第440回/夢の形へGet on! - げっと☆おん(げっと☆おん制作プロジェクト) - 恋愛
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第440回/夢の形へGet on! - げっと☆おん(げっと☆おん制作プロジェクト)

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げっと☆おん

げっと☆おん■制作者/げっと☆おん制作プロジェクト(ダウンロード
■ジャンル/和風喫茶ツンデレノベル
■プレイ時間/15時間

主人公は、とある喫茶店のバイト面接を受けにきていたが、流れで何故かまだ開店していない、別の喫茶店でアルバイトする事になってしまう。その喫茶店の名前は「月と音」。店を取り仕切る東雲雅と協力しながら、バイトを集め、メニューを準備し、和風喫茶「月と音」、いざ開店。2ch発、大ボリュームのマルチヒロイン攻略ノベル。

ここが○

  • 大量の個性的なキャラクター。
  • これまた大量のよくできたBGM。
  • 大ボリュームの文章とフルボイス。

ここが×

  • 長い割にシナリオは盛り上がりに欠ける。
  • 場面が変わると、テキスト読み返しができなくなる。
  • キャラが多すぎて、時々何が何だか分からなくなる。

■夢の形へGet on!

10年くらい前に「しぇいむ☆おん」という作品がありました。2ch発の企画で、喫茶店を舞台にしたマルチヒロインノベルゲーム。この作品は、やはり2ch発で、「しぇいむ」のアナザーストーリー的な作品。しぇいむも登場しますし、前作の面々も総登場します。

システムは、典型的なマップ散策型&カレンダー消費型です。「僕と君の夏休み」「い~びる☆あいっ!」と共通ですね(作中に、さらっとこの二作が出てきたりもします)。地図にはキャラクターの絵が表示されますから、狙ったキャラに会う事自体は難しくありません。ただ、攻略条件が難しいものが多く、狙ったキャラばかりに会っていても、ルートに入れなかったりします。長い作品ですから、ここらはもう少し甘めに調整して欲しかったような気もします。

げっと☆おんまずは、キャラクターの数が多い上、絵柄が(上手ではあるのですが)ちょっと淡白でのっぺりした感じなので、最初はキャラが覚えられずに大変混乱します。みんなが制服を着ていると、なおのことキャラの見分けがつきません。まあ、ある程度プレイしていると徐々に慣れてきますが、とにかく今作は登場キャラが多く、「しぇいむ」の面々も絡んで来ると、訳が分からなくなる事も多数でした。

攻略対象のヒロインは5人(+友人と店長エンドもある)。驚きのフルボイスです。まずは、妹キャラの初夢(はゆ)。分かりやすく「主人公好き好きオーラ」を出してきますし、声がキャラによく合っていました。初夢ルートは、言ってみれば「妹扱いからの脱却」でしょうか。主人公が若干駄目人間な気もしますが、シナリオとしてはまとまっていますし、初夢の告白シーンはとても綺麗です。

彩音は、ちびっ子キャラ。声があまり合っていない気もしましたが、そのうち慣れました。バンドの仲間と仲違いしてどうのこうのという展開。このルートに限りませんが、サブキャラの性格付けがちょっと極端で(彩音自身もちょっと性格がアレですが)、少し疲れます。物語としては普通な感じです。

萌瑛はロシア人のクオーター、しかもヲタという設定。別キャラを2人クリアしている事が、ルートに入る条件です。これまた、萌瑛の父であるイリヤのキャラが極端過ぎて、何が何だか分からない世界が展開します。物語は、萌瑛がロシアに帰るとかどうとか、そういう感じ。もうちょっと盛り上がりどころをちゃんと設定すれば、面白くなったような気がするのですが。ヲタネタが多く、ついてこれない人は全然ついてこれないかも。何故か萌瑛エンドだけ、終わり方が妙に豪華でした。

雅は、一応メインという扱い。ザ・ツンデレキャラです。初夢を先にクリアしないと、このルートに入れません。「月と音」を作った理由とか、そういう重めのテーマではあるのですが(初夢ルートと補完し合っているような展開)、後半はまるでエロゲです(笑)。ここの展開も、好みが分かれるかも知れません。初夢ルートでも思ったのですが、しぇいむのサブキャラより、雅や初夢の両親のような、シナリオ上極めて重要な役割を持つキャラに立ち絵をつけてあげた方が良かったような……。

そして凛。もう最初から幼馴染オーラを放射しまくっていたので、最後に攻略しました。読み手がとっくに気付いているのに、主人公がいつまで経っても気付かないので、ちょっとやきもきします。初恋の人の事を、そう綺麗さっぱり忘れるものじゃないと思うのですが。そして、引っ張って引っ張った挙句、かなりあっさり終わります。なお、このルートは入るのが面倒で、私は1時間近く悩みました。

シナリオライターが複数で、制作に数年かかったからかも知れませんが、もうちょっと起承転結を意識して、盛り上がりどころに向かってしっかり引っ張っていくような作りにすれば、もっと面白くなったように思います。まあ、クリッカブルマップカレンダー消化型は、システム的にそこは共通の欠点なんですが、キャラがどたばたやっているだけ、のようなシーンが多い上、プレイ時間が物凄く長く、そのキャラも、主にヒロイン以外のサブキャラが、ちょっと性格付けが極端です。なのでちょっとだれてしまうのに加えて、ヒロインの印象までも薄くなってしまうんですよね(例えば萌瑛ルートは、完全にイリヤに萌瑛が食われてしまってますし)。惜しまれます。

友人の要人ルートと、しぇいむの阿部店長ルートもあり(この2人のルートは、正直ちょっと蛇足感が)、全ルートを攻略すると、タイトル画面の「おまけ」から、「外伝」なるものが読めます。何やら没シナリオなどがごった煮になった感じで、取り止めがないので、時間がある時に軽く読むのがいいでしょう。

音楽ですが、数十曲あってかなりよくできています。個人的にはタイトル画面の曲がお気に入りです。メロディは和風でもなんでもないんですが、そこに和風楽器を乗せた事で「似非和風ポップス」みたいなミスマッチ感を生んでおり、これが「月と音」のイメージにもぴったり。その他の曲も、真面目な曲からネタ曲までどれも見事な出来栄えでした。ただ、システム面はよく出来てはいるのですが、場面が変わるとテキスト読み返しがリセットされ、それ以前のシーンの文章が読めなくなってしまうのです。これにはちょっと参りました。場面転換が頻繁なので、読み返しができる文章量が凄く少ないのです。

ツールは吉里吉里です。5ヒロイン+2キャラのエンドに、更にプラスアルファで、プレイ時間は15時間はみてください。吉里吉里は精度の高い既読スキップがありますし、バッドエンド後には「なぜなにしぇいむ☆おん」なるヒントコーナーが出るため、攻略の助けになるでしょう(それでも凛ルートは苦戦した)。癖も強いですが、キャラのやり取りが楽しいため、「シナリオよりキャラクター」という人だとたっぷり楽しめるでしょう。私は読了まで1ヶ月以上かかりました。腰を据えて楽しんでみてください。
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