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第497回/桜の前でまた会いましょう - 初恋の真実(ばるす)

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初恋の真実

初恋の真実準推薦
■制作者/ばるす(ダウンロード
■ジャンル/日記で再開初恋ノベル
■プレイ時間/30分

高校生の武宮浩二は、子供の頃桜の木の前で女の子と交換日記をしていた。思い出の桜の木の前で、浩二は一人の女子高生、桜と出会う。彼女は見覚えのある日記帳を浩二に見せ、「あなたが本当に武宮浩二かどうか確かめる」と言ってきた。シンプルでストレートな作りながら、意外と凝ったシナリオ展開を見せる短編恋愛ノベル。

ここが○

  • 主人公とヒロインのやり取りが面白い。
  • 中盤以降、意外と捻りがある展開。
  • 寂しさもあるが希望を感じさせるラスト。

ここが×

  • 短編とは言えもう少し伏線を活用しても良かったのでは。
  • 主人公がキレすぎじゃなかろうか(笑)。
  • 認知症の描写があまりそれっぽくない。

■桜の前でまた会いましょう

何度か書きましたが、最近特に短編でストレートな学園恋愛ものって少なくなった気がします。この作品は、物語展開はストレートという訳ではないですし、少し重い展開も見せるのですが、雰囲気は全体的に前向きで、最近は余り見なくなった気がする作風の作品です。こういう作品を時々プレイすると、安心させられます。

しかも、この作品は意外と捻ったシナリオ展開も見せてくれ、単によくある設定、よくある展開の学園恋愛ものではありません。なかなか丁寧に作られた、侮れない物語です。「初恋の真実」という、シンプルかつ一言で内容をずばりと言い表したタイトルも、やたら複雑で文章風のタイトルが多い昨今では新鮮で、好感度が高いです。

初恋の真実冒頭は子供時代の回想場面から始まります。主人公が、桜の木の下で交換日記を女の子と交換するシーン。もう交換日記というアイテムだけで、ノスタルジー全開です(笑)。そして舞台はすぐに現在に戻って来て、高校生の主人公浩二の目の前に、あの時の日記を手にした桜という名前の女子高生が現れます。

この桜が、記憶に残っている思い出の少女とは違い、結構生意気で、浩二は「本当にこの子があの時の?」と疑問を感じます。桜は桜で「あなたが本当にこの日記に出ている武宮浩二か、確かめる」と言い始める始末。かくして、桜は浩二の言動をチェックし、採点し始めるという、何だかよく分からない出だしです。冒頭から、浩二と桜の掛け合いがなかなか面白く、軽快なテンポで読ませてくれます。

中盤以降、急に物語が重くなったり、意外な事実が明らかになったりします。特に浩二のブチ切れぶりは必見です(笑)。ちょっとキレすぎの感もありますが、逆にあそこまでやってくれると爽快でもあります。ただ、桜にしろ浩二にしろ、「実は虐められている」「通称ボロ雑巾」という設定がいきなり出てくるため、その場面は少し唐突感がありました。伏線とは言わないまでも、何らかの布石を前半から少し打っておいても良かった気がしました。

それは、浩二の交換日記の相手についての事実や、桜が浩二に惹かれていたという事実についても同様です。この2点については、もう一度か二度過去回想を入れておいて、それっぽい事を匂わせておくだけで、後半に意外な事実が明らかになった時の、プレイヤーに与える威力が全然変わってきたのではないでしょうか。捻りを加えた展開自体は面白かったので、その点は少し残念に感じました。後半は意外ではあるものの、「いきなり感」は否めません。

しかし、ラストは少し寂しい終わり方ではあるのですが、前向きな希望も感じさせてくれて、読後感はとてもいいと思います。また、前半で見せてくれる浩二の行動も、なかなか格好いいですね。主人公のいいところをきちんと示すというのは、案外きちんと描写されている作品が少ないですから、ここは好感度高かったですし、今作の中でも特に好きなシーンです。ただ、仕事で認知症の人もたくさん見ている者としては、ちょっと認知症の老人がそれっぽくないのが、若干気になりました。

登場キャラクター数は基本的に少ないのですが、名前のないようなサブキャラクターの使い方が上手かったように思います。認知症の老人とその息子とか、後半の同級生たちとか、きちんと役割を持たせ、その役割をしっかり果たすべく動かされているので、名無しのキャラなのにその場面をしっかり盛り上げ、かつ主人公達を邪魔していません。隠し味がメインの味付けを邪魔してしまってはお話にならないのですが、この作品はその辺りのさじ加減がとても優れていました。

ツールは吉里吉里で、プレイにストレスはありません。選択肢のない一本道で、プレイ時間は30分程度だと思います。評価には迷ったのですが、最近こういう方向性の恋愛作品があまりない事ですし、準推薦でのご紹介です。ストレートと思いきや、少し変化球も混ぜている作品。でもラストはやっぱりストレート。とても「消化にいい」作品だと思います。恋愛ものがお好きなら、きっと楽しめるでしょう。
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