第515回/幽霊少女は海老食べる? - エビタベル(水取黒葉) - 恋愛
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第515回/幽霊少女は海老食べる? - エビタベル(水取黒葉)

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エビタベル

エビタベル■制作者/水取黒葉(ダウンロード
■ジャンル/幼馴染ほのぼの恋愛ノベル
■プレイ時間/40分

浩介と玲は、幼馴染の高校生。玲は海老が好きで、今日も浩介が食べている天丼から、海老をもらって食べたりする上、いきなり浩介に「うらめしやー」と声をかけ、幽霊を自称したりする不思議少女。浩介は玲をいつも軽くあしらっている。そんな2人の、ほのぼの恋愛風味幼馴染日常ストーリー。

ここが○

  • ほのぼのとした会話が楽しめる。
  • お約束ではあるものの、恋愛ものとして安心できる展開。
  • ドット絵のイラストは表情も豊かで楽しい。

ここが×

  • 結局海老とか幽霊って何だったのか。
  • ドット絵なので細かい表情が分かりにくい。
  • 会話を続けるだけで起伏には乏しい。

■幽霊少女は海老食べる?

前回は規模が大き目の作品でしたが、今回はまた少し古く、小粒な作品のご紹介です。2008年ですから10年前ですが、それ以上の懐かしさ、レトロ風味を感じさせてくれる作品。「エビタベル」というタイトルも、ユニークです。ダウンロードする圧縮ファイルの容量が、わずか1.7MBですから、一瞬でダウンロードが終わります。

容量だけでなく、色々なところが少しレトロです。BGMは全てMIDI。使われている曲は「ハーバーランドでつかまえて」でお馴染みの曲。さらに、立ち絵はなく、顔グラフィックスが表示されるのですが、これが普通のイラストではなく、ドット絵です。ドット絵だから手を抜いているという訳ではなく、実に表情豊かで楽しく、これはこれでこの作品の立派な個性になっていると思います。

エビタベル主人公は浩介と玲という高校生(だと思う)の幼馴染コンビ。冒頭でいきなり玲が浩介に「うらめしやー」「お化けだよお化け」と、電波チックな声をかけ、海老フライをもらって食べ始めるという、何だかよく分からない展開。玲はちょっと不思議な雰囲気のある少女で、対する浩介はちょっとクールというか、冷めた対応。この2人のやり取りはちょっと漫才のようで、2人の何気ない会話を楽しむのが主眼です。

ですから、それほど明確な起承転結がある訳ではありません。終始、日常イベントが展開していくだけで、そこでの2人のちょっとずれたやり取りを楽しむ物語です。もちろん後半にはそれなりに2人の関係を変化させるような、転換点となるようなイベントが発生するのですが、全体には、当たり前の日常のワンシーンをちょっとコメディチックに切り取ったシナリオが展開します。

が、浩介と玲の組み合わせが面白く、2人のやり取りだけでも結構楽しめます。弁当のシーンとかプールのイベントなど、ちょっと笑えるところもあったりします。幼馴染の関係を描くのって案外難しいものですが、この作品は幼馴染同士のとてもいい距離感が描けていると思います。そこに、ちょっとシュールで笑える会話が上手く乗って、短編として楽しめる作品に仕上がっていますね。

ただ、海老とか幽霊とか、そういうのは全然展開に関係ないので、読み終えた後「あれは何だったんだ」ともなりましたが(笑)。あくまで、ヒロインである玲のキャラクター付けなのでしょうね。途中までは、本当に玲は幽霊とかお化けでした、というオチがつくのかと思っていたのですが、全然そんな事はありませんでした。まあ、この作品の性格からして、あまり捻った展開にするより、緩くてほのぼのとしたこのままの雰囲気が持ち味という気もしますね。

ラスト近くは、ある意味幼馴染もののお約束とも言える展開ですが、浩介と玲が二人とも初々しい反応で、見ていて微笑ましくなりました。過剰に引っ張らず、あっさりオチに導いているところも、作品全体のバランスを保っていていいと思います。何と言っても最後まで2人のキャラクターですね。玲のちょっと不思議な性格も魅力的ですが、浩介の、ちょっとクールながら玲をついつい構ってしまうところも好感が持てます。この2人、いい組み合わせです。

最初に書いた通り、立ち絵がなく、文章ウィンドウの右上部(右上に表示されるのは珍しいですね)に顔グラフィックスが出る形式で、それがドット絵なのですが、ドット絵の為に表情などが少々分かりにくい嫌いがあります。反面、ドット絵自体はとても良く描き込まれている上、差分も豊かで、色々な表情を楽しめます。普通のイラストや立ち絵でも良かった気がしますが、立ち絵だとあれだけの差分を作る手間も大変でしょう。あえてドット絵にして、バラエティの方をとったというのは、一つの手法としてありだと思います。

ツールはNScripterです。10年前のNScrらしいプレイ感覚です。選択肢のない一本道で、最後にはおまけも読めます。おまけまで読んで、40分くらいだと思われます。山も谷もある物語ではないのですが、大作の合間にはこういう作品をプレイすると、ほっと心が和むでしょう。ちょっと変わったヒロインと、そんなヒロインをつい構ってしまう主人公の、楽しい会話とほのかな恋愛を楽しんでください。
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