第528回/声を揃えてオカエリナサイ - カナラズ殺しにくる殺意ちゃん(mirukikomo) - ホラー
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第528回/声を揃えてオカエリナサイ - カナラズ殺しにくる殺意ちゃん(mirukikomo)

ホラー
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カナラズ殺しにくる殺意ちゃん

カナラズ殺しにくる殺意ちゃん準推薦
■制作者/mirukikomo(ダウンロード
■ジャンル/森の中呪い逃亡ノベル
■プレイ時間/3時間

主人公たち3人は、軽い気持ちで手を出したオカルトの遊びのため、大変な呪いに見舞われ、その呪いを対症療法的に解消するため、「殺意ちゃん」を召喚すべく誰もいない森にやって来ていた。やがて召喚される殺意ちゃんは、今までの呪いを格段に上回る恐ろしい存在だった。晃、亜希、結衣の3人は、殺意ちゃんから逃れられるのか。怖さ100%のホラーノベル。

ここが○

  • とにかく怖いので、ホラー、オカルト好きにはたまらない。
  • バッドエンドのヒントタイムが面白いし親切。
  • ラストの意外な解決法。

ここが×

  • 怖いのだが謎解きのような要素はほとんどない。
  • 純粋なハッピーエンドが存在しないので人を選ぶかも。
  • グロテスクな描写があるので、苦手な人は注意。

■声を揃えてオカエリナサイ

最近、妙にサスペンスとかホラーをプレイする機会が多いですが、この作品はかなり怖いホラーノベルです。絵を見て「どこかで見た事あるな」と思いながらプレイしていたのですが、「ねこねこ暴走曲」の作者さんの作品でした。「ねこねこ」は、作者さんの処女作で、確か当時のNaGISA netの掲示板に、作者さんが直々にプレイしてくださいと書き込まれて来た記憶があります。

「ねこねこ」はわずか20分の短編でしたが、この作品はかなり本格的なマルチエンドのホラーノベルです。作者さんが経験を積んで作り慣れ、作品としてのレベルも非常に上がっています。同じ作者さんの作品が、どんどんレベルアップしていく様子を目の当たりにできるのも、フリーのノベルゲームをプレイする魅力の一つなのではないでしょうか。

カナラズ殺しにくる殺意ちゃんこの物語の主人公は、天野晃、加藤亜希、小笠原結衣の3人です。遊び半分でオカルトに手を出したら、とんでもない呪いを受けてしまい、それを上書きして症状を消すため、新しい呪いに手を出します。何だか借金で身を滅ぼす人の典型的な行動パターンのような気もしますが(汗)、何せ相手が呪いですから、まともな手段は通用しないのでしょう。そして今回は、「今まで直接、間接的に殺してしまったもの」の集合体である「殺意ちゃん」を呼び出すというところから物語が始まります。

この殺意ちゃん。間接の間接みたいな、どう考えても自分には責任なさそうな相手まで出て来ますし、また人間はもちろんのこと、小動物や虫、細菌に到るまでやって来ます。そんなの逃げようがないだろ、と(笑)。こんなのが全員主人公達の命を狙って襲いかかってくるのです。なかなか大変な展開です。

そういう訳ですので、ホラーとしての「怖さ」はかなりのものです。苦手な人が夜一人でプレイするのは大変かも知れません。純粋なホラー的な怖さに加えて、「気持ち悪さ」もあります。変な夢を見ないように、プレイは昼にした方が無難かも知れません(あえて怖さをとことん味わうため、深夜にプレイするのもそれはそれで楽しいかも知れませんが)。

この作品、エンディングがかなり多いです。バッドエンドは全部で16種類。即死系エンドが多いため、そこまで意地悪ではありませんし、バッドエンドに行くと必ずヒントタイムが出て来るという親切設計です。このヒントタイムが面白くて和むので、ヒント見たさに全バッドエンドを回収してみたくなるかも知れません(笑)。何せ怖いゲームなので、単なるヒント以上に、こういう箸休めがあるのは有り難い配慮だと思います。

舞台は時々建物の中に移動したりもしますが、ほぼ森の中です。ですが、あまり単調さを感じさせません。キャラクター3人が個性的で、やり取りも楽しめるためというのが大きいのでしょう。ただ、結構長い物語なのですが、伏線や展開の意外さで驚かせるような物語ではありません。サスペンス、ミステリーなどの要素はあまりなく、純粋にシチュエーションで怖がらせるタイプのホラーですので、謎が解けるタイプの物語がお好きですと、少し展開が一本調子に感じるかも知れません。

それでも、ラストの意外なというか、主人公晃の機転を効かせた窮地の脱し方には、感心させられました。ログを見返してみると、なるほど意味が通る会話の中に、ちゃんと必要な文句が散りばめられていました。「先が読みたくなる物語の作り方」に、「展開主導型」(「この先どうなってるんだろう」タイプ)と「謎主導型」(「あの秘密の真実はどうなってるんだろう」タイプ)があるとすれば、この作品は明らかに前者ですが、展開主導型としては強力な引っ張りの力を持った作品でした。

バッドエンド以外には、ノーマルエンドとアブノーマルエンドがあります。言ってみれば、結衣エンドと亜希エンドと言えましょう。アブノーマルエンドは、主人公の行動がアブノーマルですが、別に異常な終わり方ではありません。どちらもハッピーエンドではないので、少し後味の悪さは残りますが、物語の締め方自体は綺麗で、きちんと決着が付いていますので、そういう意味での消化不良感はありませんでした。主人公達の過去の日常や、呪いを受ける経緯を、回想シーンなどを入れてもう少し細かく描写しても良かった気もしますが、そうするとせっかくの流れが途切れてしまい、怖さが失われてしまう結果になったかも知れませんから、今作はホラーに徹してこの作り、という事でいいと思います。

ツールはNScripterです。プレイ時間は3時間くらいでしょう。クリア後は、用語集が見られたり、キャラクターの設定が見られたり、おまけも色々あります。ホラーがお好きなら楽しめる事は間違いないですし、ホラーが苦手な私も楽しめましたので、広くお薦めできる作品です。心臓に悪い箇所もあるのですが、絵はとても可愛いですので、絵に惹かれた方はプレイしてみてください。
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