過去作プレイバック/第1回 - ハーバーランドでつかまえて - 過去作プレイバック
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過去作プレイバック/第1回 - ハーバーランドでつかまえて

過去作プレイバック
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ハーバーランドでつかまえて先日、Peing質問箱にて「過去にレビューした作品を、再プレイしてみる記事はどうですか」というご意見をいただきました。なので、今回から不定期で、過去の作品について改めて書いてみる、という企画をスタートしてみます。

第1回は、やはりこれ。私が最初にプレイしたフリーのノベルゲームである、「ハーバーランドでつかまえて」です。この作品をプレイするちょっと前に、ようやく私の家にもADSL回線が開通したので、前々からやってみたいと思っていたフリーノベルゲームにようやく手を出してみたのです。

ADSLの前は当然ダイヤルアップでしたので、1MBをダウンロードしようと思ったら、5分くらいはかかっていた時代です。しかも、午後11時から朝8時までの「テレホーダイ」タイム以外は、回線を使った時間だけ電話代がかかりますから、ノベルゲームをおいそれとプレイする事はできなかったのですね。今から考えると、信じられない方もいらっしゃるでしょうけど(笑)。

さて、この作品。プレイ時間は迷わずにエンディングまで一直線にたどり着けば40分くらいです。ですから短編なのですが、改めてプレイしても、やはりキャラクターや構成がよく出来ているなと感心しました。全8章の章立てですが、各章にきちんとコアとなるイベントがあって、適度にプレイヤーを引っ張ってくれるため、序盤からしっかりと興味を持って読めます。

ハーバーランドでつかまえて選択肢がかなり多く、いくつかのエンディングに分岐します。こういう分岐システムの作品って、最近はあまりない気がします。一発死エンドもありますが、意外と分岐条件は複雑ですので、ちょっと苦戦するかも知れません。選択肢は、ほとんどの場合常識的に選べば問題ないのですが、一箇所だけ引っ掛けっぽい選択肢がありますので、そこは注意しましょう。会社から接待の電話が来て波止場を離れるシーンです。

初出は2000年の作品で、何せ18年前ですから、もちろん古さを感じさせるところもあります。中盤から後半にかけ、仕事で挫折するシーンは、ちょっと唐突感を感じさせますし、亮人がトモと仲良くなる過程が、ちょっと端折られすぎているような気もします。序盤と終盤はいいんですが、中盤から後半に移る箇所が少々飛ばし気味なんですよね。亮人が神戸を好きになる様子も、もう少し細かく描写してくれればと、今読んでみると感じました。ただ、プレイ時間40分の作品であるという事を考えると、逆にこの時間できちんとメリハリをつけて、よくまとめたなとも思わされます。

なお、舞台は神戸なのですが、神戸である事を利用した展開は、今プレイしても上手いなと感じます。「環境伏線」「舞台伏線」とでも言いましょうか。後半のおばちゃんの台詞に、当時「そうか、だから神戸か!」と、愕然とした事を覚えています。こういう、舞台をも伏線にしてしまうやり方は、非常に勉強になるでしょう。何も説明がなくても、「神戸だから、そりゃそうだよね……」となりますからね。

この頃の作品って、短編でもこれくらい起承転結がしっかりついていたような印象です。もちろん、起承転結があまりない作品も一つの方法ではありますが、エンターテインメント性を語るに、起承転結をちゃんと意識するというのは、外せないポイントです。古い作品ではありますが、短編作品でエンターテインメント性の高いものを作ってみたい方は、この作品は是非一度プレイしてみるといいでしょう。

場面で言えば、ラスト近くで、亮人が会社の人達と一緒に食事するシーンが今回は印象に残りました。亮人が、関西の人、その言葉、そのノリを嫌悪感なく受け入れ、そこに冨田部長が現れ、希望を告げるという名シーン。亮人が関西を受け入れた事を象徴的に示すシーンで、ある意味、トモとの再会シーンより、今プレイしてみればこちらの方が好きかも知れません。もちろん、亮人が関西を受け入れられたのは、トモとの交流によるところが一番大きいのですけどね。

ツールはNScripterですが、何せ古いので、非常にプレイしにくいです。テキストの読み返しはメニュー画面からでないと出来ませんし、マルチエンドなのに既読スキップがありませんし(無条件スキップならある)、そのスキップもctrlキーでは出来ません。マウスカーソル下での文章送りも出来なければ、エフェクトを飛ばす事も出来ません(と書くと、ティラノ作品の特徴を書いているかのようですが(笑))。

なので、実行ファイルであるkobe.exe(nscr.exe)を最新のものに入れ替えてしまいましょう。そうすれば操作性が劇的に改善され、非常に快適になります(NScrはこれが使えるから、古い作品でも遊びやすいのです)。私は、nscript.datを「NSDEC」というソフトでデコードし、既読スキップも実装してしまいました。ダウンロードしたままだと、NScripterのバージョンが古すぎるせいか、動作もかなり不安定ですから、nscr.exeを入れ替えるのはまず最初にやった方がいいと思います。

この作品の面白さに感動し、そこからフリーノベルゲームをひたすらプレイし、レビューを書き溜めるという私のライフワークが始まった訳ですから、いつプレイしても感慨深い1本です。私の中で1つの基準になっている一作でもあります。未プレイの方は、この機会に是非どうぞ。
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