第421回/路地裏にひとり冬の夜 - 夜の路地裏案内(静本はる) - 日常
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第421回/路地裏にひとり冬の夜 - 夜の路地裏案内(静本はる)

日常
  • comment0
  • trackback-

夜の路地裏案内

夜の路地裏案内■制作者/静本はる(ダウンロード
■ジャンル/路地裏脱出ノベル
■プレイ時間/20分

間もなくクリスマスも近い、冬のある日。主人公は路地裏である少女と出会った。ロスチルと名乗るその少女は、大通りまで行きたいという。主人公は成り行きからロスチルに同行する事に。危険もいっぱいの路地裏から、2人は果たして無事大通りにたどり着けるのか。夜の路地裏の雰囲気が独特な、短編マルチエンドノベル。

ここが○

  • 夜の路地裏という独特の雰囲気。
  • 綺麗なイラスト。
  • 意表を付くラスト。

ここが×

  • 隠された事実が、もう少し物語に生かされていれば。
  • ちょっと極端な気もするロスチルの性格。
  • トゥルーエンド以外は、少々投げやりな作り。

■路地裏にひとり冬の夜

短編の分岐ノベルで、真実に到達した時に「なるほど、そういう事か」と思わせるオチをつけるのはなかなか難しいものですが、この作品は非常に上手く作られている短編分岐ノベルでした。実は、つい最近、これと全く同じ仕掛け、全く同じオチの作品をプレイしたのですが、こちらの方が登場が先です。同じ仕掛けの作品名を書くとネタバレになりますので、書かないでおきます。

この作品は、主人公(名前任意)が路地裏でロスチルと出会うところから始まります。主人公とロスチルは、2人で大通りを目指しますが、最初は選択肢が何もなく、よく分からない終わり方をして、「???」となってしまいます。

夜の路地裏案内そこからタイトルに戻ると、タイトル画面にキャラクターが一人増えています。もう一度プレイすると、途中に三択の選択肢が挿入されていて、そこからあと2つのエンディングを見ることができ、それも見終わると、別の箇所にもう1つの選択肢が現れ、そこからトゥルーエンドに行けるという仕掛けです。

この、トゥルーエンド以外のエンディングは、何だかよく分からないというか投げやりというか(汗)。と言って、バッドエンドという感じでもありませんし、エンドを見たからと言って、何か秘密が明らかになる訳でも、次のプレイへの伏線が出るわけでもありません。短編とは言え、折角の分岐ノベルなのですから、1つのエンドが次のプレイへのひっぱりとなるような、何かしらの工夫が欲しかったようにも思いました。

そしてトゥルーエンド。ラストで明かされる仕掛けは、最近プレイしたとある作品と全く同じです。そこからエンディングまでの物語の進み方は綺麗で、見事な1枚絵と共になかなか盛り上がるラストを見せてくれました。同じ仕掛けの作品を最近プレイしていたのにも関わらず、今回も引っかかってしまった私です(笑)。

ただ、この仕掛けが展開に生かされているかと言われると、そこはどうなのかな、という気がします。ロスチルのちょっと破天荒とも言えるキャラクターを、上手くミスディレクションに活用した上で、最後に仕掛けを明かすところは、読者の意表をついていてよく出来ているのですが、仕掛けで驚かせる以上のものが、あまり伝わってこなかったのが、少し惜しまれます。ロスチルを始めとした登場キャラクターも魅力的なのですから、せっかくの仕掛けをシナリオで何か生かせれば、もっと魅力的になったのではないでしょうか。

ところで、この作品は夜の路地裏が舞台であるため、終始薄暗い夜の背景です。舞台としては少々おどろおどろしい感じがするのですが、そこにロスチルの明るいキャラクターと、主人公とのちょっとずれたやり取りが上手く乗っかって、薄暗いのに楽しい、でも時々びっくり箱のように何か現れるという、独特の世界観を表現する事に成功していると思います。作者さんのセンスを感じさせられる点です。

短編なのですが、ちゃんとエンドリストもあったり、プレイヤーに対する配慮は行き届いています。また、エンドを1つ見るたびにタイトル画面にキャラクターが1人ずつ増えて行くなど、ちょっとした小技も効いています。作者さんのこだわりが随所に感じられ、丁寧に作られた事が伺えます。

ツールは吉里吉里です。プレイ時間は、全部のエンディングを見ても20分。分岐条件は本文中に書いた通りですので、攻略は全然難しくありません。私は先に同じ仕掛けの作品をプレイしていたので、免疫(?)が出来ていましたが、ロスチルの明るいキャラクターにばかり目が行っていると、隠された真実にラストで驚かされる事でしょう。トゥルーエンドまで見たら、もう一度最初から読み返してみると、色々と発見があるかも知れませんよ。
関連記事

Comments 0

Leave a reply