第488回/人生は所詮人形劇 - 人形劇が終わる夜(Mjollnir Project) - SF
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第488回/人生は所詮人形劇 - 人形劇が終わる夜(Mjollnir Project)

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人形劇が終わる夜

人形劇が終わる夜■制作者/Mjollnir Project(ダウンロード
■ジャンル/人形達の特殊能力ノベル
■プレイ時間/45分

物を偽造できる特殊能力を持っている千葉明は、その能力のために捕まり、出所したばかりだった。その彼の元に現れたのは、姉沙奈恵の友人、吉見さん。吉見さんは仕事のない明に、仕事を紹介してくれた。吉見さんが紹介してくれた仕事をしながら、明は姉を探す事にするのだが。数度のどんでん返しととんでもないラストで驚かされる短編物語。

ここが◯

  • キャラクターの立ち絵が可愛い。
  • 数度のどんでん返しに驚かされる。
  • 特殊な設定が興味をそそられる。

ここが×

  • システムに少々難あり。
  • 設定の説得力に少し欠けるため、よく分からないところも。
  • 後味がいいとは言えない終わり方。

■人生は所詮人形劇

5月にレビューを再開して、この作品がちょうど再開100本目の作品です。この作者さんの名前には見覚えがあるなと思ったら、チェインコンプレックス」の作者さんでした。あの作品は、独特な設定が面白いSFもので、謎が徐々に明らかになる作りも面白かったのですが、後味の悪さも半端ではなく、今作もどうだろうと思ってプレイしました。そうすると、やはり独特の後味の悪さは健在(?)でした。

この作品の設定は、生まれつき特殊な能力を持った人間がいる世界。主人公千葉明の能力は、物を偽造する能力です。このため政府は偽造を非常に厳しく取り締まるようになり、明は2年間の刑務所生活を余儀なくされました。明が出所し、姉沙奈恵の友人である吉見さんと出会うところから、物語が始まります。

人形劇が終わる夜序盤は、のんびりとした展開です。吉見さんの妹であるマコが登場するのですが、マコとのやり取りも楽しく読めます。明、吉見さん、マコ、それに姉の沙奈恵は、それぞれ個性的で魅力のあるキャラクターです。立ち絵も柔らかい絵柄で可愛らしく、前半はキャラ同士のやり取りを見ているだけで楽しめるでしょう。

そして中盤からいきなり物語はとんでもない展開を見せます(その前の、沙奈恵が実はもう……という辺りも、十分とんでもないと言えばとんでもないのですが)。ここでまずプレイヤーを一つ驚かせてから、前半ののんびりした展開が嘘のように、物語は更に急ピッチでクライマックスへと進んでいきます。

クライマックスへ進むに辺り、更に二、三箇所でどんでん返しというか意外な展開を見せ、読み手は何度も予想もしない展開に息を飲むでしょう。特に、「実は沙奈恵が……」というどんでん返しが3回くらい来るので、しまいには「何じゃそりゃ!」と言ってしまいました(笑)。

そしてラスト。冒頭に書いた通り、何とも後味の悪い結末を迎えます。「チェインコンプレックス」同様、誰も幸せにならない終わり方です。その結末も、ちゃんと描かれるのではなく、この結末を回避する事ができなかった第三者の口から客観的に語られるだけですので、ある意味後味の悪さを増幅させています。この後味の悪さを狙って作ったのなら大したものですが、それにしても読了後には何とも暗い気持ちになってしまいました(前半が楽しかっただけに、その落差で余計に)。後半には結構グロテスクな描写もあるので、苦手な人は苦手かも知れません。

ラストは好き好きでしょうが、主人公その他が持つ特殊能力について、作中で説得力のある土台の描写がほとんどなされていないため、この特殊能力やそれに絡む組織の描写が、少し真実味を欠く嫌いがあります。こういうのは、リアルに詳しく説明すればいいというものではないのですが、「リアルっぽく見せる」ための、それっぽい描写はもう少しあっても良かった気がしました。

それと、ツールは吉里吉里でプレイしやすいのですが、途中で(後半とエピローグ前で)「このまま続きをプレイするか、タイトルに戻るか」の選択肢が現れます。ここで何故かマウスのクリックを受け付けなくなってしまって焦りました。こういう場合は、カーソルキーの上下とenterキーで対処できますので、もし同じ症状になっても慌てずにキーボードで操作してみてください。それ以外は軽く反応もよく、さすがは吉里吉里です。

一応、SFに分類しましたが、他に分類できないのでSFにしただけで、ほとんどSFっぽくはありません。プレイ時間は、作者さんは1〜2時間と書いていますが、そんなにはかかりません。45分くらいだと思います。選択肢はなく、一本道。とにかく後味は悪い物語ですが、何度も意外な展開を見せますので、「後味の良さなんて求めない。超展開であっと言わせて欲しい」という方にお勧めします。
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