第414回/手は触れなくても、心は触れる - かげぼうし(現屋) - 不思議系
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第414回/手は触れなくても、心は触れる - かげぼうし(現屋)

不思議系
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かげぼうし

かげぼうし■制作者/現屋(ダウンロード
■ジャンル/夕焼け空で君と握手ノベル
■プレイ時間/15分

小学生のヒカリは、同級生の女の子が気になっていた。彼女、ニシバさんは、何故かクラスメイトとの交流が全くなく、いつも孤立していたのだ。ヒカリはある日、ニシバさんに声をかけてみた。そこで彼女がクラスメイトとまるで関わらないのには、ある理由がある事を知る。超短編にも関わらず、多数の1枚絵が優しい雰囲気を醸し出す物語。

ここが○

  • 読みやすい文章。
  • 多数の1枚絵が雰囲気を高めている。
  • 主人公がしっかりしていて格好いい。

ここが×

  • あっさりしすぎている感。
  • ニシバさんの「触れられない理由」が、何ら説明されていない。
  • 改行が少なすぎて読み辛い箇所がある。

■手は触れなくても、心は触れる

未紹介の作品も含めて、少し長めの作品のプレイが続きましたので、今回は超短編で気分転換です。この作品は、最近ご紹介した「モノラル虹彩」の作者さんによる作品ですが、実は「喉の渇くその前に」の作者さんでもあります(こちらには、「モノラル虹彩」の記事を書いた時には、気付いていませんでした)。

そう思って見ると、温かな雰囲気がありながら、少し割り切れないところもある、ちょっと不思議系な作風は、共通しているように思えます。文章は読みやすいですし、「モノラル虹彩」「喉の渇くその前に」の雰囲気がお好きな方なら、きっとストライクゾーンに来る雰囲気と文章だと思います。

かげぼうしこの作品は、明記はされていませんが、多分主人公であるヒカリは小学生だと思います。描写もそんな感じですし、イラストを見ても小学生っぽいです。冒頭は、学校の授業の長距離走を、主人公とクラスメイトが嫌そうに走るシーンから始まります。

そんな彼が、クラスメイトのニシバさんに声をかけ、ちょっとした交流を図るという、ただそれだけの物語なのですが、少し前にご紹介した「夕焼け空の下」同様、15分の短編にも関わらず、結構な枚数の1枚絵があります。クライマックスシーンが夕焼け空というのも、ちょっと近いものを感じさせますね。

このクライマックスシーンが、とてもいいのです。「触れることはできなくても、遊ぶ事はできるよ」というヒカリの台詞と、その時の1枚絵もいいですし、何より、タイトルの由来にもなったと思われる、その後のシーンがとても素敵です。咄嗟にこんな事を思い付くなんて、ヒカリの機転は小学生とは思えませんね。ヒカリは、子供ながら感情移入のしやすいキャラクターですし、子供なのに格好いいですね。ラストのニシバさんの笑顔も素敵です。

ただ、肝心のといいますか、ニシバさんの「触れられない」理由が、いまいち(というか全く?)不明瞭なのが、ちょっと消化不良感を生んでいます。植物やら車やらが動くという、何やらとんでもない現象も起こっているのに、その原因について一切説明がないため、読後少々すっきりしないものが残ってしまうのです。私が、どちらかと言うと「読者に想像させる」物語より、「白黒はっきりさせる」物語が好きなせいもあるのですが。

まあ、超短編ですし、この物語はあくまで、主人公と不思議な能力を持つ少女との、ひとときの触れ合いを味わうものだと思えば、これはこれでいいのかも知れませんし、そこをくどくどと描写するのは、かえって無粋だったかも知れません。

それと、一部文章が表示されすぎて、少し読みにくくなっている箇所があるのも、気にかかりました。フォントが明朝体の場合、もう少し改行を多くするか、改行ピッチを大きめにとるかしないと、ウィンドウ内に文章があふれた場合の読みにくさは、ゴシック体以上だと思います。全画面ウィンドウの作品ですから、少しそこに配慮が欲しかったような気もしました。

ツールは吉里吉里です。プレイ時間は上にもあるように15分で、選択肢なしの一本道です。すっきりとはしませんが、逆に非常にほのぼのとした読後感の物語ですので、絵の雰囲気が気に入ったら15分を使って読んでみても、損はしないと思います。
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