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第433回/八雲立つ、出雲八重垣 - 琥珀の意味(ゲームリンクス)

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琥珀の意味

琥珀の意味■制作者/ゲームリンクス(ダウンロード
■ジャンル/出雲振興ヒューマノイドノベル
■プレイ時間/1時間15分

大学生の恭二は、失恋の痛手を癒そうと、友人の志朗と、縁結びでお馴染みの島根県出雲へやって来た。そこで出会った一人の少女は、迷子のヒューマノイド、琥珀。恭二と志朗は、琥珀のお父さんを探すべく、琥珀と一緒に出雲の街を歩き始めた。遊べばちょっと出雲に詳しくなれる? お手軽紀行ノベル。

ここが○

  • 恭二、志朗、琥珀の掛け合いが面白い。
  • 写真や解説で、出雲の雰囲気を味わえる。
  • 短いが意外と起伏に富んだ作り。

ここが×

  • 後半の展開があまりにも唐突。
  • 男性キャラの立ち絵が縦長過ぎる。
  • システムの関係で、非常にプレイしにくい。

■八雲立つ、出雲八重垣

私は、地方を舞台にした「紀行もの」の作品が結構好きです。古くは「ハーバーランドでつかまえて」の神戸市や「ほたこい」の長野県穂高町、比較的最近(それでも5年前ですが)だと「津軽雪月花」の青森県弘前市など、実在の地方都市を舞台にした作品は、物語以外にも色々と楽しめる要素があって、お気に入りなのです。

そしてこの作品の舞台は、島根県出雲市。島根は私の故郷山口の隣ですから、馴染みが深い場所。海が綺麗で、海沿いをドライブすると眺めが最高です。海の幸も美味しく、とてもいいところです。私も何度も行ったことがありますので、興味津々でダウンロードしてみました。

琥珀の意味まず驚くのは、どうやらこの作品は独自システムを使っている模様です。凄いのですが、NScripterや吉里吉里といった既存のツールに比べると、非常に読み辛いシステムです。既読スキップはあるのですが、スキップを解除する時は、いちいちメニューを開いて「スキップ解除」を選ばないといけませんし、その他色々と遊びにくいシステムです。まあそんなに長い作品ではありませんから、そこは我慢しましょう。

出だしには、AIに関するちょっと意味深な描写があります。いわゆる「サンドウィッチタイプ」と呼ばれる作りです。そしてすぐに、恭二と志朗が出雲で琥珀という名前のヒューマノイドと出会い、彼女の「お父さん」(設計者)を探すために、行動を共にするという幕開けです。旅先での出会いという事で、しかも出会った少女はヒューマノイド。なかなか興味をそそられる始まり方です。

その後、出雲近辺の名所(出雲大社とか、旧大社駅とか、須佐神社とか)6ヶ所のうち、3ヶ所を選んで巡ります。一応、琥珀のお父さんを探すという名目なのですが、なんだかただの観光旅行に見えなくもありません(汗)。ただ、各名所について色々と興味深い説明もされるので、ちょっと出雲に詳しくなれます。

3ヶ所回り終わるとストーリーが後半に向けて動き始めます。が、この後半があまりにも唐突です。恭二は、琥珀が巻き込まれそうになっている事件について勘付いているようなのですが、何せ作中ではそういう描写は一切ないので、読み手は「なんのこっちゃ?」となってしまいます。なのでその後からラストに至る展開でも、プレイヤーは置いてけぼり状態。せっかく恭二、志朗、琥珀の3人のやり取りは軽妙でなかなか魅力的なだけに、もうちょっと中盤までに、丁寧に伏線を張り、設定についてももう少し文章を費やして説明すれば、かなり化けた作品だと思うのですが。

ちなみに、出雲の名所巡りの6ヶ所のうち、2ヶ所で琥珀の好感度が上がる仕掛けのようです。その2ヶ所を両方回ればトゥルーエンド、1ヶ所だけならばグッドエンド。両方選ばなければバッドエンドに分岐する仕組みです。好感度が上がったかどうかは、シナリオをよく読んでいれば、何となく判別できます。難しいようですが、3回回って好感度が上がる2カ所を一度も選ばないのは、5分の1の確率ですから、そうそうバッドエンドに行くこともないと思います。

3つのエンドのうち、グッドエンドが一番物語としてはまとまっている気がします。ただ、「この後どうなるの」というところでぶつっと切れてしまいます。トゥルーエンドは、ちょっと展開がお気軽に過ぎる感がありますし、バッドエンドは本当のバッドエンドで救いようがありません。グッドエンドを、もうちょっと先まで掘り下げて欲しかったように感じました。

それと、琥珀の立ち絵は違和感ないのですが、男性陣の立ち絵が全員妙に縦長なのです。それこそ、ワイド画面用に作ったものを、通常サイズに押し込めた感じというか……。プレイには別に支障はないのですが、なんでこのような仕様になったのか、ちょっと謎ですね。

プレイ時間は、全部のエンディングを見て1時間15分くらいではないかと思います。攻略はそれほど難しくないのですが、あまり軽快に動作するツールではなく、既読スキップも早くはないため、少し忍耐が必要かも知れません。物語を真面目に楽しもうとすると、少し肩透かしを食らってしまうかも知れませんが、旅ものがお好きならば、手軽に楽しめると思います。
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