第513回/追いかけてアンダーグラウンド - 夕暮れdivergence(セプ) - 探索・謎解き
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第513回/追いかけてアンダーグラウンド - 夕暮れdivergence(セプ)

探索・謎解き
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夕暮れdivergence

夕暮れdivergence■制作者/セプ(ダウンロード
■ジャンル/地震後幼馴染探索ADV
■プレイ時間/20分

青八木春斗は高校生。かなり規模の大きな地震を街が襲った後、幼馴染の真紀が、謎めいた言葉を残して失踪した。春斗は真紀の行方を探して、地震の影響が未だ残る街を奔走するが、行き着いた先は……。ちょっと懐かしい香りの、短編コマンド選択型探索アドベンチャー。

ここが○

  • 手軽に探索を楽しめる難易度。
  • ゲームオーバーの後コンティニューできるのが有難い。
  • 綺麗なラスト。

ここが×

  • ウィンドウサイズに比して文字サイズが小さすぎ。文字表示速度も変更できない。
  • セーブが特定の箇所でしかできないなど、不親切。
  • 地震後の街という雰囲気があまり感じられない。

■追いかけてアンダーグラウンド

今回は、ちょっと昔懐かしい雰囲気のアドベンチャーゲーム(以後ADV)をご紹介します。ADVって、昔はコマンド入力型と言って、例えば「SEARCH DESK」「レイゾウコ アケル」など、行動をコマンドで入力したものですが、難易度が今のADVやノベルと比較にならないくらい高く、やがて登場したのが「コマンド選択型」です。初めて登場したのは、確か「オホーツクに消ゆ」だったと思います。

この作品は、そのコマンド選択型ADVです。と言っても選ぶコマンドは、移動と調査だけ。なので難易度は全然高くありません。ですが、これが程よく探索の雰囲気を出してくれていて、ノベルゲームにはないムードを醸し出す事に成功していると思います。移動と調査、そしてフラグ立てのバランスが良く、テンポよく進んでいきます。

夕暮れdivergence物語は、大規模な地震の後の街。冒頭、地震が起こったことを知らせる演出が入りますが、これはなかなか雰囲気を高めてくれています。そして、主人公の春斗とヒロインの真紀の何気ない会話シーンから始まりますが、真紀が突然謎の失踪。SNSを通じてやり取りをするものの、最後には「たすけて」の一言を残し、連絡も取れなくなってしまいます。春斗は真紀を探して街を探索する、という物語。

まず、文字サイズが小さすぎてびっくりしてしまいます。これでは、小さめの画面のノートパソコンなどでは、字が見えないのではないでしょうか。何故こんなに小さくしたのか、かなり謎です。また、Live Makerで作られた作品で、Live Makerには文章表示速度などを変えられる設定画面があるのですが、何故か設定画面も開けないようになっています。よって、文章表示速度も変えられず、セーブも自由に出来ません。

セーブについては、コマンド選択画面で出来ますし、ゲームオーバーになったら、直前の場面からのやり直しが効きますので、その意味では親切なのですが、文字表示速度が変えられないのは、予想以上にプレイしやすさを損ないます。ここはもう少し配慮が欲しかったように感じました。

さて、物語は探索によりとある場所へ辿り着きます。そこに辿り着くまでの過程も、「移動」「調査」の2コマンドしかないにも関わらず、フラグ立てを上手く活用して単調にならないような工夫がなされています。また、後半の探索も、普段ならば我々が絶対に足を踏み入れない場所ですが(先日の胆振東部地震の時、札幌でもこれが丸一日半くらい止まりました)、それがちょっとミステリアスな雰囲気を出していて、短編ながら探索の面白さを感じさせてくれました。後半の探索シーンのフラグ立ても、巧妙でしたね。

ただオチに登場する人物が、それまで何の伏線も張られていなかったので、ちょっと唐突な感じはありました。彼女の特殊能力(?)も、いきなり明かされるので、「何ですと!?」でしたし(笑)。ただ、唐突ではありますが、オチのつき方自体はきちんとしており、ラストも綺麗に締めてくれるので、読後感は良好でした。短編ADVでありながら意外性もあり、十分楽しめる小品だと思います。

そして、地震後の街の雰囲気があまり感じられないところはありました。背景が素材ですから仕方ない面もあるとは思いますが、冒頭の演出や後半の探索シーン以外にも、地震後の街ならではの演出が何かあれば、もっとこの作品ならではの独自性や、あるいは地震後の街ならではの緊迫感が演出できたような気がします。

プレイ時間は20分くらいだと思います。バッドエンド(ゲームオーバー)もあるのですが、難易度は高くありませんので、ADVが苦手な人でも尻込みする必要はありません。エンディングの曲の定位が何故か片側に偏っているなど、謎な仕様もありますが、こういう手軽で手作り感を味わえる作品は、私の好みです。気軽に遊べる「街角探索ADV」。災害が多い今年の日本には、案外タイムリーな作品かも知れません。
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