第537回/ちょっとお茶目な龍神様 - 7日目の花嫁(荒咲りゆ) - ファンタジー
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第537回/ちょっとお茶目な龍神様 - 7日目の花嫁(荒咲りゆ)

ファンタジー
  • comment0
  • trackback-

7日目の花嫁

7日目の花嫁■制作者/荒咲りゆ(ダウンロード
■ジャンル/龍神様との1週間ノベル
■プレイ時間/20分

作物の不作に疫病と、災厄が続く村で、龍神様に生贄を献げる事になった。生贄に選ばれた日和(名前任意)は、身を清めるという名目の元、1週間の間廃墟と貸した神殿で過ごす事に。そこで出会ったのは、なんと龍神様その人。かくて、日和と龍神様の奇妙な生活が幕を開けた。ほんのり恋愛風味の、和風ファンタジー短編ノベル。

ここが○

  • ほのぼのとした龍神様との交流。
  • 短編だがフルボイス。龍神様の声が格好いい。
  • すっきりした読後感のエンディング。

ここが×

  • もう一捻りがあっても良かった気が。
  • もう少し緊張感がある展開でも良かったかも。
  • なかなか酷い村人達(笑)。

■ちょっとお茶目な龍神様

少し長めの作品の次は、短編作品をご紹介。最近では珍しい、和風ファンタジーです。舞台は小さな村。この村には龍神様の伝説がありまして、不作や疫病続きの原因が龍神様の怒りによるものとされました。なので、龍神様に嫁ぐという名目で、一人の巫女が龍神様の生贄として献げられる事に。それまでの1週間、廃墟のような神殿で巫女である日和は、「身を清める」事になりました。

この作品、ダウンロードページのあらすじを読むと、えらく暗い話のようにも思えます。実際、開始してしばらくは少し重苦しい雰囲気で、この先一体どういう展開になるのだろうと思わされます。が、そんな雰囲気はすぐに一変する事となります。神殿で途方にくれる日和の目の前に、いきなり龍神様その人(いや「その神」か?)が現れるのです。

7日目の花嫁この龍神様、神様なのにやけにフレンドリー。そして神様だけあって大した能力の持ち主です。自由自在に火をつけるし、熊も気合いだけで投げ飛ばしてしまいます。この龍神様と、日和のほのぼのとしたやり取りがとても心地よく、楽しく読むことができます。日和と龍神様が一緒に過ごす期間は、生贄に献げられるまでの1週間。そう大したイベントは起こりませんし、舞台はごく狭い範囲でしかないのですが、十分バラエティに富んだ展開を楽しめます。

そして日和が生贄に献げられるラストシーン。龍神様自ら村長や村人たちを一喝する場面は痛快で溜飲が下がります。村人達の対応が、最初から最後まで酷いですからね(笑)。最後の選択肢でエンディングは2つに分かれますが、ここはやはり龍神様と一緒に行く選択肢を選びたいところ。まあどちらの選択肢を選んでも、読後感のいいハッピーエンドではありますが。あらすじや冒頭の雰囲気からは考えられないほど、爽やかな終わり方です。

反面、少し展開に緊迫感が欠ける点は否定しきれません。ほのぼのしてていいですし、それがこの作品の長所でもあるのですが、もう少し読者の緊張感を煽るような展開、イベントが1つ2つあっても良かったかも知れません。龍神様との日常は楽しくていいのですが、1週間後に死ななければならないという緊迫感が、ちょっと薄いんですよね。

展開自体も、捻りのないストレートなものですので、プレイヤーの裏をかく仕掛けが1つあっても面白かったでしょう。もっとも、プレイ時間を考えても、このストレートな作りというのはある意味正解のような気もします。あまり欲張らず、日和と龍神様の交流を描き、気持ちのいいラストを持ってきた。それだけでも十分楽しめますから、この作りはありとも言えます。

ちなみにこの作品は、短編なのですがフルボイスです。龍神様の声が、「永3-Eimin-」のキーヤと似ているように思いましたが(未確認ですがもしかして同じ方?)、やはりちょっと緑川光さんっぽくて格好いいです。キャラクターイメージによく合っていますし、好演で作品の雰囲気を高めていると思います。お茶目なシーンと神様らしい威厳のある台詞の落差もいいですね。

なお、クリアするとちょっとしたおまけシナリオが読めます。読むと、色々と想像が膨らんで面白いかも知れません。1枚絵の鑑賞モードもありまして、全体にプレイヤーに親切な作りです。短編ですが1枚絵も結構豊富で、シリアスな絵あり、コミカルな絵ありと楽しませてくれます。タツノオトシゴには、ちょっとずっこけてしまいましたけど(笑)。

ツールはティラノスクリプトです。ラスト近くの選択肢で2つのエンディングに分岐しますが、上で書いた通りどちらもバッドエンドではなく、綺麗にまとまっていますので、読後感はとても良好です。プレイ時間は2つのエンディングを見て20分というところ。短編のキャラクタードラマとしては、とてもよく出来た物語だと思います。どちらかというと乙女ゲームに分類される系統の作品ですが、男性がプレイしても問題なく楽しめます。この作者さんの作品は3本目ですが、この作者さんの中編・長編が是非読んでみたいですね。
関連記事

Comments 0

Leave a reply