第456回/雪はいつか解け、花咲く春 - 春(YAOYAプロジェクト) - 学園・青春
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第456回/雪はいつか解け、花咲く春 - 春(YAOYAプロジェクト)

学園・青春
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春■制作者/YAOYAプロジェクト(ダウンロード
■ジャンル/いじめられっ子逆襲ノベル
■プレイ時間/2時間

佐賀千夏は、再婚した母親の相手が大会社の社長で、いきなりお嬢様になった中学生の女の子。その境遇から、クラスでいじめのターゲットにされる。いじめを受けても淡々と受け流す千夏だが、ある日同じクラスの伊藤むつきが、いじめっ子の前に立ちはだかった。テーマは真面目だが、荒唐無稽なバッドエンドに目が点になる事必定の学園物語。

ここが○

  • どのキャラクターも実によく立っている。
  • 暗い描写もあるが、そこまで深刻ではなく、流れもいいので快適に読める。
  • 手が込みすぎている多数のバッドエンド。

ここが×

  • ちょっとキャラが多くて、活かしきれていない。
  • シリアスなシーンで、お笑いバッドエンドが来ると気が抜けてしまう。
  • いじめっ子響子の扱いが中途半端な気が。

■雪はいつか解け、花咲く春

これはかなり古い作品。初出が2007年ですから、10年以上前です。しかし、画面の大きさやテキストのバランスなど、実は今のワイド画面の作品より、この頃の作品の方が読みやすく感じます。今のワイド画面の作品は、せめてテキストが横に表示される幅や改行ピッチくらいは、もうちょっと読み手に配慮して欲しいなと、古めの作品をプレイすると思わされます。

この作品のテーマは「いじめ」です。いじめをテーマにした作品と言えば、つい最近取り上げた「風見鶏は何を想うのか」がありましたが、その他にも「FIzz」「あの丘の上まで」「そこに幸せある限り」など、結構色々あります。いじめをテーマにすると、重めな展開にはなりがちですが、物語としては作りやすい素材なのかも知れません。

春今作の主人公である千夏は、離婚した母親が再婚し、その再婚相手が大会社の社長という事で、その境遇によっていじめられているという設定。いじめグループのリーダーの名前は、最強寺響子。物凄い名前です。一度聞いたら忘れません。日々陰湿ないじめを受ける千夏ですが、そんな彼女に手を差し伸べてくれたのが、明智康平というかっこいいお兄さんと、クラスメイトの伊藤むつきです。

この作品、序盤からかなりたくさん選択肢が出てきます。もちろん即死選択肢もあるんですが、意外とフラグ立てが凝っています。最近は、分岐ものと言っても、最後で分岐するだけか、即死エンド選択肢しかない作品がほとんどなのですが、これくらい凝ったフラグを使った作品はなかなか見ません。

そしてこの作品最大の見所は、数多くあるバッドエンドです。まともな(?)バッドエンドもあるんですが、その多くは、魔法少女になったり、ゴーストハンターになったり、忍者になったり、アイドルになったり、「なんじゃそりゃ!?」と言ってしまう事間違いなしの荒唐無稽な展開ばかり。しかも、選択肢を選んですぐ終わる訳ではなく、ご丁寧に1枚絵が出てきたり、バッドエンドなのに妙に凝っています。

この凝ったバッドエンドが合計16種類も用意されています。ですので、バッドエンドを見ていくだけでも楽しめるでしょう。ちゃんとエンドリストもある親切設計です。ただ、真面目なストーリー展開でいきなりバッドエンドに行ってしまうと、その落差にちょっと目が点になってしまいますが(笑)。

登場キャラクターはかなり多いです。どのキャラクターもしっかり役割を持っていますし、キャラ描写自体はしっかりしているのですが、何せ数が多いため、ちょっと語りきれていないところもあります。千夏の今の父親や兄が千夏を密かに大事に思っている、という件にしても、作中でそれを示すような展開がほとんどないので、ちょっと唐突に感じてしまいます。

それでも、生徒会長の学人と副会長の新菜のコンビなど、出番が多いキャラクターは非常に上手く描かれていました。学人のラストの活躍には、胸のすく思いをする人も多いでしょう。反面、いじめっ子である響子は、反省するでもなく、千夏と和解するでもなく、ちょっと扱いが中途半端なのが気になりました。ラストへ至る全校集会でのイベントはとても盛り上がるのですから、最後にきちんと響子の変化を描いてお話を締めてもらえれば、読後感が大きく変わったと思います(別に読後感が悪い訳ではないのですが)。

いじめがテーマで、そういうシーンもありますが、そこまで陰湿な描写がある訳ではないですし、展開のテンポが良く、千夏を支えてくれるキャラも結構いるので、そうネガティブな気持ちにならずにさくさくと読めると思います。この長さにしてはちょっとキャラクターと設定の盛り込み方が多かったような気もしますが、キャラクターのやり取りはとても楽しく、そのやり取りと大量のバッドエンドを見ているだけでも楽しめるでしょう。

システムは吉里吉里です。かなりフラグ立てが複雑なマルチシナリオなので、全部のエンディングを見るのは骨が折れるかも知れません。私も、独力では全部のエンディングを見られなかったので、攻略を参考にしました(検索で探してみてください)。吉里吉里らしく、非常に高速での既読スキップができるので、それを駆使しましょう。プレイ時間は、全部のエンディングを見れば2時間というところだと思います。全部のエンディングを見ればおまけモードが解放され、おまけシナリオやキャラクター設定、スタッフのメッセージが読めますので、ぜひ楽しみながら全部のエンディングを制覇してみてください。(18.11.22追記/バッドエンド数と、既読スキップについての記述を修正しました。既読スキップはちゃんと実装されていました。お詫びして訂正いたします)
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