第459回/脳により、心のために動く手 - 脳と手の仲介者は心でなくてはならない(オザキショウゴ) - アクション・ドラマ
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第459回/脳により、心のために動く手 - 脳と手の仲介者は心でなくてはならない(オザキショウゴ)

アクション・ドラマ
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脳と手の仲介者は心でなくてはならない

脳と手の仲介者は心でなくてはならない準推薦
■制作者/オザキショウゴ(ダウンロード
■ジャンル/ハードボイルド天国バトルノベル
■プレイ時間/40分

ここは死後の世界、天国。しかし死後の世界でも、罪を犯す者はおり、それを取り締まる者達もいた。主人公のブロンディは、ある日昔の仲間から「仕事」を依頼される。それは、一人の女性を殺して欲しいというものだった。その女性、イブの元へ向かったブロンディは、天国を揺るがす争いに巻き込まれる事に。奇想天外な舞台と驚くラストのハードな物語。

ここが○

  • 渋いキャラとハードな展開。
  • 次々事件が起こるテンポの良さ。
  • 予想の斜め上を行くラスト。

ここが×

  • 一つ目の女性が夢に出そう(笑)。
  • なんだか全然天国っぽくない気が。
  • 背景画像が現実的過ぎて雰囲気に欠ける。

■脳により、心のために動く手

動脈と静脈」「ダークハーフ」の作者さんの新作です。前二作も個性的な作品でしたが、この作品も大変オリジナリティのある物語です。この作者さんの作風は物凄く独特で、他の誰にも似ていません。今作も独特の「オザキ節」は健在です。

何せ、舞台が天国。これだけ聞くと、何やらファンタジックな物語を想像してしまいますが、全然ファンタジーではなく、むしろハードボイルドアクションとでも言った方が良さそうなストーリー。何せ、主人公の仕事は殺し屋です。天国なのに妙にきな臭い話で、全然天国っぽくありません。そして冒頭いきなり現れる一つ目のお姉さんには、思わず仰け反りました(笑)。

脳と手の仲介者は心でなくてはならないこの作者さんの作品は、前作もその前もそうでしたが、リアリティという意味では、かなり大雑把なところもあります。この作品も、天国を一般的な意味での天国らしく描く事は、最初から放棄しているようにも見えます。が、現実性は追求しなくても、その舞台設定の中でのルール作りはしっかりしており、描写の説得力は非常に高くなっています。ですから、「リアルではないのに嘘っぽくない」のです。これがこの作者さんならではの作風だと思います。

物語は、ブロンディがイブの元へ出向き、そこで新たなトラブルに巻き込まれるという展開。短い物語ですし、伏線がものを言うタイプのストーリーではありませんが、流れるようなテンポの良い展開と、バトルシーンの迫力、それに短編ながら濃密な人間関係の描写で、一気に読ませてくれます。非常に渋い男の物語という感じ。この作者さんは、恋愛方面に振った描写はあまりしない印象ですが、恋愛とは一味違う人間関係を描くのに、非常に長けているという印象です。

そして、舞台が天国なのに、妙に現実的な問題が出てきたりします。なかなか思い付けないセンスです。天国なのにばんばん人を殺してしまうという、ある意味イカれた展開です(笑)。既に死んでしまった人がまた死んでしまうと言うのが、シュールというか何というか(笑)。

上で伏線が物を言うタイプの物語ではないと書きましたが、ラストではなかなか粋な伏線の回収を見せてくれます。そしてその後に訪れる衝撃のラストには、しばし呆然としてしまいました。フリーのノベルゲームでこんな物凄い展開をした作品は、なかなかないと思います。神様の見た目とそれまでのハードな展開とのギャップにちょっと笑ってしまいましたが、それにしても神様、ちょっと無責任じゃないですか?(笑)

そういう訳で、全然リアルな物語ではないですし、真面目に宗教的な天国観を持って読むと、なんだこれはと言いたくなる人もあるかも知れませんが、非常に独自の世界観を持ち、独自なキャラクターが動き、独自なオチがつく作品です。ただ、背景写真が現代日本過ぎて、ちょっと雰囲気に欠けるきらいがあります。背景くらいは、もうちょっと幻想的なものというか、天国を感じさせるようなものにするか、そういう加工をしてもよかったんじゃないかとも思いました。

あと、この作者さんの作品は何本か読んでいるんですが(「ななつぼし」含む)、男同士の渋い関係には非常に素晴らしいものがありますが、恋愛方面の描写は少し弱く感じます(「ダークハーフ」でも、「君らいつの間に?」というラストでしたし)。今作のブロンディとイブは、あまり深入りしないドライとも言える関係が良かったのですが、今後はそこにも一歩踏み込んだ作品も見てみたい気がしますね。

ツールはティラノスクリプトです。選択肢はなく、プレイ時間は40分くらいでしょう。一応ファンタジーに分類しましたが、一般的なファンタジーを期待して読むと、一本背負いを食らいます(18.11.7/ジャンルを「アクション・ドラマ」に変更しました)。一味違った、渋くて硬派な物語を読んでみたい方にお勧めです。前代未聞のラストに、驚いてください。
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