第416回/アンドロイドは涙を流すか - 温かく、暖かい冬、なのか(あほちゃん) - SF
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第416回/アンドロイドは涙を流すか - 温かく、暖かい冬、なのか(あほちゃん)

SF
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温かく、暖かい冬、なのか

温かく、暖かい冬、なのか■制作者/あほちゃん(ダウンロード
■ジャンル/近未来居候戦闘ノベル
■プレイ時間/2時間

地上が核で汚染された未来、金のある者は地下に暮らし、金のない者は地上で暮らしていた。その地下世界ティーマで一人、違法アンドロイドを狩って生活するルディの前に、居候させてくれというウルフという男が現れた。胡散臭く思いつつも、ウルフを家に置いてやるルディ。ある日2人は手を組んでアンドロイドを狩りに出かける。女性向け作品としては珍しく、骨太なSF設定の物語。

ここが○

  • しっかり作られた世界観。
  • 数は少ないが、面白いキャラクター。
  • テンポよくイベントが起き、読み手を飽きさせない。

ここが×

  • 主人公のキャラクターが中盤でいきなり変わってしまう。
  • しっくりこない感のあるラスト。
  • 戦闘シーンに少し面白みが欠ける。

■アンドロイドは涙を流すか

フリーノベルゲームで「SF風」作品ならば結構見ますが、まともなSF作品ってかなり少ないと思います。が、今回はなかなか骨太のSF設定の作品。地球が核戦争で汚染された数百年後という設定。その世界では、アンドロイドが完全に社会に溶け込み、犯罪を犯すようなアンドロイドもいます。主人公のルディは、そういう違法アンドロイドを狩るハンターです。

この設定だけで、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という作品を思い出す方も多数でしょう(ルディという名前の主人公+ハンターという事で、私は「ファンタシースターIV」を思い出しましたが)。こういう世界観は、無理なく盛り込むのは結構難しいものですが、この作品は序盤から違和感なく読者を世界感に引き込む事に成功していると思います。

温かく、暖かい冬、なのか何より、中編以上のノベルゲームでありがちな、「中盤(終盤)まではただの日常描写で、飽きてしまう」という事がありません。序盤からテンポ良く、またバランス良くイベントが配されており、プレイヤーを飽きさせません。アッシュの過去回想の挿入も、いいタイミングですし、登場キャラクターも多くはないのですが、個性豊かかつ描かれ方が上手く、読み手をしっかり掴んでくれます。

この作品の主人公ルディは、一匹狼の人嫌いタイプです。他人から体に触れられるだけでも拒否反応を示すという、些か極端なところもありますが、その理由はちゃんと作中で語られています。そんなルディが、人懐っこく少々能天気な、ウルフという男を居候させるところから、物語は始まります。「ボーイミーツガール同居型」ではなく「ボーイミーツボーイ同居型」と呼びましょうか(笑)。

ルディとウルフの対照的なキャラクターのやり取りは面白く、それでいて、日常のやり取りだけで流れが淀む事なく、きちんとイベントも起きて物語が進行するので、だれる事がありません。この辺りの読み手を疲れさせない作りは、とても上手いと思います。単に後半の展開のためだけに、あまり意味のない日常描写をずーっと繰り返すような作品も多い中、この作品の構成はとても優れています。

ただこのルディのキャラクターが、中盤でいきなり変化してしまっているのが、少し気になりました。更にその後、ウルフが実は……という展開が来て、ルディの意外な事実も、ウルフに隠された真実も、どちらも特に伏線が張られている訳ではなかったので、「なんですと!」という感じに(笑)。この物語は、伏線主導型ではなく展開主導型の物語で、それが独特のテンポの良さを生んでいるとも言えますし、驚く事は驚いたのですが、少し伏線を使ってみても良かったのでは、と思いました。

それと、戦闘シーンも結構あるのですが、この戦闘シーンがいまいち迫力に欠けるというか、少し淡白な気がします。戦闘シーンの描き方って難しいもので、私もあまり自信はないのですが、もう少し戦闘シーンを長めに引っ張って、ルディとウルフが工夫を凝らして戦いに勝つ、みたいな描写があっても面白かったかも知れません。

ラストは、賛否両論あるかも知れません。私はありだと思います。ただ、ラスト前の選択肢で、「どうしてその選択肢でその終わり方になるのか」には、ちょっとしっくり来ないところがあります。ここには読者を納得させられる理由付けが欲しかったような気もします。

ツールはLive Makerです。プレイ時間は2時間くらい。2箇所に選択肢がありますが、間違えると即バッドエンドなので、攻略は難しくありません。男性向けか女性向けかと言われると、女性向けの範囲に入るのでしょうが、男性がプレイしても問題なく楽しめるでしょう。独特の世界観と、よく出来たキャラクターを楽しんで読んでください。
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