第56回/ここが私のホームタウン - ホームタウン(くすりばこ) - ミステリー・サスペンス
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第56回/ここが私のホームタウン - ホームタウン(くすりばこ)

ミステリー・サスペンス
  • comment0
  • trackback-

ホームタウン

ホームタウン準推薦
■制作者/くすりばこ(ダウンロード
■容量/2.5MB

幼い頃に両親をなくした孝之は、別々に育った兄と久しぶりに再会するはずだった。しかしその兄は何物かに殺される。犯人を見つけ出すべく、孝之は女友達の沙希と兄の家へ。その頃ニュースを騒がせていた連続殺人事件との関わりは……。意外な結末が驚きを呼ぶサイコサスペンスノベル。

ここが○

  • 文章力上々。密閉空間のパニック状態も、よく描けている。
  • エンディングの数が多く、何度でもプレイできる。難易度も適度。
  • 巧妙な伏線の張り方。驚かされる結末。

ここが×

  • タイトルやエンディング等、そう言った演出は皆無で寂しすぎる。
  • 音楽がへなちょこすぎ。
  • エンディングが多いのだから、エンディングリストがあればよかった。

■ここが私のホームタウン

私が好むジャンルは、電波が入ってない恋愛系などの、ほのぼのまったりしたものです。「ハーバーランドでつかまえて」「夢の少女」「Beyond the summer」と言ったあたりが、ずばりストライクな訳ですが、それでは苦手なジャンルは何かと言いますと……。

まずはホラー。続いて伝奇。そしてサイコサスペンスもの。この3つはどうにも駄目です。まあ伝奇は、明るく楽しめるものならいいんですが(「外道狩り」みたいに)、重苦しくなると駄目です。サイコサスペンスは問題外。明るくほのぼのとしたサイコサスペンスなんて、ある訳ありませんし(笑)。なので、これらのジャンルは絶対に積極的に手を出す事はありませんでした。

にもかかわらず、なぜ今回この作品を取り上げたかと言うと……。どうにも最近のVector新着が「BL」「女性向け恋愛」ばかりで……。仕方なしに、いつもは滅多にチェックしない「ホラーアドベンチャー」をチェックし、この作品をダウンロードしてみた訳です。こんな事でもないと、私はVectorの「ホラーアドベンチャー」のところはチェックしません。

さてこの作品、プレイして見れば分かりますが、いきなりタイトル画面からやる気がありません。制作者ロゴやタイトル画像も何もなく、ただ選択肢が出るだけ。それも「始めから」「続きから」「さようなら」の3つ。「さようなら」って(笑)。プレイヤーのやる気を試そうとしているのでしょうか(笑)。

などと思いつつ読み進めるうち、最初は冷やかし半分だった気持ちが「この作品はただものじゃないぞ」と変わってきました。まずは、確かな文章力。それに基づくキャラクター描写も見事。キャラクターはシルエットなんですが、個人的にはなくてもよかったかな?とも思いますが。そして物語は序盤はゆっくり流れ、中盤から舞台となる兄の家は、台風による崖崩れなどで完全な密室状態となります。いわゆるホラーノベルによくあるシチュエーションとなり、恐怖心を煽ります。エンディングは多いですが、よくあるホラーノベルのように、やたら死にまくります(笑)。

なので、「ホラーノベルにありがちな結末なんだろうな」などと思っていると……見事にやられました。結末にはびっくり。そして結末が分かってみると、兄の過去や街の人、友人との何気ない会話に巧妙に隠された、実に緻密な伏線の張り方に唸らされました。ホラーではなく「サスペンス」というジャンル分けがまさにぴったり当てはまる作品でした。

難点は……。音楽、ですかね(苦笑)。まあホラー的なシーンの曲は、割と雰囲気にあってるんですが、日常シーンの曲は、もうちょっと何とかならなかったものでしょうか。タイトル画面やエンディングが殺風景すぎるのも、ちょっとポイントを下げてしまってます。エンディングの数が多いんだから、制覇したエンディングリストなどもあればな、と思わされます。あと、句点でやたら改行してたのが、ちょっと読み辛かったかなあ、と。

もちろん、物語が物語なので爽やかな読後感ではありません。ですが読み終えた後タイトルの「ホームタウン」の意味が分かり、そして心にきっと何か残るはずです。ホラー、サイコサスペンスが苦手な私でも、この作品は最後まで楽しんでプレイできました。ま、私はハッピーエンド大好き人間ですので、「これを機に、今後はホラーやサイコをどんどんプレイしよう」とは思いませんが(笑)。

「ホラーノベルなんて、シチュエーションと画面効果、音で怖がらせるだけで、ストーリーは空っぽだろ?」みたいな偏見を持っている方(私か?(笑))には、その偏見を覆すに十分なものを持った作品だと思います。サイコサスペンスに抵抗がある方にもお勧めです。
関連記事

Comments 0

Leave a reply