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第532回/笑ってないで、OK Giggle - Giggle。くすくす(荒咲りゆ)

オムニバス・その他
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Giggle。くすくす

Giggle。くすくす■制作者/荒咲りゆ(プレイする
■ジャンル/ちょっと怖い不条理オムニバスノベル
■プレイ時間/10分

幼馴染が亡くなった後、幼い頃に埋めたタイムカプセルを開けに行く少女。ずっと一緒にいる事を約束した、愛し合う2人。幼い頃からずっとちーちゃんを見つめていた熊のぬいぐるみ。そして妻と子供が用意してくれた誕生日のケーキを見つめる男。少しホラー風味の超短編4本詰め合わせ。

ここが○

  • 超短編ながら、なかなかよく出来た構成。
  • 性格の違う4本の話。
  • フルボイスだったりGoogleのパロディだったり、芸が細かい。

ここが×

  • ちょっと短すぎる気も。
  • バックログがクリックでないと読めないのは少し不便。
  • コンフィグ画面から右クリックで戻れない。

■笑ってないで、OK Giggle

こういう作品の事を、何と呼べばいいのでしょう。ホラーと言うのとは違う気がしますし、不思議系とも違いますし、サスペンスでもないですし。テレビ番組の「世にも奇妙な物語」系とでも言いましょうか、ナンセンス・不条理系と言いますか。そう言う訳で、新しいジャンルを増やしてしまいました。

「Giggle」は「くすくす笑う」と言う意味ですから、「Giggle。くすくす」と言うタイトルは、何だか「頭痛が痛い」風味なのですが(笑)、検索エンジンGoogleを模したタイトル画面は、なかなか凝っています。この作品は、4本の物語を収めたオムニバス形式の短編集。短編と言っても、一本を読むのには3分もかからないですから、短編と言うより掌編と言った方が適切かも知れません。

Giggle。くすくすこの手の、ちょっと捻りが聞いた、不条理系の少しダークな掌編詰め合わせ集としては、「題名はない」がありました。が、あちらに比べるとこちらの方がストレートで、より分かりやすいでしょう。そしてそこまで皮肉っぽい考えオチがある訳ではありません。ある意味分かりやすく、深く考えるまでもなく意味が分かる作品ばかりです。

だからと言ってそれがこの作品の短所という訳ではありません。この手の不条理系短編が、たまに「最後まで読んでも何が何だか分からない」事もままある中、この作品に収められた作品は、どれも最後まで読めばちゃんと意味が分かり、なるほどと腑に落ちる物語ばかりです。だからと言って、個々の作品の読後感が良いかと言われると、それは趣味による、としか言いようがないのですが(笑)、短編としてはどれも高い完成度だと思います。

そして全4本の物語は、どれも同じようなストーリーという事はなく、それぞれ味わいが違います。1本目の「頷く」は、タイトルの意味が最後で分かる構成が上手いです。4本の中ではこれが一番好みかも知れません。2本目の「祝福の花束を添えて」は、もう一捻りが欲しい気はしましたが、シンプルでストレートに来る怖さを感じさせてくれました。

3本目の「Small type bear」。タイトルが直訳過ぎな気もしますが(small typeだと、意図しているような意味にならないのでは……)、ちょっとホラーっぽい怖さもあります。王道ではありますが、この短さで上手くまとめていました。4本目の「2度生まれる」。この作品だけは、怖い訳ではなく、ちょっとしんみりさせるタイプの物語です。4本目にこれを持ってきた事で、作品全体としての読後感がとてもよくなっており、これは上手い構成だと思わされました。

この作品、非常に短い作品なのですが、実はフルボイスです。アニメっぽい声ではないのが雰囲気に合っていますね。SEも凝っていまして、何だかラジオドラマのようです。演出も丁寧で、タイトル画面のGoogleのパロディと言い、細かいところまでしっかり手をかけられた、レベルの高い短編作品だと思います。なお、タイトル画面の特定のポイントをクリックすると、ちょっとしたおまけが見られます。これをエンディングにしても良かったのでは……。

ただ、文章の読み返しがマウスホイールの上回転でできません(ティラノでは結構見受けられる現象です)。バックログは、右側にあるボタンをクリックしないと見ることができません。どちらかというと、文章を読み返したくなるタイプの作品ですから、この点少しプレイしにくく感じました。それとコンフィグ画面から右クリックでメイン画面に戻る事ができません。スマホ寄りのツールだからか、この現象もよく見られます。

ツールはティラノスクリプトで、プレイ時間は10分程度です。選択肢はありません。ダウンロード版はどうやらないようで、ブラウザー版のみです。10分の作品としては、非常によく作り込まれた労作だと思います。確かにちょっと怖いところはありますが、構成の上手さのせいか、不思議と後味の悪さはあまり感じません。明るく楽しい作品ではありませんが、たまにはこういうちょっと不条理な短編も良いものです。
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