第525回/仮面に隠れた血の狂気 - イザイアノトケイ‐what a brutish witches‐(サークル推考倶楽部) - ミステリー・サスペンス
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第525回/仮面に隠れた血の狂気 - イザイアノトケイ‐what a brutish witches‐(サークル推考倶楽部)

ミステリー・サスペンス
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イザイアノトケイ‐what a brutish witches‐

イザイアノトケイ‐what a brutish witches‐■制作者/サークル推考倶楽部(ダウンロード
■ジャンル/血の真実を追うサスペンスノベル
■プレイ時間/3時間

櫻花警備大学の教授、黒澤柚子子の研究室で、学生であり彼女の助手でもある水白秋人は今日もこき使われていた。そこへやってきた女子学生椛路なつき。行方不明になった彼女の友人、神楽皐月を探して欲しいと言う。柚子子と秋人は、皐月のバイト先であるブティック「イノセント」へ足を運ぶが。個性的なキャラクターが繰り広げるサスペンスドラマ。

ここが○

  • 個性的なキャラクター達。
  • 犯人を追い詰める様子の緊迫感。
  • ラストに仕掛けられた意外な展開。

ここが×

  • 描写がグロテスクな箇所は人を選ぶ。
  • 文章も癖が強すぎて人を選ぶ。
  • ちょっと突飛すぎるところもある展開。

■仮面に隠れた血の狂気

私は、サスペンスとかホラーよりは、ほのぼのとした日常ものや恋愛ものを好むのですが、それでもサスペンスやホラーは、徹底的に非日常を味わわせてくれる物語ですから、たまに読んでみたくなります。この作品は、読者の方からのお薦めでプレイしてみましたが、ふりーむで作品ページを見ただけでは、まずプレイしたい気にはなれなかったと思います。

と言うのも、作品の序盤から引用した文章が延々と綴ってあるだけで、おおよそどんな物語で、プレイ時間はどのくらいで、どんなジャンルなのかが全く分からないのです。ふりーむなどのダウンロードページでの紹介文って、ある意味画面写真より大事です。ふりーむではレビューが1件もついていないのですが、もう少し、プレイヤーの興味をひくような紹介文にしておけば、もっと多くの人にプレイしてもらえる魅力がある作品だと思うのですが。

イザイアノトケイ‐what a brutish witches‐この作品は、のっけから強烈な展開を見せてくれるサスペンスです。私はグロテスクな表現が苦手なので、正直ここでウィンドウを黙って閉じたくなりました(汗)。が、冒頭のショッキングな描写から一転、その後は日常描写が続きますので、冒頭だけは我慢して読み進めてください。最後までプレイすれば、冒頭の描写の意味も分かります。

この作品は文章も独特です。かなり持って回った文章で、「椛路嬢」のような芝居掛かった言葉遣いも頻発します。時々使うならまだしも、全編この調子なので、人によっては途中で辟易するかも知れません。更に、三人称で書かれた文章なのですが、「読者諸君にお伝えしておこう」のように、地の文章に突如作者さんの思想が出てきたりします。私もそういう文章を書くほうなのであまり言えませんが、こう言うのはやり過ぎると、読者を疲れさせてしまうように思いました。

文章だけでなく、キャラクターも仲々の曲者揃いです。櫻花警備大学の教授、黒澤は尊大で傍若無人な人物です。助手の水白秋人とは、意外といいコンビネーションで、癖は強いのですがやり取りは軽妙です。そして、ブティック「イノセント」を訪れてから物語の本番。「イノセント」の店長である赤砂木杏子が、また癖の強い自信家で、黒澤との丁々発止とも言えるやり取りは、中盤のクライマックスです。

後半に2人、また強烈な登場人物が現れます。そして後半は犯人である人物の狂気が存分に描かれ、まさにサスペンスと言うにふさわしい盛り上がりを見せます。反面、ロジックの意味では少々苦しい箇所もあり、犯人のとある手段(ある事をする事で肌が云々とか)などは、無理があり過ぎるような気もしましたが、そこはそれこの物語の世界観はそう言うものなのだと納得してしまいましょう。

ラスト近くでは、ちょっと驚くような演出、展開がされています。展開に驚いた後に真実を明かされ、うーむと唸ってしまいました。設定と中盤での展開を上手く伏線として利用し、かなり衝撃的なラストの盛り上げに成功していると思います。上で書いたように、ロジックの面では精緻な物語とは言えないのですが、ラストのこの手法には、一本取られてしまいました。少なくとも読者に与える衝撃は、並ではありません。

主人公(と言うか、ホームズ譚におけるワトスン役か)でありながら、途中までは何ら役に立っていると思えない秋人ですが、とにかく他の登場人物の癖が強過ぎるので(イノセント店員の綾瀬さんはまともですが)、この世界観と読者を繋ぐと言う意味では、立派に主人公としての役割を果たしていると思います。それに、ラスト近くでは意外と鋭い洞察力を見せる場面もありますしね。

陰惨な事件が起こる物語ではありますが、ラストは割と綺麗で、読後感は悪くありません(沢山人死んでますけど(笑))。ぶっ飛んだ登場人物ばかりなのですが、読み終える頃にはこのとんでもないキャラクター達にも愛着が湧いてしまいました。世界観が独特ですし、この登場人物たちが出てくる物語を、もう少し読んでみたい気にもなりました。立ち絵の表示方法が独特で、絵柄も癖が少し強いですが、この作品の世界観にはよく合っていたと思います。縦書きの文章も、小説風の雰囲気を高めていたのではないでしょうか。

ツールは吉里吉里です。文章が独特過ぎて、読む人を選ぶ可能性は否定できませんが、サスペンスものとして、読み手を惹きつける魅力も多い作品です。選択肢はなく、プレイ時間は3時間くらいだと思います(ゆっくり読めば5時間くらいかかるかも)。サスペンスがお好きならば、歯応えのあるドラマを楽しめる作品ですので、プレイしてみてください。
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