第465回/カーテンコールは地獄から - 罪咎オペレッタ(灰色) - シリアス・感動系
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第465回/カーテンコールは地獄から - 罪咎オペレッタ(灰色)

シリアス・感動系
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罪咎オペレッタ

罪咎オペレッタ準推薦
■制作者/灰色(ダウンロード
■ジャンル/クズ+クズ=滅亡ノベル
■プレイ時間/15分

何不自由なく暮らしていたお嬢様が、ある日街でホームレスの少年を拾って連れて帰る。最初は犬のようにしか見えなかったその少年は、徐々に人間性を取り戻していった。……かのように見えたのだが。やがて少年は屋敷の執事となり忠実に少女に仕える。……と思わせてからの。超短編ながら、衝撃的な展開で読み手を突き落とす物語。

ここが○

  • 展開が衝撃的。
  • 多数の1枚絵を使っており臨場感満点。
  • 演出も凝っており、独特の世界観。

ここが×

  • 登場人物に善人が皆無。
  • 読み手を突き放す展開。
  • なのでどこにも感情移入するポイントがない。

■カーテンコールは地獄から

またもの凄い作品の登場です。最初に書いておきますが、この作品は全く私の好みには合いません。作者さんからの自薦でプレイしてみたのですが、こんな作風の作品は初めてプレイしました(普段は、避けて通るタイプの作品ですからね)。それでも、全体の完成度は高く、好きな人ならばきっと気に入るはずだと思い、「準推薦」でのご紹介です。「シリアス・感動系」に分類しましたが、シリアスではあっても感動できるタイプのお話ではないですから、念のため。

冒頭から、絵と音による演出がぶっ飛んでいます。ぱっと見は絵本風の演出で文章もそんな感じなんですが、ところどころにアレな絵が挿入されて、読み手を驚かせます。人によっては、冒頭でついていけないと感じる人もあるかも知れませんが、短い作品ですので、我慢してプレイしてみてください。最後にはその雰囲気が払拭される、なんて事は全くありません(笑)。

罪咎オペレッタプレイしてちょっと気になった点なのですが、この作品はかなり多数の1枚絵を使っており、演出も凝っています。なのに、画面下のテキストウィンドウが不透明で、その部分の絵は全然見えないのですね(ウィンドウサイズがワイドなので、なおの事テキストウィンドウが大きく感じ、圧迫感を感じる)。ウィンドウをワイドではない通常サイズにしてテキストウィンドウの大きさをもうちょっと調整するか、テキストウィンドウを透過処理した方が良かったのではないでしょうか。もちろん、テキストウィンドウは消せるのですが、せっかくの1枚絵がちょっと勿体無く感じました。

さて、この物語ですが、善人は一切登場しません(笑)。こういう意味でも私の好みとは正反対なのですが、主な登場人物2人とも、そのクズっぷりが清々しいほどです。当然どうしようもないエンディングを迎えるのですが、主人公が金庫に走るところなんて、笑ってしまいました。そして予想通りの結末を迎えるという……。色々な知識をつけた彼も、結局あまり賢くはなれなかった様子で(笑)。

また、お嬢様がお嬢様で凄い女の子です。ただ、途中でお屋敷の人をお嬢様が毒で皆殺しにするという描写がありますが、なぜそんな事をしなくてはならなかったのかが描かれないので、ちょっと消化不良感があります。前後の描写で「このお嬢様ならそんな事するだろうな」という感じでもないので、唐突でもありました。ここはきちんと描いて欲しかった気がします。

そういう訳で、この物語にはどこにも感情移入するポイントがありません。登場人物はアレな人しかいませんし、展開もとんでもないですし、救いようのないオチがつきますし。なので一人称で描かれていたりしたら、途中で嫌になってしまったかも知れませんが、三人称で、しかも絵本のように淡々と丁寧な文章で語られていたので、読み手に与えるストレスがかなり軽減されています。この工夫はよく考えられているなあと感心しました。

そして、読み終わるとおまけも見られますが、主人公とお嬢様の漫才みたいなおまけで、本編のダークさをかなり軽減してくれています。2人の性格も本編のままなのですが、それでいて結構和みます。そこまで計算しておまけを用意したのだとしたら、作者さんのセンスには脱帽ものです。

まあ、2人ともクズではあるのですが、環境を鑑みると全ては憎めないところもあります。そして、クズが更生するかと思いきや、最後までクズはクズのままで、なるほどやって来た事には報いを受けるものだなあと、後味の悪い話なのですが妙に考えさせられました。こういうアプローチも、物語を作る上での手法の一つだと思います。

ツールはティラノスクリプトです。選択肢はなく、プレイ時間は15分程度。とにかく色々な意味で衝撃的な作品です。私のようにハッピーエンド至上主義、フィクションで後味の悪い話なんて読みたくないという方には、正直に申し上げてお勧めしかねるのですが、1枚絵の演出なども含めて、1本の物語としてはとてもよくできています。ダークな作風の物語が好みなのであれば、是非プレイしてみてください。
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