第443回/思い出の空に、雪うさぎ舞う - ゆきんこ-冬の幼馴染-(いねむりスフィンクス) - 伝奇
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第443回/思い出の空に、雪うさぎ舞う - ゆきんこ-冬の幼馴染-(いねむりスフィンクス)

伝奇
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ゆきんこ-冬の幼馴染-

ゆきんこ-冬の幼馴染-■制作者/いねむりスフィンクス(ダウンロード
■ジャンル/幼馴染雪ん娘ノベル
■プレイ時間/1時間半

冬の雪国。高岡槭は高校3年生。年下の米子や同い年の泉、年上の小麦など、毎日幼馴染達と過ごす日々。変わらないと思っていた毎日だったが、そんな毎日にもいつか終わりがやって来る。その時槭はどんな行動をとるのか。幼馴染との交流と、雪女伝説を組み合わせた、伝奇風ノベル。

ここが○

  • 個性的な大量のキャラクター。
  • しっかりしており、過不足ない描写。
  • びっくりしてしまう意外な展開。

ここが×

  • キャラクターが多すぎて関係を描ききれていない。
  • 重要な過去や背景の解説が不十分。
  • なので後半が唐突で急ぎ足。

■思い出の空に、雪うさぎ舞う

またも季節外れな作品をご紹介。こういう作品は冬に読む方が雰囲気があるのでしょうが(しかも私、雪国暮らしだし)、なかなかそう思うようにはいかないものです。この作品は、雪国を舞台にした、伝奇風の物語。雪女だの陰陽師だのといった言葉が出てきますが、あまり伝奇要素は強くないので、そういうのが苦手な方でも、心配する事はありません。

この作品、とにかく登場人物が多いです。主人公の槭の他には、同い年で背が低い幼馴染の泉、年下の米子、年上の幼馴染小麦、同級生の竜彦、泉の兄である和、泉と和のお母さんである温、さらに槭の祖父である茂、更に謎の女性小夜子。話に主に絡んでくるキャラクターだけでも、これだけいます。

ゆきんこ-冬の幼馴染-それほど尺の長い物語ではありませんので、これほど多くのキャラクターを出すと、得てしてキャラクターをきちんと描き切れずに訳が分からないことになりがちですが、この作品は、これほど多くのキャラクターを出しているにも関わらず、しっかり個性付けができています。

またこれだけ多くのキャラがいると、キャラのやり取りだけで流れが停滞しがちなのですが、この作品にはそういうところも見られません。多彩なキャラクターを描きつつも物語は比較的淀みなく流れ、一気に後半に進みます。が、キャラクター自体はよく描けているのですが、流石にこの尺でこの人数はやはり多かったようで、キャラクター同士の繋がりが十分描き切れていない箇所も見られます。正確には、描いてはいるんですが、ちょっと奥行きに欠けるのですね。キャラの人数が増えれば増えるほど、キャラ同士の関係というのはキャラ人数以上に増えていきますから、この人数だと仕方ない面もありますが……。

物語は、中盤の選択肢で2ルートへ分岐します。片方は「ゆきんこルート」、もう一方は「泉ルート」です。どちらも、かなり凄い展開をします。ゆきんこルートは、伝奇風の展開。小麦や槭、小夜子に隠された秘密と、茂や米子の父親までも絡んで、えらくスケールの大きな話です。そしてラストがまたなかなか見ないような終わり方。純粋なハッピーエンドではないものの綺麗な終わり方ではありますが、ちょっと語り足りないところが気になりました。

そして、泉ルートは少しだけサイコサスペンス風? 泉と和の母である温が、実は……という展開から、その後更に泉に隠された秘密までも絡んできて、こちらもかなり凄い展開を見せます。ちょっと展開が無茶な気がしなくもないんですが、ラストはこちらも綺麗で、こちらはちゃんとしたハッピーエンドです。

どちらのルートも、普通ではない工夫を凝らした物語で、驚きの連続なのですが、ただ重要な過去の事件や、物語に関わる大事な設定が、いきなり登場したり、一行で済ませられたりしているところが目につくのが、ちょっと気にかかりました。例えば、泉ルートに於ける温の設定など、前半では何の伏線も言及もありません(そもそも、前半では温に対する描写自体があまりない)。なので、どちらのルートも、展開が意外な事は意外なのですが、唐突感がありますし、展開に説得力が少々乏しいのですね。もう少しバランス良く、前半から少しずつ情報を小出しにして行けば、読んだ時の感覚が違ったような気もしました。

文章は整っており、描写にも過不足がなく読みやすいです。キャラクターは、特に米子は少し極端気味な正確ですが、固めの文章と、少し個性の強いキャラクターが上手く噛み合っており、読み心地は上々です。固めの文章と、ちょっと個性の強いキャラクターって、意外と相性がいいのかも知れません。立ち絵は素材ですが、特に違和感も感じさせず、世界観にも上手く合っていると思います。

ツールは吉里吉里です。選択肢は1ヶ所だけ。片方のエンドを見て1時間、もう一方が30分、合わせて1時間半というところです。どちらのルートからクリアしてもいいのですが、ゆきんこ→泉の方が、多分話が分かりやすいと思います(選択肢を見れば、どちらがどちらのルートかは分かるでしょう)。動きが少ない地味なお話より、少し込み入っていて派手な話がお好きな方なら、楽しめると思いますよ。
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