第517回/視線は外に、手は内に - ハイドアンドシーク(すとれいきゃっと) - ナンセンス・不条理
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第517回/視線は外に、手は内に - ハイドアンドシーク(すとれいきゃっと)

ナンセンス・不条理
  • comment0
  • trackback-

ハイドアンドシーク

ハイドアンドシーク■制作者/すとれいきゃっと(ダウンロード
■ジャンル/現実とトラウマの隠れんぼノベル
■プレイ時間/40分

クロウ、カケス、カナリア、ヨダカの4人は町外れにある無人の洋館にやって来ていた。4人で始めた遊びはかくれんぼ。ヨダカを残した3人は館の中に隠れ、最後約束の時間に合流する事に。3人の子供達は、それぞれ思い想いの部屋に足を踏み入れるのだが。違った視点を追いかけるザッピング風視点が特徴的な、短編ダークメルヘン。

ここが○

  • 絵本のような可愛いイラスト。
  • それに上手くマッチした背景画像加工。
  • ちょっと怖さを煽る演出と言葉選びの上手さ。

ここが×

  • 真実がいまいち明らかにならないので消化不良。
  • 雰囲気がダークなので合わない人もいるかも。
  • ヨダカって結局何だったのか。

■視線は外に、手は内に

ハロウィンは昨日でしたが、もう一作ハロウィンっぽい(のか?)作品をお薦めいただいたので、ご紹介。「ハイドアンドシーク」は、「かくれんぼ」という意味ですね。タイトルの通りの内容ですが、ちょっとダークな感じの展開で、どちらかというとダーク、鬱系が好きな方が気に入りそうな内容です。ぱっと見、イラストが可愛いのでそうは見えないのですが。

登場人物は、カケス、クロウ、カナリア、ヨダカの4人。全員鳥の名前ですね。この4人が町外れの、誰も住んでいない洋館にやって来て、そこを探索するところから始まります。始まる遊びはかくれんぼ。子供達がこういうミステリアスな場所に行った時の定番ですね。そして、ヨダカを鬼としてのかくれんぼがスタート。3人はそれぞれの場所に散っていきます。

ハイドアンドシーク実は、3人のキャラクターにはそれぞれ、ちょっとした(ちょっとではないかも?)トラウマがあります。物語の中で、それが少しずつ明らかになるのですが、100%明らかになる訳ではなく、色々想像の余地はあると思います。現実世界の隠れんぼをしつつ、各キャラクターの心の奥底も少しずつ描かれ、その心的外傷が明らかになっていく、「心の隠れんぼ」でもあります。その意味で、タイトルは2つの意味をかけていると言えましょう。

システムは、3人のキャラクターのうちから1人を選択し、ある程度そのキャラクターの物語を読んだら、再び選択肢がやって来ます。ゲーム内時間の30分おきに、各キャラクターを選択できるという仕様です。ちょっとしたザッピング形式と言いましょうか。実は、無理にあれこれキャラを追いかけず、特定のキャラだけを最後までチェックして読み進めた方が分かりやすいのですが、特定のイベントが起きた後、その相手キャラの方に行ってみるのも一興です。

ザッピングとしては、さほど物語を味わわせる上で有効に働いているとは言い難い気もしますが、自由度が高く、隠れんぼを覗き見ているような独特の感覚が味わえて、これはこれで面白いシステムだと思います。最初はあえて、適当に選択肢を選んで、2回目から特定のキャラクターを追いかけてみるのもいいかも知れません。

立ち絵は、絵柄も塗りも独特な、絵本のような感じ。変にアニメ風の立ち絵が付いているよりも、この作品にマッチしています。背景画像の加工が独特でこの立ち絵によく合っていて、雰囲気をとても高めていると思います。3人のキャラクターがまた個性的で、そういう意味でも最初は心の赴くままに、適当にキャラクターを選ぶと楽しいでしょう。私も、最初のプレイの時はそうしました。

また演出がよく出来ていました。この作品は別にホラー作品ではないので、直接的、物理的に怖い現象というのはないのですが、心理的に怖がらせるちょっとした演出が効いています。特にラストですね。一瞬「えっ」となりました。こういう、少しダークな心理劇が好きな人ならば、きっと気にいるのではないでしょうか。

反面、論理的にきちんと謎が解かれる訳ではないので、「これは一体どういう事なんだろう」となる人もあるでしょう。私もどちらかというとそのタイプです。ヨダカって結局何だったの、とか。そういう意味で、きちんと全部説明される物語ではなく、色々想像する方が好きな方に薦めます。文章も、言葉の選び方が良く、英語の童謡の歌詞を読んでいるかのようなリズムを感じられました。

ツールはNScripterです。プレイ時間は40分くらいでしょう。エンディングは4つ。1つはバッドエンド、残りは各キャラクターのエンドです。エンディングは最後の選択肢で分岐する上、どのキャラもラストは同じだったりするのですが、ラスト前の展開に、息を飲むような一瞬の怖さがあります。独特な雰囲気のダークメルヘン。ホラーではありませんので、苦手な方でも大丈夫です。
関連記事

Comments 0

Leave a reply