第426回/彼女は、虹の橋を渡った - 虹のくじら(晴れ時々グラタン) - 日常
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第426回/彼女は、虹の橋を渡った - 虹のくじら(晴れ時々グラタン)

日常
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虹のくじら

虹のくじら■制作者/晴れ時々グラタン(ダウンロード
■ジャンル/少女窓辺黄昏ノベル
■プレイ時間/20分

小杉は、クールなキャラクターで通っている女子高生。いつも窓辺の席から外を眺め、そこが彼女の唯一の居場所だった。ある日の放課後、その席にクラスメイトの佐々木荘子が座っていた。彼女は「この席から虹のくじらが見えるでしょう?」と言ってきた。少女2人の不思議な数日を描いた短編ノベル。

ここが○

  • 画力がしっかりしている上、儚さを感じさせる独特の絵柄。
  • その絵を使った演出の上手さ。
  • 安定した文章力とラストの余韻。

ここが×

  • 舞台は高校のはずなのに、佐々木さんというキャラにちょっと違和感。
  • 人によってはとても後味が悪く感じられるかも知れないラスト。
  • 何故か一度目のプレイではエンドロールが流れずあとがきも開放されない。

■彼女は、虹の橋を渡った

今回も短編作品のご紹介。この絵柄はどこかで見た事あるなと思ったら、「夏の雫」の作者さんでした。絵はもちろんですが、事実の描写よりも心情描写に重きを置いた、この作者さんらしい作風は健在で、懐かしさを感じました(「夏の雫」をレビューしたのは8年前ですからね)。

主人公の小杉さんは、クールビューティー系の女子高生です。しかし別にクラスメイトから煙たがられている訳ではなく、却ってそのクールさから一目置かれている存在。そんな彼女はしかし、外が見える窓際の自分の席にしか居場所がない、という出だしです。

虹のくじら「夏の雫」の時もそうでしたが、この作者さんは事実関係の描写は可能な限り省き、心情を描き出す事に重心を置いているように見えます。なので今作でも、小杉さんや佐々木さんが、そういう考え方に至った背景や、家庭の事情などはほとんど語られません。短編作品ですから、そこを潔くカットしたのは、今作に於いては奏功していると思います。

ただ、舞台が女子高で、高校という事はみんな入試に合格しているはずで、それで佐々木さんがこういう幼いキャラクターというのは、少し違和感を感じました(知能には問題がない発達障害なのかも、などと色々想像してしまいました)。そういう問題を措くとすれば、クールな小杉さんと、幼い佐々木さんのやり取りは、意外と噛み合っていました。いいコンビネーションだと思います。

今作で目を惹くのは、美しい1枚絵と、その使い方です。1枚絵がまず画面全体に表示された後、それがフェードアウトしていき、さっきの1枚絵の一部が拡大されて表示されたり、どこか動きを感じさせる演出がとても上手いです。絵柄自体も、流行りのアニメ風、デジタル風な感じではなく、水彩画風の儚げな感じで、この作品にとてもマッチしていました。ラスト近くの、「虹のくじら」が現れる場面も、大変綺麗で印象的でした。

そしてラスト。人によっては「何のこっちゃ?」となってしまうかも知れませんし、別の人によっては、物凄く後味が悪い終わり方に感じるでしょう。また違う人にとっては、ある種のハッピーエンドにも感じるかも知れません。ここらはきちんと描写されていませんので、色々と想像の余地があると思います。

そのように、きちんと描写されずに、色々思いを巡らすのが好きな人であれば、とても余韻のある終わり方だと思います。個人的には、物語のラストは、きちんと全部を解決させて終わって欲しいと感じる方なので、ちょっとすっきりしないものを感じてしまったのですが、短編作品ですからこういう方向性もありだと思います。

ただ、一度目に読み終えた時は、エンドロールも何もなく、そのままタイトル画面に戻ってしまいました。「あとがき」も開放されません。もしかして2回目で内容が変わって、トゥルーエンドになるのかなと思い、再び最初から読み始めると、2度目はちゃんとエンドロールが流れて、あとがきも開放されました。かと言って、物語の内容には何の変化もなし。仕様なのかどうか分かりませんが、これは謎でした。

ツールはNScripterです。プレイ時間は20分程度の一本道。考えながら読むのが好きなタイプの方ならば、独特の雰囲気を楽しめる短編作品です。グラフィックスはもちろんですが、ピアノを主体にしたBGMも雰囲気を高めていて良かったと思います。短い作品ですから、雰囲気を味わいながらプレイしてみてください。
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