第430回/夢見る馬鹿は嫌いじゃない - ストーリーテラーを作ろう!(熊手) - 学園・青春
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第430回/夢見る馬鹿は嫌いじゃない - ストーリーテラーを作ろう!(熊手)

学園・青春
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ストーリーテラーを作ろう!

ストーリーテラーを作ろう!準推薦
■制作者/熊手(プレイする
■ジャンル/文芸部設立ノベル
■プレイ時間/1時間半

高校生の佐藤昇は、ある時クラスメイトで幼馴染の井上文子から、文芸部を作るからメンバーに加わって欲しいと言われる。嫌々ながらも文芸部の設立に力を貸す昇。やがて、慎吾、栞、菊美の3人も加入し、顧問も決定し、5人で文芸部が無事スタートした。果たして文芸部の未来はいかに。文芸部を舞台にした、正統派青春ノベル。

ここが○

  • 個性的なキャラクター。
  • 読みやすく、リズムの良い文章。
  • イベント配置のバランスがよく、飽きずに読める。

ここが×

  • 主人公の夢が、ちょっと唐突。
  • マルチエンドなのに既読スキップがないため、繰り返しプレイが少々苦痛。
  • そして頻繁に出てくる即死エンド。

■夢見る馬鹿は嫌いじゃない

最近は、Twitterなどでお勧めの作品をご紹介いただく事が多かったのですが、たまには自分で作品を見つけてこないとと思い、この作品をプレイしてみました。「ふりーむ」ではレビューが1つもついていません。そして文章だけの地味な作品。ですが、これはなかなかの良作でした。こういう地味な良作を見つけると、嬉しくなってきます。

冒頭は、主人公の昇が、クラスメイトで幼馴染の文子から、文芸部を作るからメンバーに入ってくれと誘われる場面から始まります。やがてメンバーが5人集まるのですが、この5人がいずれも個性的。元野球部の慎吾、その慎吾の幼馴染である栞、それに人嫌いの文学少女、菊美。いずれも描かれ方が上手く、分かりやすい名前の助けもあって、立ち絵が全くないのに容易にキャラクターの様子が思い浮かべられました。

ストーリーテラーを作ろう!そして、文芸部という舞台から、どうしても活動も地味になるのですが、この作品はそこを、バラエティ豊かなイベントによって、上手く補っています。天文同好会との、部室をかけた野球勝負や、体育祭でのリレー勝負など、小技が効いていていいですね。しかも、各キャラクターにちゃんと活躍の場があって、キャラとイベントの相乗効果で物語を盛り上げてくれています。

また、その文芸部の活動も、最初は読書感想文から入って、短編小説、長編小説と、徐々に活動が高度になって行っています。この辺りの展開バランスも、とても上手いです。もちろん全員が文章が上手いわけではないのですが、それぞれがそれぞれのやり方で、一生懸命文芸部の活動を楽しんでいるのが、よく伝わってきます。

それはひとえに、キャラの立ち位置がしっかりしている事によるものでしょう。また、元野球部の慎吾が、文芸部の活動を通じて野球への情熱を取り戻すのですが、その慎吾や菊美、もちろんヒロインの文子の言動が、主人公の昇にまた影響を与え、物語がだんだん進んで行く。実によく出来た作りの物語です。キャラの些細な一言が、非常に効果的に働いています。

ただ、昇自身の夢が、あまり序盤では語られない(本人自体忘れている)ので、ここにもうちょっと筆を割けば、後半の展開がより生きてきたような気がします。序盤でほとんど昇の夢に関する描写がない(どころか、むしろ文章を書く事に興味がないように描かれている)ため、いくら菊美とのやり取りがあったと言っても、昇がそこまで後半で打ち込む理由が乏しいような気がしたのですね。

それでも、文芸部の活動という、一見地味な素材を、これだけ上手く料理し、エンターテインメント性も盛り込んだ物語にした手腕は、特筆に値すると思います。キャラ同士の関係にも、程よい緊張感を出していているため、展開がだらけません。また、天文同好会の健二が、何ともいい味を出しています(笑)。エンディングは2種類ありますが、菊美エンドはちょっととってつけた感があります。文子エンドの方が、すっきり綺麗な展開で、こちらがメインルートという事でしょうね。

選択肢が結構あるのですが、変な即死選択肢が多数です。それはいいのですが、ちょっとシナリオ分岐のフラグの条件が分かりにくいところがあります。菊美ルートを目指している時、どこかでフラグ立てを忘れたのか、いきなりゲームオーバーになってしまい、途方にくれてしまいました。

にも関わらず、既読スキップがありません(無条件スキップはあるが、ティラノのスキップは選択肢を選んだ後でも勝手にスキップされたり、とにかく不親切。なんでこんな仕様なのか?)。なので、繰り返しプレイは少し辛いものがあります。この作品は、ティラノスクリプトを使って、ブラウザーでしかプレイできないのですが、マルチエンドの作品は、やはりブラウザーではなく、スタンドアロンでプレイした方がやりやすい気がします(ティラノスクリプトに既読スキップがあるのかどうか分かりませんが)。

ブラウザーでしかプレイできないため、Macでもプレイできますが、文章を送ろうと少しマウスをこすると(Macのマウスにはホイールがありません)、大量にテキストが流れてバックログで読む羽目になったり、お世辞にもプレイしやすいとは言えません。Windowsでプレイした方が、多分快適でしょう。プレイ時間はスムーズに行けば1時間半くらい。地味な見た目で敬遠せず、プレイしてみてください。正統派の学園青春ものがお好きな方なら、きっと楽しめるでしょう。
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