第493回/悔しさは、夢の扉を開く鍵 - 気になるあの子は声優さんを目指しています♪(Advancing Games) - 学園・青春
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第493回/悔しさは、夢の扉を開く鍵 - 気になるあの子は声優さんを目指しています♪(Advancing Games)

学園・青春
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気になるあの子は声優さんを目指しています♪

気になるあの子は声優さんを目指しています♪■制作者/Advancing Games(ダウンロード
■ジャンル/夢と恋愛一緒に追求ノベル
■プレイ時間/2時間

高校3年生の黛悠斗には、気になる相手がいた。それはクラスメイトの天沢莉桜。彼女には声優になるという夢があり、高校を卒業したら専門学校へ進む事になっていた。しかし悠斗は未だ莉桜の連絡先さえ知らない始末。親友の信康や幼馴染も巻き込んで、残りの高校生活を楽しみ、夢と恋を一緒に叶える事ができるのか。正統派学園恋愛物語。

ここが◯

  • 今ではあまり見ない正統派の作り。
  • キャラクターが魅力的で、やり取りも面白い。
  • 終盤まで、物語の流れや起伏がよくできている。

ここが×

  • とにかく非常にプレイし辛くストレスがたまる。
  • なんだかすっきりしないラスト。
  • 声優というテーマを活かし切れているとは言い難い。

■悔しさは、夢の扉を開く鍵

つい最近の記事で書きましたが、以前と比べると「単純な恋愛もの」は凄く減ってきている印象です。キャラのやり取りも、妙にシュールか、妙にぶっ飛んでいるか両極端な感もあり、安心して読める昔ながらの正統派の学園ものって、本当に少なくなったのですが、この作品はちょっと懐かしい感じがする学園ものです。ヒロインが声優の夢を持っているという変化球はありますが、基本的には直球な作り。

物語の作りは昔ながらの正統派なのですが、タイトルは最近の流行りである「文章っぽい」もの。正直この手のタイトルは後から振り返った時に非常に思い出しにくく(私もこの作品は「声優」としか覚えてなかった(笑))、デメリットも結構あるように思うのですが、まあそれが流行というものでしょう。

気になるあの子は声優さんを目指しています♪流行のタイトルワークではありますが、物語の作りは意外と古風です。主人公の黛悠斗のは、自宅で和菓子屋を経営しており、それを継ぐ事が決まっている高校3年生。彼とヒロインの天沢莉桜、幼馴染の八剱茜、親友の久我信康を中心に話が進んでいきます。見れば分かる通りキャラクターの名前が大変読みにくく、最初は面食らいます。

このキャラクター達のやり取りがとてもいいのが、この作品の特色です。特に、親友の信康がとてもいい立ち位置。どの作品でもそうですが、いい友人キャラクターが一人いると、全体が非常に引き締まります。また、キャラクター同士の四角関係が、よくある手段ではありますが、ストーリーに厚みを与えてくれています。この手の「恋愛関係をキャラ同士で複雑にする」というのは、諸刃の剣の面もあるのですが、この作品は上手くいっている例だと思います。

物語は、さほど劇的な展開はしません。ある意味この手の作品の定番とも言っていい進み方をします。が、適度にメリハリが効いており、上でも書いたキャラクターの掛け合いがよくできているのも手伝って、後半まで楽しく緊張感を持って読めます。後半から出てくるライバルキャラクターも、お約束のキャラ造形ではありますが、しっかり存在感がありました。

が、ラストがどうも……。選択肢で莉桜エンドと茜エンドに分岐するのですが、いずれもちょっと中途半端な印象は否めません。莉桜エンドは結局告白した描写はされませんし、茜エンドも莉桜に真実を告げる描写がされず、ちょっと物語の締めとしては物足りない印象。私は最初、これとは別にトゥルーエンドがあるのかと思ったくらいです(でも作品紹介ページに「エンドは2つ」と書いてますし……)。また「声優」というテーマも、十分活かし切れたとは言い難い気がします。テーマはまだしも、ラストさえ上手くまとめてくれれば、「準推薦」をつけられるレベルの物語だと思ったのですが。

それと、全体に非常にプレイしにくいです。最初のサークルロゴから始まり、エフェクト類は一切クリックで飛ばせません。エフェクトがほとんどないのならそれでもまだいいのですが、この作品はエフェクトが物凄く多いのです。途中、数十秒もただ画面を見ているだけという事も何度かありました。これはかなりのストレスの元です。エフェクトに凝るのは大いに結構なのですが、必ずクリックで飛ばせるようにしないと(特にマルチシナリオの作品であればそれは絶対)、見ている側が途中で辟易してしまいます。

その他、設定画面から右クリックで戻れなかったり(いちいち「Back」のアイコンをクリックしに行かないといけない)、設定画面で文章表示速度を変更しても反映されなかったり(もっとも、これはティラノの作品では散見される現象)、色々な意味でプレイヤーに優しくありません。折角物語はよく出来ているのですから、プレイヤーに対する配慮がもう少しされていれば良かったように思いました。

なおこの作品はフルボイスです。登場キャラが全部喋ります。どのキャラクターも演技力がしっかりしており、なかなかの好演で、臨場感を高めてくれていると思います。キャラの立ち絵はお馴染みの素材ですが、キャラクターによっては別の素材を持ってきているものもあり、一緒に並べるとちょっと違和感を感じる場面もありましたが、それは素材利用作品の宿命かも知れません。

ツールはティラノスクリプトです。選択肢はたくさんありますが、恐らくはラスト前の選択肢だけがエンディングに影響すると思われ、その選択肢で莉桜エンドと茜エンドに分岐します。気になる点はあるものの、ストレートなシナリオをキャラクターで盛り上げるという作りはとても上手く行っており、学園ものとしてはレベルが高いと思います。冒頭でも書いたように、最近こういう作りの作品は非常に少ないですから、学園ものがお好きな方ならきっと楽しめると思います。
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