過去作プレイバック/第3回 - 逢い〜愛 - 過去作プレイバック
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過去作プレイバック/第3回 - 逢い〜愛

過去作プレイバック
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逢い〜愛「過去作プレイバック」の3回目は、「逢い〜愛」(初出時のレビュー)。バージョンアップにより、別エンディングが追加されたという情報をいただきましたので、久々にプレイしてみました。私がレビューを開始して34本目ですから、かなり初期のレビューです。2004年ですから、今から14年も前の作品。かなりバージョンが古いNScripterですし、BGMは、多くがおなじみTAM Music factoryのMIDIで、時代を感じさせます。

作りはシンプルでストレートな恋愛ものです。高校生の主人公高村章が、飛行機の中で偶然会話したスチュワーデス(今はキャビンアテンダントでしたか)の中村恵美と仲良くなり云々という、出会い型の恋愛もの。ボーイミーツガールという感じではないですが、基本的な作りは同じと見ていいでしょう。

高校生が現役CAと割と簡単に仲良くなってしまうという、些か御都合主義な展開ではありますが、今の作品ではあまり見られない一直線な展開が気持ちいいです。難解な言い回しも、哲学的な思索も何もありません。主人公である章の高校生らしい一途さと、恵美の大人っぽさと可愛らしさとが同居した描写が、何とも言えません。修学旅行の際の空港で、「見せつけちゃおっか」なんて、反則の極みです(笑)。

逢い〜愛ただ、これは初出時のレビューにも書きましたが、章と恵美が仲良くなる過程が、あまりにも急なんですよね。章が恵美に惹かれた理由はまだ分かりますが、恵美が章に惹かれるようになった理由付けが明確に描写されていないので、どうしても中盤に唐突さを感じてしまうのは否定しきれません。

そして問題の後半。函館空港で会おうと約束していた章と恵美でしたが……。ここで、章を乗せてくれるタクシードライバーが、とてもいい味を出しています。ここのやり取りは改めて読んでも、とてもいいなと思わされました(今回バージョンアップしていますので、前回と同じかどうかは分からないのですが)。タクシードライバーに限らず、高校の担任の教師など、脇役キャラクターがとても効いています。

その後に来るラスト。一度持ち上げてからの転落ですので、ショックが大きい終わり方です。しかも、悲劇的な終わり方に何かの意味があるという感じではなく、ただ悲劇で終わりました、というだけなので、直前の展開と合わせても「そりゃないでしょう」という思いは大きいと思います。

なのでバージョンアップで別エンディングが追加されました。後書きによると、「あのエンディングはどうなの」という意見が結構来たようです(まさか、私のレビューもそれに含まれている、なんて事は……)。一度エンディングを見た後タイトルに戻ると、「恵美の日記」をいうのを選択できます。ここを選択すると、恵美の部屋で彼女の日記を読む事ができ、更にそこで出てくる選択肢により、ifの世界への扉が開く、というもの。

結果として、このバージョンアップは、大正解だと思います。別エンディング自体は、悲劇が起こらないものの、メインのエンディングのようなまとまった終わり方でもないですし、何より主人公の章がかなりお間抜けなのですが(笑)、この別エンドもさることながら「恵美の日記」の価値が高いと思います。前バージョンでは、単に理不尽な悲劇という感が拭えなかったのですが、この日記により、物語全体の完成度が上がり、悲劇ではあるものの、少し納得が行く終わり方になったように思うのです。

もちろん私の好みは、追加されたエンドの方を選びたいのですが、ただ悲劇が起こらないだけで、終わり方としては綺麗とは言い難いんですよね。その意味では、悲劇ではあるものの、メインのエンドの方が圧倒的にまとまっています。この別エンド、もう少し先までしっかり描いて、章と恵美のバカップルぶりを見てみたかったと感じるのは、私だけでしょうか(笑)。

今プレイすると、古い感じがするかも知れません。しかし、ストレートな恋愛物語が減った今、この直球な作りは逆に新鮮な印象を受けます。ストレートだからと言って、決して陳腐ではありません。「複雑で難解=いい作品」ではないというのが、こういう作品を読めばよく分かります。20分ほどでプレイできる作品です。温故知新。新しくて派手で、美麗な動画が付いている作品もいいですが、地味だけど味わい深い、こういう少し古い作品も時にはいいものですよ。
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