第501回/データにできないユメミルオモイ - ユメミルセカイ(Enharmonic☆Lied & aiGame) - SF
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第501回/データにできないユメミルオモイ - ユメミルセカイ(Enharmonic☆Lied & aiGame)

SF
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ユメミルセカイ

ユメミルセカイ準推薦
■制作者/Enharmonic☆Lied & aiGame(ダウンロード
■ジャンル/電脳世界で現実逃避ノベル
■プレイ時間/1時間

日野ワタル(名前任意)は高校生。クラスメイトの雨津々瞳と、FMESという難病で闘病中の山井ゆめみの元へお見舞いにやってきた。ワタルはある日、ゆめみの父親に「データをとらせて欲しい」と頼まれる。ゆめみの為ならとワタルは承諾するが、その日から何か生活に違和感を感じ始めた。大団円の持って生き方に舌を巻くSF風学園物語。

ここが○

  • テンポよく進みだれない。
  • 対照的な2人のヒロインがよく描けている。
  • 大団円の持って行き方の巧妙さに驚き。

ここが×

  • キャラがもう少しいても良かったかも。
  • ゆめみルートは、あれはハッピーなんだろうか(笑)。
  • あまり選択肢に意味がない箇所も。

■データにできないユメミルオモイ

SF風味の学園ノベルというのもたまに見ますが、これはまた独特な作りの作品。ヒロインのゆめみは、「週末的悪性侵食物」、略してFMESに冒されているという設定で(「S」の Syndromeはどこから来たんだ、という気もしましたが(笑))、病弱もの、闘病ものとも言えますが、SF風味の味付けをする事で、一般的な病弱ものとはかなり印象の異なる作品です。ジャンルに迷いましたが、一応「SF」で(「病弱・闘病」と言うほどには病院が舞台にならないですし)。

主人公のワタルは高校生。クラスメイトの雨津々瞳(うつつ・ひとみ)と共に、闘病中の山井ゆめみのお見舞いに行きます。そこで、研究者をしているゆめみの父親から、「ゆめみの為に、データをとらせてくれないか」と頼まれます。ワタルは承諾するのですが、データをとられた後から、何とも言えない違和感を感じ始めます。そう思っていたら、ある日久々に学校にゆめみが現れました。これは一体……。そういう感じの始まりです。

ユメミルセカイ主要キャラクターは、ワタルと瞳、ゆめみの3人だけです(台詞だけ、ゆめみのお父さんも出てきますが)。この少ないキャラクターでうまくまとめているのですが、途中、クラスメイトがいなくなる辺りは、もう少し友人キャラや教師キャラでもいれば、もっとその辺の展開に緊張感が出せたような気もします。

ヒロインは2人。瞳は、パソコンでのプログラミングが非常に得意な、ちょっと勝ち気な女の子。ゆめみは病弱で大人しい性格。この2人の対比がなかなかよく効いています。ただ、ゆめみに比べると瞳の描写が少し少なかったような気がします。特技について、前半からもう少し描写があっても良かったかも知れません。後半大活躍し始める瞳に、若干の唐突感がありましたし。

そして後半から(ラスト近くで?)シナリオは、瞳ルートとゆめみルートに分岐します。どちらの終わり方も最後に「HAPPY END」と表示されますが、特にゆめみルートは「これはハッピーなのか……?」と、一瞬頭を抱えてしまいました(汗)。仮想世界でエンディングを迎えてしまうという意味では、「もよりの駅子さん」をちょっと思い起こさせました。

と思っていたら、2種類のエンディングを見た後にタイトルに「ユメカラサメル」という選択肢が現れます。この選択肢、単なる別視点からの物語だと思っていたら……。これは上手い作りです。別視点からの物語と思わせておいて、本編で描かれていなかった謎がきちんと解決した上、綺麗な大団円に持っていっているのです。その持って行き方に無理がなく(論理的にどうとかは置いておきまして)、ラストには感心させられました。

まあ、終わり方は少し安直な気がしなくもなかったのですが、本編の2種類のエンドが、ハッピーと言いつつすっきりしないものでしたので、これくらいやってもばちは当たらないでしょう。ワタルが結局どちらを選ぶか分からない、という意味では、この終わり方もやっぱりすっきりしないところはあるんですけど(笑)。

気になった点です。青いテキストウィンドウに白い文字、それに黒の縁取りがされているのですが、その文字がちょっと読みにくいです。アンチエイリアシングの関係でしょうか、元々Live Makerというツールにはそういうところがあるのですが(そう言えばYuuki! Novelにも同じような読みにくさがあった)。テキストウィンドウの色を、もっと濃くしても良かったかも知れませんね。

あとは、あまり意味のない選択肢が後半は多かったような気がします。どれを選んでも結局似たような展開で死亡、とか(笑)。まあ、後半の緊迫感を出すためには、演出としてあの方法もありと言えばありでしょう。この作品は、Enharmonic☆LiedとaiGamesの、2つのサークルの共同制作だそうですが、双方の持ち味が活かされていて、共同制作が成功している例だと思います。

ツールはLive Makerで、プレイ時間はおまけ(というかこれがメイン?)の「ユメカラサメル」まで見て1時間というところだと思います。バッドエンドも多いですが、選択肢を間違えれば即死ですし、ハッピーエンドへの分岐条件も難しくないので、攻略には苦労しないと思います。病弱+学園+SF+恋愛と、複数の要素が上手くブレンドされた、独特の面白さを持った作品です。ラストまで読んで、本当のハッピーエンドへの持って行き方の巧妙さに感心してください。
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