第457回/みんなで作れば怖くない - ゼロから作るヘンテコ七不思議(Enharmonic☆Lied) - 学園・青春
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第457回/みんなで作れば怖くない - ゼロから作るヘンテコ七不思議(Enharmonic☆Lied)

学園・青春
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ゼロから作るヘンテコ七不思議

ゼロから作るヘンテコ七不思議準推薦
■制作者/Enharmonic☆Lied(ダウンロード
■ジャンル/怪談制作どたばたノベル
■プレイ時間/1時間

大学生の戸波宵子は、テストでカンニングをしてしまい、他の3人の問題学生と一緒に、罰として学内の掃除をさせられる事に。その3人は「この大学に怪談を作って、大学に復讐しよう」ととんでもない提案をしてくる。かくて、宵子と3人の「ヘンテコ七不思議」制作が始まった。ホラーと見せかけてからのコメディと見せかけて、からの?

ここが○

  • 荒唐無稽な展開が笑える前半。
  • 意外な展開から綺麗に終わる後半。
  • キャラクターの絡みが面白い。

ここが×

  • 後半の展開に対し、何ら伏線が張られていないので、ちょっと唐突感。
  • 他愛がないと言えばそれまでの前半。
  • ちょっと極端気味かも知れないキャラの言動。

■みんなで作れば怖くない

私は、できれば夏には夏らしい作品をプレイしたいなと思う方なので、北海道の夏はもう終わってしまった感がありますが、この作品をプレイしてみました。「えんどれす・ばれんたいん」「おるばり! ある極端な双子の場合」の作者さんの作品です。

この作品、システム的には全く「えんどれす」を踏襲しています。カンニングの罰として、大学内掃除をしなくてはならなくなった主人公の宵子が、同じく罰を与えられた出雲零、七重坂煉、黒川雅広の問題学生3人と、大学に対する復讐のために、何故か「大学内に怪談を作る」事になったというオープニング。えらく突拍子もない出だしです。怪談って、作ろうと思って作れるものなのかというツッコミは、この際置いておきましょう(笑)。

ゼロから作るヘンテコ七不思議ゲーム展開も、「えんどれす」と同様です。選択肢の中から十三階段や開かずの扉など、お馴染みの怪談を選びます。そしてその怪談を作るべく、4人が悪戦苦闘しては空回りし、結局復讐は失敗に終わる、という(笑)。これを6回繰り返し、最後にメインルートへの選択肢が現れるというのも、「えんどれす」と同じ作り。音楽も同じものを使っているので、何だか同じシリーズのように思えてきます。

そして、「えんどれす」の場合は、最後のちょっとシリアスルートが短くてあっさりしていたのですが、この作品は後半が少し長く(全体のプレイ時間の半分くらいはあるはず)、結構読み応えがあります。しかも、前半のおちゃらけぶりからすると、意外なほどシリアスな展開。ホラーという程ではないのですが、これの後半は何に分類すればいいのでしょう。とにかく、後半の展開には面食らいます。

後半の展開は面白いのですが、前半に伏線が全く張られていないので、ちょっと唐突感があります。理想を言えば、前半のそれぞれ6つのルートで、少しずつそれについての伏線を散りばめればと思うのですが、そこまで凝ったものでなくても、せめて零に関わる例のエピソードくらいは、何らかの言及があっても良かったかも知れません。怪談と上手く絡めれば、何かやりようがあったような気もするのですが。

その後半は、緊迫感のある展開です。そして、問題学生達がちゃんとそれぞれの見せ場を持って活躍するのが、好印象。特に、前半ではいいようにいじられるだけだった黒川先輩が格好いいです。まあ、適度に抜けているところも先輩らしいのですが(笑)。前半も後半も、キャラ同士の掛け合いが、流れが淀まずに嫌味でない程度に挟まれ、またそれが面白いので、楽しく読めます。まあ、ちょっとキャラの言動が極端気味ではありますが、コメディなのでこれでいいと思います。

また、後半でちゃんと前半の結果を踏まえているのも上手いなと思いました。特にラストの解決法は「なるほど」と思わされました。上に書いたように、後半のための布石が前半で何ら打たれていないので、その意味ではちょっと唐突感がありますが、前半で積み重ねたキャラクターの関係や、どたばた感覚を何ら崩す事なく、更にそれを上手に生かして後半を作っている作りには、感心しました。

結論として、「えんどれす」ではナンセンスで笑える前半に対し、オチをつけるラストが短くて、作品としての読後感が少し弱かったのですがし、この作品ではそれが解消されていて、バランスも良く、いい読後感の短編作品に仕上がっています。コメディものの作り方として、こういうやり方があるんだなと思わされました。

なお、プレイすれば分かるのですが「おるばり!」のシリーズと世界観が共通しています(「おるばり!」の5年前の物語らしい)。「おるばり!」を知らなくてもプレイには全く問題ありません。知っていれば、ちょっとした小ネタが楽しめるかも知れません。

立ち絵は、流行の絵柄や塗り方ではなく、ちょっとレトロな感じなのですが、デッサン力自体は高く、このレトロな雰囲気が逆にB級っぽさを出していて、私は気に入っています。ツールはNScripter。エンディングは、前半で6つ、後半で2つの合計8つ。全部プレイして1時間ちょっとというところだと思います。一応コメディに分類しましたが、後半はシリアスな展開で、読後感も良好。去り行く夏に、楽しく怪談制作物語はいかがですか?
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