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第464回/ルームメイトは吸血鬼 - だから私は本物の吸血鬼なんだってば!(熊手)

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だから私は本物の吸血鬼なんだってば!

だから私は本物の吸血鬼なんだってば!■制作者/熊手(ダウンロード版ブラウザー版
■ジャンル/吸血鬼&クラスメイト三角関係ノベル
■プレイ時間/1時間

高校生の大貴は、ある日夜自転車を漕いでいて、少女とぶつかってしまう。怪我をしたと騒ぐ相手を自宅に連れ帰るが、その少女ヘレンは、なんと自分は吸血鬼だという。全く信じない大貴だが、成り行きでヘレンを自宅に住まわせる事になった。そうして巻き起こるトラブルと、更に増える同居人。スタンダードな同居型恋愛ノベル。

ここが○

  • 可愛い二人のヒロイン。
  • 短い中にバランスよく配分されたイベント。
  • 綺麗なハッピーエンドで良い読後感。

ここが×

  • ヒロインの設定がほとんど生かされていない。
  • ラストの伏線も張られていないので、唐突感。
  • 少々御都合主義的な展開。

■ルームメイトは吸血鬼

文章だけの作品が三連続です。珍しいですが、文章しかない作品は、1人でも手軽に作れるだけに、作者さんの書きたい事がダイレクトに味わえるという面白さもあって、私は時々あえて絵のない作品を探しに行ったりもします。この作品は、「ストーリーテラーを作ろう!」の作者さんの手によるものです。

前作は、分かりやすく個性的なキャラクターと、バランスよく配置されたイベント、それに適度な起伏で飽きずに読ませる佳作でした。それらの特長は今作でも共通です。より描写はマンガチックになっていますが、キャラクターが絞り込まれ、テーマも分かりやすくなっているため、前作よりもエンターテインメント性は上がっているかも知れません。

だから私は本物の吸血鬼なんだってば!今作の主人公は高校生の大貴。彼は一戸建ての家に一人暮らしという、この手の作品ではよくある境遇。そしてある日出会った自称吸血鬼の少女ヘレンと、成り行き上同居する事になります。典型的なボーイミーツガール同居型の展開です。更にその後、訳ありクラスメイトの瑞菜も、調理係として大貴の家に転がり込んできて、主人公とヒロイン二人が一つ屋根の下で暮らすという、同居型ノベルとしてはあまり見ない展開です。

この辺り、御都合主義と言えば御都合主義の展開ですが(瑞菜の両親の対応が、あまりと言えばあまりな気が)、その分同じ家でヒロイン2人と暮らすという、あり得ない設定を存分に楽しむ事ができます。ヒロイン2人は、きちんと個性づけされており、立ち絵はないのですが2人ともとても可愛らしく、イベントでの反応を見るのも楽しいと思います。

ただ、メインヒロインの自称吸血鬼ヘレンは、吸血鬼らしいところがほとんどなく、設定が生かされているとは言いがたい状況です。日中でも(日傘をさしてではありますが)堂々と外で活動しますし、プールにまで行ってしまいます。その他、吸血鬼としての特徴が何も見えないので、これは大貴でなくても口からでまかせ扱いをしてしまうでしょう。せっかくの設定ですから、もうちょっとそれを生かした展開があっても面白かったのではないでしょうか。

そして物語は後半に急展開を迎えます。ここで、それまでの選択肢により分岐するのですが、この分岐条件がえらく難しく、私は五、六回連続でバッドエンドに行ってしまいました。ノートに選択肢を書きながらあれこれ試して、ようやくバッドエンドを回避できたのですが、ここのフラグ立てがちょっと難しい感じです。バッドエンドを回避した時も、何故その選択肢だと良かったのかがよく分かりませんでした。選択肢で直接分岐するのではなく、過去の選択肢の累積で分岐する時は、少し正しい選択肢が分かるような工夫があれば、と。

バッドエンド以外のエンディングは3種類で、ひとたびバッドエンドを回避する事さえできれば、ここは選択肢で直接分岐するので難しくありません。こうあって欲しいというエンドがちゃんと用意されていて、手軽な分岐恋愛ノベルとして後半の展開は楽しく、また程よい緊張感を持って読めます。展開が分岐する物語は、やたら分岐を増やすより、これくらいがちょうどいいのかも知れません。

エンディングは、ちょっと反則気味な展開を見せます。ヘレンエンドも瑞菜エンドも、これはこれで、文句なしの大団円でその意味では満足なのですが、その時の展開(現れるキャラとか)に対する伏線が全く張られていないので、ちょっと唐突感も感じます。ヘレン自身の吸血鬼という設定を生かす事とも関わりますが、その辺り前半から少し種をまいておけば、もっとラストの効果というか説得力が増したかも知れません。個人的には瑞菜エンドの方が綺麗かなと思いました。

と、気になる点はあるものの、キャラクター同士のやり取りが、くどくない範囲で楽しく、ずっと読んでいたいと感じさせてくれる物語でした。ツールはティラノスクリプトです。エンディングは4つで、プレイ時間はスムーズに行けば1時間くらい(バッドエンドの選択肢のところで迷うと、もっとかかるでしょう)。同居型恋愛ノベルがお好きな方なら、きっと楽しめる作品だと思いますので、読んでみてください。
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