第514回/二つの神、並び立たず - Twin Egg ~狂気の村と二つの神~(創作同盟くりめいと) - アクション・ドラマ
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第514回/二つの神、並び立たず - Twin Egg ~狂気の村と二つの神~(創作同盟くりめいと)

アクション・ドラマ
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Twin Egg ~狂気の村と二つの神~

Twin Egg ~狂気の村と二つの神~推薦
■制作者/創作同盟くりめいと(ダウンロード
■ジャンル/伝奇SFアクションノベル
■プレイ時間/4時間

オカルト好きの高校生新聞部員葛場礼は、とある山奥の村が怪しげな宗教団体の本拠地である噂を聞き、取材の為に後輩の真紀を連れて、未論土村までやって来た。一方、福岡の女子大生三崎来夢はバスジャックに巻き込まれ、刑事の八代光之助はその事件を解決すべく奔走する。3つの物語がやがて1つに収束する長編伝奇SF風物語。

ここが○

  • 中盤以降の緊迫感が凄い。
  • 3つの物語がやがて1つに重なっていく様子。
  • 長い話だが、冗長さがなくテンポ良く進む。

ここが×

  • 一部荒唐無稽すぎると感じる箇所。
  • 礼と真紀の関係を、もう少し踏み込んでみたら面白かったかも。
  • 難易度はちょっと高め。

■二つの神、並び立たず

今年7本目の推薦作。今年126本目にして7本ですから、ペースとしても悪くはないんじゃないでしょうか。かなり長い話なんですが、長さを感じさせずに読ませてくれる物語というのは、なかなかないものです。細部を見ると荒削りなところもあるんですが、娯楽作品として非常に良くできた作品でした。「Twin Egg ~狂気の村と二つの神~」のご紹介です。

この作品を開始すると、3人の主人公のうち1人を選ぶ事ができます。3人の物語を全部読むと、後半というか、真相編(解決編?)が読めるようになります。3人の事件はもちろん無関係ではなく、1つの事件に繋がっています。どの順番で読んでもいいのですが、素直に左から(礼→真紀→光之助)読む事をお勧めします。それが一番、盛り上がりを考えてもネタバレ具合を考えても、ちょうどいい順番だと思います。

Twin Egg ~狂気の村と二つの神~1人目の主人公、礼は高校生の新聞部員。未論土(みろんど)村という山奥の小さな村に、怪しげな新興宗教の本拠地があるという噂を突き止め、取材の為にそこに後輩の真紀と向かいます。冒頭から不穏な香りが漂っており、更にいきなりとんでもない事件も起こったりして、掴みとしては十分な内容。この礼という主人公は、最初はいけ好かない奴ですが、作中でかなりの成長を見せてくれます。真紀とのコンビもいいですね。

2人目は女子大生の三崎来夢。彼女が、博多駅前から路線バスに乗り込むと、何とそのバスがジャックされてしまいます。犯人の要求は、東京へ行けというもの。しかも、全国で同時に14台のバスが同じようにジャックされ、東京に向かっています。博多駅前の路線バスなら、ナンバーの地名は「北九州」じゃなく「福岡」なんじゃないかと突っ込みたくなりましたし、来夢が超人的な強さでテロリストの久島を叩きのめす辺りが些か非現実的ですが、この話も前の話を受け、緊迫感と期待感をいい感じに高めてくれます。

3人目は警視庁の警部、八代。バスジャック事件の操作にあたる刑事です。操作を続ける中で、意外な事実を発見し、更には……。この先はプレイしてからのお楽しみです。このシナリオから他の主人公のルートと絡み始めるので、このルートだけは絶対に最後に読む事をお勧めします(あえてここを最初に読んでみるのも、新鮮な楽しみがあっていいかもしれませんが)。

3人のシナリオを読み終えると、解決編とも言える後半に突入です。テロリスト達の目的が明らかとなり、人質を救う為の作戦が始まります。2人目の来夢シナリオ辺りから、事件の危なさもあって緊迫感がどんどん高まっていき、後半でそれがピークに達します。これほど緊迫感を上手く持続させる作品は、そうあるものではありません。複数の主人公の行動が上手く影響し、それが最終章で噛み合う様子に、ゲーム的な面白さもかなりあります。

ただ、少々荒唐無稽すぎる箇所も見受けられます。上で書いた、来夢の非人間的な強さもそうですし、抗体があるからと言って治療薬が簡単にできるものでもないですし、高校生が拳銃をぶっ放したり、およそ現実的ではない描写が多々見られます。ラストで「テロリストを殺した件は不問」という一文を見た時は、流石にちょっと仰け反りました(汗)。また「戸籍標本」(戸籍謄本か戸籍抄本の間違い?)などの表記ミスも散見されました。

しかし、エンターテインメントとしては大変ハイレベルで、文句なくよく出来ている物語です。これほど終始はらはらさせてくれる物語は、なかなかあるものではありません。最後の最後で、緊迫感が一瞬緩んだ時に、思わぬ「敵」が現れるのですが、ここは油断していただけにやられました。そこまで考えて前半から構成していたのかと、非常に驚かされました。

とは言え、難易度はかなり高めです。ノーマルエンドを見るだけなら難しくないのですが、グッドエンドは試行錯誤が必要でしょう。私も、Twitterでアクアポラリスさんからいただいた情報がなければ、グッドエンドに辿り着けていたかどうか……。最後の敵の情報(弱点)をどこかで入手しておく事と、最後の戦いの「方角」、あとは礼に拳銃を持たせておくこと辺りが鍵だと思われます。

グッドエンドはラストも綺麗に終わりますが、礼と真紀が恋愛関係にあるような描写はないんですよね。2人の関係をもうちょっと突っ込んで描写していれば、再会がもっと盛り上がったのではないでしょうか。何せ第1章での礼と真紀は、変な先輩と、強制されて嫌々ながら付いてくる後輩以上の関係ではないですし……。とは言え、3人の主人公がそれぞれ見せ場もあり、キャラクターも非常に上手く活かされた物語だと思います。

ツールはLive Maker。選択肢は多数ですが、展開に直結するものはさほど多くありません。選択肢によって、色々な秘密が分かったり、少し違う展開をしたりしますから、あれこれ試してみると楽しいでしょう。プレイ時間は4時間くらい。最初の3人は40〜50分、最終章は1時間半から2時間というところです。細部のリアリティに拘り過ぎると突っ込みどころもあるんですが、娯楽大作としては文句なく楽しく、はらはらどきどきできる作品です。細かいことは気にせずに楽しんでください。
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