第462回/雨のち夕焼けのち晴れ - Afterglow(スズダラー) - シリアス・感動系
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第462回/雨のち夕焼けのち晴れ - Afterglow(スズダラー)

シリアス・感動系
  • comment0
  • trackback-

Afterglow

Afterglow準推薦
■制作者/スズダラー(ダウンロード
■ジャンル/友情で思い出と決別ノベル
■プレイ時間/4時間

澤井誠太は、交通事故で記憶を無くし、足を痛めてから、働く事もなく、何となく過ごす毎日だった。ある日誠太が恋人の咲と一緒に暮らすアパートの一室に、友人の圭介がやって来た。彼はコンビニのバイト募集のチラシを携えており、誠太にコンビニのバイトを勧める。コンビニでの人間模様とそして誠太の過去を描く、シリアスな長編物語。

ここが○

  • 真面目なキャラとちょっとおふざけキャラとが、お互いをバランス良く立て合っている。
  • 丁寧に描写された人間関係。
  • ラストの盛り上がりと、すっきりした読後感。

ここが×

  • 過去回想がいきなり、しかも頻繁に入って分かりにくい。
  • 特に後半は展開が澱む上、主人公の後ろ向きな言動も手伝って、ちょっと疲れる。
  • 主人公に感情移入が難しい。

■雨のち夕焼けのち晴れ

最近、短編作品が多かったのですが、久々に長い作品のご紹介です。実はこの作品、3年くらい前に既に読了していました。何故レビューを書かなかったのか謎ですが、3年前は色々と私事で忙しかったので、プレイしてそれっきりになってしまったのでしょう。読み始めてすぐに、「あれ、これは前に読んだ事あるのでは」と気付いて、オチまで思い出したのですが、せっかくなので改めて通して読んでみました。

主人公は社会人です。交通事故で片脚を痛め、更に記憶を失っている状態で、働きもせずに毎日を恋人の咲と何となく過ごしています。そんな彼の元に、騒がしい友人圭介がやって来て、コンビニでのアルバイトを勧めるというオープニング。展開としては地味ですが、口数が少なく真面目な主人公の誠太と、騒がしい圭介とのコンビネーションが面白く、キャラクターが上手く引っ張ってくれます。

Afterglowアルバイトを始めたコンビニ、ホットストアーでも個性的な面々と遭遇します。筋肉男の店長、それに音大生の真弓。店長は口癖も独特なら言動も常人離れ。対して真弓は寡黙で自分の世界に閉じ籠るタイプ。主に物語に関わるメインキャラクターは合計5人なのですが、キャラクターの性格付けは、どちらかと言うと両極端です。

が、この両極端なキャラクター達が、お互いをバランス良く支えて、お互いの欠点を対照的なキャラクターが打ち消すと言う、とてもいい相乗効果を生んでいます。このキャラクターの動かし方はお見事です。特に、前半では何の役にも立たないように思える店長や圭介が、狂言回しとして実に効いていました。また、真弓も実に魅力的なキャラクター。私がもしこの物語を書いていたら、絶対に真弓エンドを作っていたと思います(笑)。

そして物語は中盤から核心に入っていきます。私は今回二度目のプレイでしたから、オチは最初から分かっていたのですが、最初にプレイした時も、この辺りで薄々秘密に気付いた記憶があります。そしてこの物語、そこからがえらく長いのです。物理的に長いというより、物語の進行に比して描写量が多く、実際より長さを感じやすいのです。

更に、この後半から主人公の壊れっぷりが一層酷くなり、描写の長さも相俟って、もしかしたら友人の圭介でなくても付き合い切れなくなる人が出てくるかもしれません。この後半は、読み手の多くも、隠された謎に「もしかして」と気付くでしょうから、ここはもっとさらりと流して、その勢いのまま一気にクライマックスに流れた方が良かったような気がします。私はちょっと、この後半は胃にもたれてしまいました。

そういう訳なので、特に後半は主人公に感情移入する事が難しいです。それでなくても、主人公は記憶喪失という設定ですので、読み手に感情移入させる事が難しい状態なのに、過去にも重い家庭環境があり、更にそこへ持って来て、読み手が感情移入しにくい行動をとるものですから、なおの事でした(圭介の方が感情移入しやすいキャラクターかも……)。もうちょっと読み手が共感しやすいようには出来なかったものかと……。特に、真弓に関してはメールも完全放置で、「ちょっとそれは酷いんじゃ」と思いました(汗)。

そしてラスト。予想通りと言えば予想通りの展開なのですが、ここでもサブキャラ達が非常にいい活躍を見せて、とても盛り上がるラストシーンを見せてくれます。最後の最後に真弓を絡ませて来たのが、実にいいですね。特に圭介の格好いい事と言ったら! そして途中までは、読み手の感情移入を拒否するかのような誠太でしたが、最後は前向きな人生を歩んでおり、読後感は良好です。何とかあの後、真弓と再会して欲しいなと感じました。

文章は整っていて読みやすく、描写も綺麗です。マウスのクリックではなく、マウスホイールの下回転で文章を送れるので(文章主体の長編作品だと、これがあるかないかで大分違いますよね)、長い作品ですが、その意味ではストレスなく快適に読めると思います。ただ、作中頻繁に、しかも突然に過去回想が入るのですが、これはちょっと分かりにくくて困りました。

とにかく、圭介と真弓、それに店長というサブキャラ達が素晴らしく、逆にそれが主人公への感情移入をしにくくしているという話もありますが(汗)、長編としての読み応えは十分な作品です。ツールはNScripter。選択肢のない一本道で、プレイ時間は4時間から5時間だと思います。満腹感のある作品です。時間のある時に、じっくり読んでみてください。
関連記事

Comments 0

Leave a reply