第518回/空の記憶と太陽の思い出 - SOLAR MEMORY(ヒビキソラ) - 不思議系
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第518回/空の記憶と太陽の思い出 - SOLAR MEMORY(ヒビキソラ)

不思議系
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SOLAR MEMORY

SOLAR MEMORY準推薦
■制作者/ヒビキソラ(ダウンロード
■ジャンル/時をかける恋愛ノベル
■プレイ時間/1時間半

夏休み初日、幸輝はお気に入りの場所である丘の上の草原へやって来た。そこで出会った少女、空。幸輝は、行く当てのない空を自宅に住まわせる事に。幸輝と空、それに幸輝の母親である恵子と、3人での楽しい夏休みがずっと続くかと思いきや、思いも寄らない事件、そして明らかになる空の秘密。「SOLAR POWER」のリメイク作品。

ここが○

  • 伏線の張り方と解け方が丁寧。
  • テンポ良く読める全11章構成。
  • 伏線も隠されたオープニングムービーが良く出来ている。

ここが×

  • 一部の会話が少し冗長。
  • 人物名表示欄が小さすぎて見にくい。
  • 後半の展開はやはり少々強引。

■空の記憶と太陽の思い出

「過去作プレイバック」で「SOLAR POWER」を取り上げましたので、当然こちらもレビューしないといけないでしょう。「SOLAR MEMORY」です。実は、「POWER」の再プレイよりもこちらの方を先に読んでいたりするのですが。「POWER」とどう違うのか、そこも興味深くプレイしました。

改めてプレイしてみると、基本ラインはもちろん「POWER」と同じなのですが、細かいところが結構違います。まず目立つところでは、主人公とその母親の名前が違います。あとがきを読めば、その辺りの事情も書いてありますので、読んでみてください。前作の主人公の名前が、結構適当に決められたようですね(笑)。それに、背景画像が変わったせいか、「夏の田舎町」の雰囲気は大幅に上がっており、これは明らかに「改善」だと思います。

SOLAR MEMORYそして、「POWER」では前半の交流イベントが、ごった煮感と言いますか、イベントを無造作に並べているだけという印象があったのですが、「MEMORY」では流れがよりきちんと整えられているように感じました。今回は章立てになっており、全11章なのですが、その作りも些細な事ながら、読んだ時の印象に関わっているのかも知れません。各章はおおよそ10分くらいで読めますので、テンポも良好です。

また前半を読むと、「POWER」ほどは無理にミスリードさせようとしていないように見えます。それだけでなく、空と幸輝の祖父のエピソードが挿入されたり、後半の唐突感をなるべく感じられなくするような工夫を感じました。この変更は吉と出ているように思います。ただその分、「POWER」の「冒頭のニュースで出てきた、町外れで孤独死した老女が実は……」のくだりはなくなっており、これは前作の方が良かった気もしますが。

そして、幸輝の母親が……の理由も同様なのですが、その原因となる女性の性格のクズ度が、大幅アップしています(笑)。事件後、警察で幸輝とその女性とのやり取りが描かれますが、ここは賛否あるかも知れません。幸輝の反応も如何なものかという感じですが、流石にあの場であれだけの暴言を吐く女性も、ちょっと。あそこは直接的にストーリーに関係ある箇所でもないですし、個人的には、あそこまでは描かなくても良かったような気もするのですが……。

後半の流れについては、「POWER」同様です。ただ、幸輝と空の別れのシーンで、2人の短い台詞の応酬がちょっとくどいかなと感じました。あの場面は、もっとさらっと流すくらいの方が、かえって感動が高まったのではないかと思います。そこは好き好きかも知れませんけど。

また、「POWER」では頻繁に文字窓と全画面の切り替えで、それはそれで会話文と独白が分かりやすかったのですが、プレイしやすいとは言えませんでした。そこは改善され、読みやすくなっています。前作で気になった、(例えば)「(扉が開く音)がちゃり」のような、物語の表現としてそれはどうなのと思った箇所も改善されています。全体に、経験を積んで作り慣れた感がかなり出ており、よくできたリメイク版だと思います。

もう1つ、「POWER」では主人公である誠の友人が出てきたんですが、今回幸輝の友人は登場しません。まあ、彼はほんのチョイ役でしたし、ストーリーに直接関係ない脇役を意味なく出すくらいなら、登場人物を絞って、その分メインのキャラクターをしっかり描こうという事なのでしょうか。この方針はありだと思います。全体に、無駄が取れてすっきりし、流れもより自然になったと感じました。

ただ、文字窓の上の発言者表示スペースが妙に小さく、その箇所が読みにくかったりします。これは前作の方が見やすかったですね。しかし、作品全体の完成度としては確実に「POWER」より上がっています。「POWER」をプレイ済みの人でも、細かい違いを楽しむ事もできると思います。オープニングのムービーでも伏線が隠されていたり、全体に伏線は非常に細かく張られているので、再読のつもりでプレイしてみても楽しめるでしょう。

ツールは吉里吉里です。「POWER」では中盤の大事な箇所で選択肢があり、そこは今作も同じですが、実は前半にも選択肢が増えています。前半の選択肢は会話が変わるだけで、展開には影響しませんので、気軽に選んでください。プレイ時間は「POWER」同様、1時間半の一本道。やはりよく出来た作品です。「POWER」を未プレイの方もプレイ済みの方も、ぜひ読んでみてください。
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