第491回/3分10円のミステリー - 公衆電話(加藤匠) - 探索・謎解き
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第491回/3分10円のミステリー - 公衆電話(加藤匠)

探索・謎解き
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公衆電話

公衆電話準推薦
■制作者/加藤匠(ダウンロード
■ジャンル/電話一本過去改変ADV
■プレイ時間/30分

ゲームクリエイターとして働く佐藤直樹は、気がつくと見知らぬ土地で公衆電話に閉じ込められてしまっていた。スマートフォンも持っておらず、手元にあるのは十円玉が3枚だけ。この状況で、何とかして脱出する手段を探さねばならない。狭い閉鎖空間で、手段は電話だけという珍しい脱出アドベンチャー。

ここが○

  • 徐々に可能性が見えてくる様子。
  • 短編だが、人間関係の妙味が味わえる展開。
  • メッセージ性もあるテーマ。

ここが×

  • 文章読み返しができないのがかなり痛い。
  • 全体に動作が重くプレイしにくい。
  • あの女は結局何者だったのか。

■3分10円のミステリー

スマートフォン全盛の現代、公衆電話はもう用無しだと思う方もあるでしょうが、先日の胆振東部地震では、札幌市内でも公衆電話にちょっとした行列ができました。基地局も停電で、携帯電話の類は役立たずになったのです。やはり、災害時などには必須の施設だなと思わされました。そしてそんな公衆電話をテーマにした、一風変わったアドベンチャーゲームのご紹介です。

FLASHによる脱出ゲームは、皆さんも一度は遊んだ事があるかと思います。私もたまに遊びます。この作品は、ノベルゲーム(ADV)の形式をとった脱出ゲームですが、取れる手段が探索などではなく、電話だけというのが新しいです。タイトルもシンプルかつストレートに、「公衆電話」。謎を解く脱出ゲームならではの面白さと、意外なストーリー性が上手くマッチしています。

公衆電話主人公である直樹の所持品は、十円玉3枚。他には何も情報が与えられていませんし、電話をかける以外の行動はとれません。なので、かけられる番号なんてたかが知れているのですが、誰もが思いつく番号から、自然に少しずつ情報が得られ、話が展開していくという様子が、大変よくできています。一見ホラー風に見えるのですが、実は全然ホラーではなく、むしろちょっとSF風でもあります。

そして後半で、とある情報が得られて新しい展開があるのですが、短編アドベンチャーながら、そこでの展開の持つテーマ性、それに主人公が自分を見直していく様子が非常に見事に描けています。脱出アドベンチャーとして面白いだけでなく、短編ながら見事にメッセージ性も盛り込んでみせた作者さんの手腕は、大したものだと思います。まあ各ルートの展開自体はあっさりしたものですが。

ただ、お世辞にもプレイしやすいゲームとは言えません。まず、文章の読み返しができません。なので、メモをとる必要がある時、うっかりメッセージを送ってしまわないように気をつけてください。また、電話をかけるシーンでも、番号を入れ直そうと「AC」を押すと、妙な間があったりします。全体に、軽快に動くとは言い難いです。最初に「タップしてスタート」と出ますから、完全にスマートフォン用なのでしょうね。

エンディングは合計7種類です。言ってしまえばどのルートも後半は同じような展開になるのですが、それぞれのエンディングでは関わる人が変わっており、電話一本で人生が変わってしまう様子が、妙なリアリティを感じさせてくれます。友達だと思っていた3人が、残らず冷たい対応をしてくる辺りも、人生の縮図と言うか何と言うか……。また、意外な番号でもエンディングに繋がったりしたのには驚きました。

反面、177(天気予報)とか117(時報)とか104(番号案内)とか113(電話の故障)とか、誰でも思い付く番号が「現在使用されておりません」になってしまったりします。このくらいは、何か対応させてくれても良かったような気がしました。まあ、録音を再生するだけの177とか117と比べて、104は対応のしようもないですから、仕方ないのかも知れませんが。

音楽などはほぼなく、効果音のみですが、それがまた古のサウンドノベル(「弟切草」とか)を彷彿させてくれて、意外に雰囲気を高めています。セーブができず、既読スキップもありませんが、1回のプレイはわずか3分ですから、そこまで不都合はないでしょう。気になったのは、途中で出てくる謎の女。あれは一体何だったのでしょうか。真相が語られるエンディングで、少し言及があっても良かったような気がしました。

ツールはティラノスクリプト。上に書いたように1回のプレイはたったの3分。最初は必ずバッドエンドになりますが、全7種類のエンディングを見ても、順調ならば30分かからない程度だと思います。徐々に情報が出てきて真実に導かれるような作りになっているので、決して難しくありません。謎解きタイプのアドベンチャーが苦手な人でも、気軽にプレイできると思います。
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