第494回/時は巡り、夢は繋がる - トキ、ツナグユメ ―あの頃の素直さを―(Crus-Ade) - 不思議系
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第494回/時は巡り、夢は繋がる - トキ、ツナグユメ ―あの頃の素直さを―(Crus-Ade)

不思議系
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トキ、ツナグユメ ―あの頃の素直さを―

トキ、ツナグユメ ―あの頃の素直さを―■制作者/Crus-Ade(ダウンロード
■ジャンル/電車で彼女と仲直りノベル
■プレイ時間/10分

主人公は、つい最近彼女と喧嘩してしまい、1週間顔を合わせていない。何となく気まずくなってしまい、その日も通学の電車の駅で、彼女と顔を合わせないようにわざと遠回りしようとしていた。そんな彼の目の前に現れた小学生の子供。彼の心情を見透かしたかのような言動に、翻弄される彼だが。超短編ながら起承転結メリハリの利いた物語。

ここが◯

  • 文字サイズが大きくとても読みやすい。
  • 短いが起承転結しっかりした展開。
  • これほど短いのにしっかりしたエンディング。

ここが×

  • 謎の少年が何故現れたのかの理由が最後まで不明。
  • 彼女との過去回想でも入れれば、物語が説得力を増したのでは。
  • 割とあっさりオチの予想はついてしまう。

■時は巡り、夢は繋がる

最近、読者の方から作品のお勧めをいただく事が増えてきました。私もかなりたくさんの作品をプレイしてはいますが、それでもまだまだ見落としている作品が多数ありますので、こうして作品をご紹介いただけるのは嬉しい限りです。この作品は2006年の作品。今から10年以上前なのですが、全くノーマークでした。

「サンダーボルト殺人事件」を思わせる(あの頃その作品風の演出や展開、流行りましたよねえ)、序盤のちょっとどたばた風な文章など、少し古さを感じさせるところもありますが、全体には短編としてとてもよくまとまっており、むしろ最新作よりよく出来ているところすら見受けられるほどです。

トキ、ツナグユメ ―あの頃の素直さを―主人公は、高校生の男子生徒。彼女と喧嘩してしまい、顔を合わせにくいまま1週間が過ぎてしまいました。いつもの通学駅で、彼女と顔を合わせないように遠回りをしようとしたところに、見知らぬ少年が姿を現します。この辺りの展開、文章はちょっと飛ばし気味のところはありますが、作品の雰囲気にはよく合っており、気になりません。

何よりこの作品、文字サイズや、一行に表示される文字数が適正で、非常に読みやすいです。ちなみにこの作品で一行に表示される文字数は22字。ウィンドウサイズが4:3で一行にこのくらいの文字数だと、視線移動量も適度で目が疲れません(改行ピッチは、もう少し大きくてもいいかな、という気もするのですが)。最新のワイド画面の作品だと、下手をしたら一行に表示される文字数がこの作品の倍以上もある事がありますが、読みやすさの差は歴然です。

最近は、どんどん文字サイズが小さく、一行に表示される文字数が多くなる傾向にあるように思いますが、この辺りは一考の余地があるように思います。それはともかく、ツールが吉里吉里である事も手伝って、大変プレイしやすく、10年以上前の作品と思えません。改めて、吉里吉里はデフォルトのまま何もいじらなくても、プレイヤーに大変優しく、読みやすいツールなんだという事が実感できます。

さて、物語は主人公と謎の少年のやり取りをベースに進みます。そして後半、物語はちょっとだけ意外な展開を見せ、そのままクライマックスへと進みます。この辺りはテンポよく、展開バランスに優れているので、退屈したり唐突に感じたりする事がありません。短編としてはある意味理想的な展開です。過剰に意外な展開を盛り込むと唐突ですし、さりとてだらだらやってると退屈になってしまいますからね。

ただ、主人公と彼女の関係に対する描写がまるでなく、「2人の関係の深さ、重さ」が示されていないため、途中の展開(夢の中の)や、ラストにいまいちパワーが欠ける気がします。もう少し過去回想で主人公と彼女の描写を入れてみたら(何故喧嘩したのか、なども)、後半やラストにもっと説得力が出たような気がします。

また、謎の少年が何故現れたのかも謎のままです。オチは割と早いうちに読めてしまいますから、これも過去回想も上手く絡めて、謎の少年が現れた理由についてもう一段描写を深めてみれば、同じオチでも読んだ時の感銘がより上がったのではないでしょうか。そうすると、短編とは言えないくらいの長さになったような気もしますが、今のままでもプレイ時間は10分ですから、もう少しその辺りの要素を盛り込んでも、さほど無理はなかったように思うのですが、いかがなものでしょう。

まあ、逆にわずか10分の物語にこれだけきちんとした起承転結をつけたというのが凄い、とも言えます。超短編作品は、本編が終わると何のエンディングもなく、いきなりタイトルに戻る事も多い中、しっかりと余韻を感じさせてくれるエンディングをつけてくれていたのも好印象でした。

ツールは上で書いたように吉里吉里です。12年前の作品でもこれだけ快適にプレイできる(ちゃんとマウスホイール下回転での文章送りもできます)のは、さすがです。プレイ時間は10分で、選択肢はありません。容量も小さく、実に気軽に読める作品です。ノベルゲームの歴史を感じてみる為にも、時には古い作品をあえて読んでみると、見聞が広がりますよ。
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