第45回/迷わず行けよ 行けば分かるさ - 外道狩り(剛腕はりー) - 伝奇
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第45回/迷わず行けよ 行けば分かるさ - 外道狩り(剛腕はりー)

伝奇
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外道狩り

外道狩り準推薦
■制作者/豪腕はりー(ダウンロード
■容量/74.6MB

この世の理の外にあるもの、外道。主人公桂木紳一郎は、外道たちを見る目を持つ「外道狩り」だった。ある日、あるマンションに住む子供が突如神隠しに遭ったかのごとく消えてしまう。桂木は、助手の女子高生優希と共に事件の解決に挑む……。選択肢のない現代伝奇ノベル。

ここが○

  • 独特の配置は面白い効果。
  • 選択肢はないが、メリハリがしっかりしておりテンポが良いシナリオ。ラストも盛り上がる。
  • キャラクターが魅力的。読み物として非常に面白い。

ここが×

  • ツールがYuuki!Novel。
  • 会話がところどころ冗長。そしてフラッシュバックや場面転換を多用しすぎて、少々分かり辛い面も。
  • あまりと言えばあんまりな、BGMの選曲センス。キャラ立ち絵に統一感がないのも難点。

■迷わず行けよ 行けば分かるさ

コミックメーカーや恋愛シミュレーションツクールの作品は既にご紹介してたんですが、45本目のご紹介にして、初めて「Yuuki!Novel」製の作品です。いえ、Yuuki!Novelで作られた作品は何本もプレイしてるんですよ、もちろん。ですがとてもじゃな(以下自粛)。それにしても、ツールの制作難易度と作品完成度は、多くの場合は比例するような気がするのは私だけでしょうか(笑)。この作品もツールがYuuki!Novelと言う事で、操作性の悪さは保証付きです(苦笑)。内容が優れているだけに非常に惜しい点です。実はこの作品、もうちょっと何とかなれば「推薦」としたいところでした。

まず、物語として読んでとても面白いです。伝奇ものとしては、「茜街奇譚」のまさに対極。エンターテインメント性を排し、純粋に出来事を淡々と綴っていた「茜街」に対し、こちらはエンターテインメント性満点。主人公の桂木が、何と言うかギャルゲーあたりにありがちなキャラです。

こう言うのを主人公一人称視点で語らせると、えてして胃もたれがするほどくどいテキストになりがちなのですが、今作は桂木ではなくヒロインである優希の視点で文章が綴られるため、くどさを与えないぎりぎりのところで踏みとどまっています。桂木ではなく、優希視点の一人称にしたのは、大成功だったと思います。桂木視点だったら、多分最初の15分でゴミ箱行きになってました(爆)。

そして、物語が進むにつれて徐々に昔の出来事との絡みや新キャラの登場などで、読む方を飽きさせません。登場するキャラも魅力的。個性的ですが、これまたぎりぎりくどさを与える一歩手前のため、非常に楽しく読めます。終わり方も非常に綺麗です。3時間ほどですが、物語を読んだという満足感は非常に高い作品でした。一部の会話(桂木と広海の会話とか……)が少々冗長だったり、プロレスネタが多すぎる気もしますが、十分許容範囲でしょう。が、フラッシュバックが一部とても効果的に使われていますが、場面転換などが唐突に感じるところもありました。それでも、物語としてのレベルはとても高いと思います。

ではなぜ「推薦」ではなく「準推薦」なのかと言いますと……。個人的に致命的な欠点と感じた点がいくつかあるからです。まずはキャラの立ち絵。桂木だけ別枠で出し、他のキャラは普通に立ち絵と言うレイアウト自体は非常に面白くて効果的なのですが、立ち絵が素材で絵柄等ばらばらのため、非常に違和感が大きいのが惜しまれます。キャラ自体は魅力的なだけになお一層感じますね。まあ終盤になると、その不揃いなキャラ達にも結構愛着を覚えてしまいましたが(笑)。

そして、これが最も致命的な点。音楽です。全て素材なんですが、いくらなんでもこの選曲センスはあんまりにも酷すぎるんじゃないんでしょうか(汗)。ほとんどすべてクラシック曲。しかも、定番中の定番ばかり。それらの曲が、ストーリー展開とは全く無関係に延々と流れ続けます。特に、緊迫の対決シーンでモーツァルトのトルコ行進曲って一体……(苦笑)。他にも、しんみりとしたシーンでいきなりエレキギターの音色で「ふるさと」(文部省唱歌)が流れ始めた時は、さすがに大苦笑してしまいました。私はクラシック好きで、自分でもピアノを少し弾きますんで、音楽は個人的には重視するポイント。これはかなりの減点材料になってしまいます。

あとは選択肢がいくらかでもあれば、と。作品自体がエンターテインメント性抜群だけに、1本道でも選択肢があれば、感情移入度も上がったでしょうし、もっと楽しめたような気がします。

とまあ指摘した難点を抱えても、この作品がとても面白い物語である事に違いはありません。「茜街奇譚は確かに良い物語だと思うけど、もっと破天荒なキャラがばりばり活躍する、痛快な伝奇アクションが読みたい」と言う方には、ぜひお勧めの1本です。
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