第496回/空と水と太陽が出会う町で - みのりびよりに(しっぽロボ) - 伝奇
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第496回/空と水と太陽が出会う町で - みのりびよりに(しっぽロボ)

伝奇
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みのりびよりに

みのりびよりに準推薦
■制作者/しっぽロボ(ダウンロード
■ジャンル/水神様伝承探求ノベル
■プレイ時間/3時間

取材のために山間の田舎町梹榔町を訪れた加原夏樹は、川沿いで見知らぬ少女、みのりと出会った。みのりから、梹榔町に伝わる「水神様」の話を聞いた夏樹は、雑誌記者の好奇心から水神伝説の調査に乗り出したのだが、そこには恐るべき秘密が隠されていた。水と空の青が夏の田舎町の情緒を感じさせる伝奇物語。

ここが○

  • 繊細で美しく、表情豊かな絵。
  • どのキャラも好演のフルボイス。
  • 後半の意外な展開に驚かされる。

ここが×

  • エフェクトがスキップできず、繰り返しプレイが辛い。
  • 読み返し操作が煩わしいなど、全体に操作性が良くない。
  • ラストにはちょっとすっきりしないものが残る。

■空と水と太陽が出会う町で

最近短編作が随分多かったのですが、久々に長めの作品をご紹介です。そしてこの作品も「夏に田舎」ものです。この舞台設定、本当に多いですよね。この作品は、空と川の青が非常に目に鮮やかで、それだけでも夏の田舎を感じさせてくれます。私も子供の頃は、父の田舎の川で遊んだものですが、その時の事を思い出しました。夏の田舎って、やはりノスタルジーを刺激してくれます。

使われているツールはRPGツクールVXなのですが、そのためツクールのランタイムを別途導入しなくてはならず、そこがちょっと面倒です。私はRPGはやりませんので、当然ランタイムをダウンロードするところから始めなくてはいけなかったため、そこはちょっと煩わしく感じました。

みのりびよりにそして、プレイのしやすさはそれなりなのですが(市販ツールですからね)、RPG用のツールであるため、ちょっとノベルゲームとしては遊びにくさが目立ちます。例えばマウスホイール上回転での文章読み返しができず、メニューウィンドウをいちいち開かないといけません。また、ctrlキーを押す事で無条件スキップはできますが、既読スキップは実装されておらず、そのスキップも文章は高速で飛ばしてくれますが、エフェクトをカットできません。

この作品はマルチエンドで繰り返しプレイが前提なのですが、そういう訳ですので繰り返しプレイの際はかなりのストレスです(立ち絵のフェードインフェードアウトもカットできないため、スキップでもかなり時間がかかる)。RPG用のツールですから、ゲームパッドで遊んでみるのも一つの方法でしょう。そうすればバックログやセーブ画面をボタン1つで呼び出す事ができるようになり、少し快適になります。私はマウスではなく、ゲームパッドを使いました。

さて、物語は主人公の夏樹とみのりの交流から、水神様の伝承を巡って進んでいきます。プレイ中に得た情報が「手帳」に記録されていくというのは、RPG用のツールならではですね。この手帳には、見たエンディングも記録されていきますので親切です。ただこの手帳の項目のスクロールもマウスホイールでは出来ずアイコンをクリックしなくてはならないため、マウスで遊ぶとあまり手帳を見ることはないかも知れませんが(汗)。

そして後半。水神様を巡る意外な謎が明かされ、これはかなり驚かされると思います。この時のみのりのビジュアルがまたあまりにも強烈で、夢に出そうです(笑)。この後半は、伏線の仕込み方とその解け方のバランスが上手く、トゥルーエンドに至る際の解決方法にも、なるほどと感心させられました。あの状態からちゃんとハッピーエンドに持っていくというのが見事です。

ただ、ハッピーエンドとは言っても、手放しには喜べない感があります。本来のみのりはああいう事になってしまっている訳ですし……。後半からラストの展開は綺麗ではあるのですが、なんとかみのりを無事なままハッピーエンドに持っていけなかったものかと、ちょっと考え込んでしまいました。あとは、主人公の妹とのエピソードが、もう少し上手く活用されていれば良かったかな、という気も。

登場キャラクターは全員フルボイスで喋りまくります。もちろんみのりは子供らしいいい演技でしたが、正博や野本といった男性のサブキャラクターが渋くて好みでした。また、立ち絵も1枚絵も非常に繊細なタッチで美しいです。立ち絵の表情も豊かで、声の演技と合わせて、どのキャラクターも生き生きととても魅力的でした。

そして、クリア後には回想ルートとも言えるおまけシナリオが読めます。本編の謎を別方向から見る事が出来、これはおまけシナリオとしてはかなり出色の出来栄えだと思います。オープニングやエンディングも凝っており(どちらも歌付き。オープニングではムービーも流れます)、かなり多数の1枚絵も含め、演出も非常に手がかかっていました(ただオープニングムービーを飛ばせないのがちょっと……)。

プレイ時間は3時間からゆっくり読めば4時間くらい。エンディングは、トゥルー、ノーマル、バッド5種類で合計7種類。分岐条件が結構意外な選択肢にあったりするので、セーブは選択肢の度にしておいてもいいでしょう。繰り返しプレイは正直しにくいのですが、久々に長めの満腹感ある作品を読みました。夏の田舎の魅力がよく味わえる伝奇物語。広くお勧めできます。
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