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第503回/おわりはどこにあるかわからない - 儚い空想は私の現実(婿末)

ナンセンス・不条理
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儚い空想は私の現実

儚い空想は私の現実■制作者/婿末(ダウンロード
■ジャンル/贖罪循環ノベル
■プレイ時間/20分

主人公は、自分が誰かも分からず、この世界がどこなのかも分からない。そうして同じ受け答えをする人、落ちているりんご、循環する世界。そこで出会う不思議な少女。この世界は一体何を表しているのか、そして主人公の行く先は一体? 奇妙な絵と、不可解な文章が謎を深める短編物語。

ここが○

  • 音の演出がとても効果的。
  • 摩訶不思議な文章。
  • 抽象画のような背景が面白い。

ここが×

  • 人によっては全く意味不明な物語。
  • 訳の分からない選択肢。
  • Win版は文字化けしていて起動できない。その他色々プレイヤーに不親切。

■おわりはどこにあるかわからない

物凄く変わった作品のご紹介。上のあらすじ紹介は、(作者さんの文章をコピーする事なく)毎回自分で書いてまして、これがなかなか苦労するのですが、今回は何を書いていいのか分からず、本当に大変でした(笑)。フリーのノベルゲームには時折「なんのこっちゃ?」と言いたくなるような理解困難な作品に出会う事もありまして、それもフリーノベルゲームの魅力ですが、今回の「??」さは歴代に出会った作品でも随一でした。

開始した直後から独特です。まず抽象画を思わせる、ほとんどモノクロの、物凄くシュールな背景があまりに強烈で、ホラー作品をプレイしてしまったのかと勘違いしてしまうほどです。もちろんそんな要素はどこにもないのですが(笑)。それに、最初は主人公が誰で登場人物がどう言う人たちで、この世界がどうなっているのかすら全く分かりません。描写も、登場人物の会話も、そして文章も全て背景同様にシュールで、ちょっと読んだだけでは皆目意味不明です。

儚い空想は私の現実その辺りの雰囲気は、ちょっと「cubic 3」っぽいところも感じさせてくれます。とにかく、描写も訳が分からなければ選択肢も何が何やらよく分かりません。何の前触れもなく突然「はい」「いいえ」の選択肢が出てきたり、いきなり「認める」「認めない」と出て来たり、「一体これは何を表現したいの?」と頭を抱える事もしばしばでした(後でそれなりに意味が分かるものもありますが)。

物語は選択肢によって3種類のエンディングに分岐します。「END」「TRUE END」「HAPPY END」ですが、まず「END」は「なるほど、そうですか」という感じの終わり方。そういう前提なら、この描写にもなるよね、という印象で、妙に納得しました。「TRUE END」は何がTRUEなのかよく分かりませんが、とりあえず分岐条件に「おいおい!」とツッコミを入れたくなりました(笑)。

そして「HAPPY END」。このエンディングは綺麗でした。何が綺麗って、音楽による演出が素晴らしい。全体にこの作品は、音の演出はとてもよくできていると思うのですが、特にラスト近くで登場する楽譜から、エンディング曲への繋がり。あの楽譜に書かれている(主人公が彼女に贈った)曲が、エンディングでまさに流れているのです。楽譜を読める人じゃないと気付かないかも知れませんが、これには感心しました。

それ以外にも、前半で突如思考が混濁した時は、それまでのBGMが、メロディは同じながら不協和音に満ちたものになったり、音楽の力を非常に上手く使っていたと思います。信号待ちの交差点の音(福岡の交差点でこんな音を聞いたような記憶が)が流れるシーンも、会話の不可解さもあって印象的なシーンでした。

HAPPY ENDは、HAPPYと言う割には悲しい事実が明らかになります。ですが、頑張って考えればそれまでの謎な描写の意味にも繋がりが出て来て、なるほどと思わせられました。また上で書いた音楽の演出の素晴らしさも手伝って、ラストでは何とも言えない余韻が残ります。考察が好きな人ならば、色々と想像できて楽しいかも知れません。

ただ、そうでない人だと、どのエンドも単なる「意味不明な言葉の羅列」にしか感じられないかも知れません。考えて読むなら面白さもありますが、作品から「頑張って読者を楽しませよう」という雰囲気は皆無なので(よく作られてはいるものの)、合わない人には全く合わないと思います。付き合いきれない人が出て来ても不思議ではありません(私は、合った訳ではないのですが、それなりに理解する事には成功しました)。

なお、Windows版をダウンロードすると、文字化けが発生しており、そのままクリックしてもゲームは始まりません。ファイル名の「exe」の前に、自分で「.」を補いましょう。Mac版をダウンロードすると文字化けしていなかったので、Macで作られたのかも知れません(が、Mac版をダウンロードしてみると、今度はまともに起動せず。どうなってるの?)。Win、Mac両対応の作品には、常にこういう問題がついて回りますね……。

よく分からない文章に自分の考察を投影するのがお好きな方なら、独特の文体、背景画も含めて楽しめると思います。ツールはティラノスクリプトですから、今更言うほどでもないですが非常に遊びにくいです。既読スキップもできず、エフェクトもカットできず、文章表示速度も変えられず、マウスホイール回転での文章送りもできません。短編なのでそこは我慢しましょう。エンディングを迷わずに全部見る事ができれば20分だと思います。分岐条件は、TRUEがちょっと分かりにくいです。迷ったら、とある箇所で同じ選択肢を選び続けてみましょう(?)。
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