」を基準に選ぶ人は、とても多いと思います。そしてそういう選び方だと、多分この作品は絶対に見落とすでしょう。何せ、絵の数自体は大量で、カットイン風の演出など工夫もされていますが、絵自体はお世辞にも上手とは言えません。玄人はだしのイラストを使ったフリーノベルも多い中、この作品を見た目で敬遠する人がいても、不思議ではないかも知れません。

が、ちょっとお待ちを。この作品を見た目で侮ってはいけません。この作品、とにかく全てに渡って熱いのです。火傷するほど熱いです。シナリオやキャラクターはもちろんですが、全編に渡って作者さんの「とにかくいい作品を作るんだ」という、情熱がほとばしっているのです。最近のコラムでも書きましたが、「フリーとは思えない」豪華な作品の対極の、これぞ「フリーならでは」の作品です。

クロス×ヒート!物語の舞台は、高校の「バラスポ部」。バラスポというのは、「スポーツチャンバラ」風のオリジナルスポーツです。まず、紘彦を叩きのめし、仲間に誘う冒頭の展開からいきなり熱い展開です。そこから、部員1名のバラスポ部が5名まで増えるんですが、この4人の仲間が、いずれも個性豊かで、とてもよく描かれています。ヤンキー風のヒロヒコ、実力者で冷静なナキ、ほんわか明るいながら要所を締めるカオル、紅一点のりおる。いずれも、個性を持ちながらしっかり自分の役割を持っています。

彼らをまとめるのは、もちろん主人公である義之です。バラスポの腕前はもちろん確かなのですが、時に厳しく、時に優しく後輩たちを「高み」に連れて行く様子が、とてもテンポよく、上手く描写されています。後半では、試合の面では実は義之はほとんど消えてしまうのですが、この物語は義之が世界を取る物語ではなく、「義之が後輩たちを世界に導く物語」ですから、これで正解だと思います。

途中、温泉旅館での合宿などの、お楽しみ(?)要素も入っています。あと二つ三つお約束系イベントがあってもいい気もしましたが、この作品はこのテンポの良さがいいという気もしますから、変にイベントを入れて流れを澱ませるよりは、このままの方がいいのかも知れませんね。

また、ヒロヒコと父との確執とか、りおると兄の関係とか、意外とそういうサブストーリーも効いています。特に、りおるについては、ラストできっちりと綺麗にまとめられており、読後感を高めるのに一役買っていました。ただ、カンザキヤヨイとか、義之の過去のライバルとか、出てきただけで終わってしまったキャラがあったのが、ちょっと残念ではあります。

肝心の、バラスポの試合の描写も熱いです。ありがちな必殺技的なものはないのですが、緊張感と動きが感じられ、そして後半では後輩達の成長も伝わってきます。特に最後の戦いでは、後輩の成長を見守る義之の心境にシンクロして、物語を読む事が出来ました。欲を言えば、せっかくの大舞台なのですから、対戦相手にも何らかのキャラクター付けをして、もっと盛り上げて欲しかったようにも思います。

難点ですが、テキストウィンドウの透過率が高く、一部文字が読みにくい箇所があります。展開についても、ちょっと強引かなと思える箇所もありました。しかし、全編から溢れ出る熱さに浸っていると、そのちょっと強引な展開も、「ま、いっか」と思えてしまうから不思議です。

ツールはNScripterです。プレイ時間は1時間少々。選択肢はありますが一本道で、幕間にはちょっとしたサイドストーリーを読む事もできます。あとがきでは作者さんのこの作品に対する思い、制作に当たっての裏話を読めますが、これがまた熱く、フリーノベルゲームや創作についての思いが非常に強く伝わってきます。単に燃える学園ノベルが読みたい方はもちろん、創作活動に当たって刺激が欲しい人にも、是非プレイする事をお勧めします。
関連記事

Comments 0

Leave a reply