第476回/噛み合わなくても兄と妹 - 白雪舞う夏の日々(Wedge White) - 日常
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第476回/噛み合わなくても兄と妹 - 白雪舞う夏の日々(Wedge White)

日常
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白雪舞う夏の日々

白雪舞う夏の日々■制作者/Wedge White(ダウンロード
■ジャンル/兄妹何気ない日常ノベル
■プレイ時間/30分

天井龍也は剣道に打ち込む真面目な高校1年生。対して2つ年下の妹小雪は人見知りが激しい中学2年生。兄の龍也とも疎遠だったが、人見知りを克服するため、兄とまずは交流しようと声をかけてきた。アイスにお菓子にゲーム。2人はだんだん遠慮する事なく会話する事ができるように。何気ない兄弟の日常の交流シーンを描いた短編物語。

ここが○

  • テンポの良い会話。
  • 等身大の中高生を上手く描写している。
  • 文字サイズやウィンドウの横幅が適切で、とても読みやすい。

ここが×

  • ダウンロード版はバグがあり、特定の選択肢を選ぶと止まってしまう。
  • 起承転結やオチがあるわけではなく、物語としての面白さは薄い。
  • 地の文がないため、ゲームのシーンは知識がないと訳が分からない。

■噛み合わなくても兄と妹

2作連続で「妹もの」です。が、前回の「イモウト及第点」と比べて、こちらは「妹萌え」というような要素がありません(まあ「イモウト及第点」も、そういうのがメインの作品ではありませんでしたが)。単純に、妹との交流を描いたショートストーリーです。

主人公の龍也は、剣道をやっている硬派な感じの青年。一方妹の小雪は、兄には強気な発言を連発するものの、人見知りが激しく、学校でも限られた友人しかいない様子。なので、その状態を打破しようと、ちょっと疎遠になっていた兄とまずは当たり前に会話するようにしたというスタートです。兄妹ものの設定としては、なかなか面白い出だしだと思います。

白雪舞う夏の日々ただ、その設定が物語で十分に生かせているかというと、ちょっと疑問符がつきます。「イモウト及第点」では、兄妹間のぎくしゃくとした描写が結構しっかり描かれ、その後距離感が徐々に縮まるというのがしっかり描写されていましたが、こちらは「しばらく疎遠になっていた」という設定のはずなのですが、最初からそんな設定などないかのような、当たり前の会話が続きます。そして最後まで2人の関係は変わらないままです。

この作品は、起承転結が特にある訳ではなく、またどこかに盛り上がりどころや、特別なオチがつく訳でもなく、最初から最後まで、ただ龍也と小雪の会話が続くだけです。それはそれで短編物語の方向性の1つとしてはありだと思うのですが、なればこそ、2人の関係性の変化が、もう少しちゃんと描かれていれば、より魅力的な作品になったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

さて、途中で選択肢が入り、物語は3種類に分岐します。分岐先でも選択肢がありますが、2人の会話が変わるくらいで、特に展開が変わる訳ではありません。また3種類の分岐も、展開というよりは会話の内容が変わるくらいのものです。あくまで「2人の何気ない会話を楽しむ」作品ですから、これはこれで面白い試みです。小雪の反応がなかなか面白く、つい全部の選択肢を試したくなる辺り、上手い作りです。「2人の関係性の変化が描かれていれば」と書きましたが、等身大の兄妹のやり取り自体は、とてもよく描けていると思います。

ただ、ある選択肢で2人がゲームをやるシーンが描写されますが、ネットスラングのような単語や、ゲームのシステムの単語が多く、ゲームをやらない私は、何が何やら分かりませんでした。中高生の物語ですから、それでもいいと思うのですが、この作品にはいわゆる「地の文」がほとんどないため、会話だけだとこういう時、知識のない人間には意味不明になってしまいます。その箇所だけでも、地の文で適宜説明を入れてもらえれば分かりやすかったと思います。

それと、私はWindowsのダウンロード版をプレイしましたが、選択肢の1つ(シナリオ分岐の3つの選択肢の真ん中)を選んだところ、エラーメッセージが出て止まってしまいました。仕方がないのでブラウザー版をやりましたけど。バージョンアップで修正されて入ればいいのですが。

小雪は、ちょっとだけ喋ります。台詞を喋るのではなく、台詞の状況にあった一言メッセージを喋るのです。エモーショナルボイスと言うんでしょうか。妻がプレイしていたスマートフォンのゲームで、同じようなシステムの作品を見た事があります。こう言う、会話主体の日常作品ならば、ありな演出方法だと思います。また、龍也の発言の時は小雪の立ち絵がちょっと暗くなったり、プレイヤーに配慮した作りは素晴らしいです。文字サイズや文章の横幅も適度で、文章もとても読みやすく、これは他作品にも見習って欲しいと感じた点です。

ツールはティラノスクリプトです。3本のルートを1つ読むとパスワードが分かり、全部のパスワードを入れるとおまけを読め、そのおまけで更にパスワードが分かり、そのパスワードでエピローグが読めるという、凝ったシステムを採用しています(ブラウザーで遊ばせるための仕掛けかも知れませんが)。全部読んでも30分でしょう。ちゃんと盛り上がりどころのある物語ではないので、好みは分かれるかも知れませんが、時にはこういう肩肘張らずに会話を楽しめる作品も、いいものですね。
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