第507回/隣は何をするお化け - ななしのおろち 秋(BLUE AZALEA) - ホラー
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第507回/隣は何をするお化け - ななしのおろち 秋(BLUE AZALEA)

ホラー
  • comment0
  • trackback-

ななしのおろち 秋

ななしのおろち 秋準推薦
■制作者/BLUE AZALEA(ダウンロード
■ジャンル/中学生妖怪撃退ノベル
■プレイ時間/3時間半

成績優秀な中学生、緑苑坂千草は、ある時草むらで奇妙な液晶テレビを拾った。テレビをつけてみると、画面には見覚えのある風景が映っていた。同じ頃、テレビに映っていた場所である事件が起き、そして千草は否応無く騒動に巻き込まれていく。十三階段始め、おなじみのメンバーが三度活躍する、アクションコメディホラーノベル。

ここが○

  • 個性豊かなキャラクターたちのやり取り。
  • 独創性がある凝った演出。
  • 緊迫感のある戦闘シーン。

ここが×

  • 一部説明的過ぎるところがあるような気がする。
  • シリアスなシーンで突如ギャグが入ったりする。
  • キャラクターが多くて、消えてしまっている登場人物も。

■隣は何をするお化け

「ななしのおろち」シリーズのご紹介も、3回目。コメディ要素のあるホラーアクションものって、フリーノベルの世界ではかなり珍しい存在だと思います。タイトル通り、今回は季節が秋。第5話と第6話が収められているのですが、第5話では制服が夏服で、第6話では冬服。こういうところでも季節の移り変わりを感じさせてくれます。

そして、お馴染みのキャラクターと、賑やかなやり取りは今回も健在。このシリーズ、それぞれの季節ごとに焦点を当てられるキャラクターが変わるのですが、今回は緑苑坂千草という優等生がメイン。彼女が不思議な液晶テレビを拾うところから、お話が始まります。このテレビに映った画面の場所で、実際に事件が起こるという、なかなか好奇心をそそられる出だしです。

ななしのおろち 秋物語の進行としては、今まで同様です。会話シーンは顔アイコンが表示されるチャット風の形式で賑やかに進み、妖怪の仕業で事件が起き、後半は正義?のお化け、十三階段の協力の元、妖怪と戦って、努力と苦労の末勝利を収めるという展開。今回は、前回(夏)はちょっと影が薄かった、浮遊手を操る音楽お化け、奏も活躍してくれます。

会話シーンの楽しさと、音と絵や動きを効果的に使ったホラーシーンの怖さとの落差もこの作品の特徴です。また戦闘シーンでは、非常に強大な敵に、知恵を振り絞って勝利するという、お決まりのパターンではあるのですが、演出の緊張感と、戦闘で少女たちが追い詰められる様子がよく描写されており、1話読了時の満足感はかなりのものです。エンターテインメントとしてとてもよく作られています。

第5話は、特殊な能力を持つ妖怪が相手です。液晶テレビという小道具がよく効いていますし、相手の特殊能力の為に、千草と十三階段はかなり苦戦を強いられるのですが、千草が機転を利かせて勝利します。この辺り、ちょっと設定と説明がややこしく、読んでいて理解しにくいところがありましたが、展開バランスなどは相変わらずのテンポの良さで、怖さの中にも楽しさがあるストーリーも今まで通りです。

第6話は、前回も登場した河童お化けの翠が拾ってきた猫、シロとクロがいい味を出しています。相手の妖怪も化け猫なのですが、こいつの技がまた反則級で、戦闘シーンも二転三転して読み応え十分です。そして、これはもう勝てないだろう、どうするんだと思っていたところに来る、予想外の解決法。予想外過ぎて、ちょっと固まってしまいました(笑)。この解決法、主人公達の活躍関係ないじゃんと思わなくもないのですが、しかしあの状況は過去に倫や十三階段が頑張った結果であるので、まあいいか、と(笑)。

いきなりこの作品から読み始める人もそうはいないでしょうが、そういう訳ですので、第1作(春)から順番に読む事を、やはりお勧めします。その方がキャラクターの性格についても把握できますし(奏の浮遊手の事なども)、それにそうでないと、第6話のこの決着の付き方には「?」となってしまうでしょうから。

この第6話は、ラストも綺麗でとてもいいです。特に、翠とシロの別れのシーンは印象的で、胸に迫ってきます。このシリーズの中でも、屈指の名シーンだと思います。クリア後に見られる、お約束のおまけで、後日談にオチが付くのもいいですね。この第6話は、猫のシロとクロのキャラクターも面白く、千草や十三階段が猫と一体化して戦うというアイディアも、戦闘シーンに変化を付けていて良かったと思います。

ただこのシリーズ、毎回新しいキャラクターが出てきて、その新キャラにスポットを当てた構成になっているので、旧キャラがだんだん影が薄くなっていくというのが。今回、主人公格のはずの倫はほとんど活躍の場がありませんでしたし、重深歌も同様です。なかなか全員揃って妖怪と戦うという展開も難しいんでしょうが、それは次回作でのお楽しみ、という事になるのかも知れません。

ツールはLive Makerです。Live Makerは、初期はスキップが遅かったりもしたんですが、新しいバージョンは動作も軽く快適です。選択肢のない一本道で、プレイ時間はおまけや後日談まで全部読んで、合計3時間半くらいだと思います。作中の季節が秋ですから、秋のうちに読みたい作品です(私が住んでいる北海道は、もう秋という気候ではありませんが……)。ホラーが苦手な人でも楽しめ、要所要所ではホラーらしい演出もある、安定のクオリティ。安心して楽しんでください。
関連記事

Comments 0

Leave a reply