2018年11月の作品について - 月別まとめ
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

2018年11月の作品について

月別まとめ
  • comment0
  • trackback-
11月は合計25本の作品をご紹介し、なんと記事は30日連続で1日も休む事なく書き続けました。あまりそういう事をやり過ぎると休み辛くなるのですが(笑)、ブログは更新してなんぼですから、今月もなるべく休まずに更新できればと思います。

まずは、11月の作品のまとめです。
推薦/2
準推薦/8
無印/15

推薦の2本は、どちらもプレイ時間30分までの超短編。ですがどちらも大変物語としてよく出来ていました。準推薦もいつもの月に比べると少なかった気がします。最近はそういう傾向が強いのですが、今月は特に、純粋にエンターテインメント的な物語が少なかった感じですね。続いてジャンル別。

ナンセンス・不条理/2
不思議系/4
SF/3
アクション・ドラマ/2
ミステリー・サスペンス/2
伝奇/1
日常/3
学園・青春/3
ホラー/2
ファンタジー/1
病院・闘病/1
コメディ/1

かなりバラエティに富んでいるのが分かりますが、なんと「恋愛」が1本もありません。「恋愛要素もある」なら何本かあるんですが、ジャンルは「メインテーマは何か」で判断するので、純粋な恋愛ものじゃないと、恋愛カテゴリーにならないいんですよね。

以前は、3分の1が恋愛ものだった事もあるんですが、この辺りも、今月はエンターテインメント寄りの作品が少ないと感じた一因かも知れません(恋愛=エンターテインメントという訳でもないのですが)。

では個別の作品について書いていきましょう。

11月の作品の印象


紅く追憶の水葬上にも書いたように、「推薦」の2本「鬼のうた」「あなたのお家に行ってもいいですか?」、いずれも素晴らしい短編でした。前者は、舞台設定と台詞回しの妙、後者は構成の上手さと全く無駄のない展開の巧妙さ。どちらも是非プレイしていただきたい作品です。

正直、「短編ではどうしても、ストーリーの充実度で長い作品には引けを取るなあ」と感じていたのですが、作り方次第ではこれだけの物が生み出せるのだなと、心底感心しました。短編作品を作ってみたい方の、お手本にもなり得る作品だと思います。

SOLAR MEMORY」は、リメイク版なのですが、細部がブラッシュアップされて完成度が大幅に上がっています。もちろん前作も好きではありましたが、作者さんの経験値の上昇ぶりを感じられる作品でした。「カナラズ殺しに来る殺意ちゃん」は、ただの「怖がらせるホラー」ではなく、後半の意外な展開と、ラストの難局を打破する作戦が見事で、まとまりのある中長編ホラーでした。ハッピーエンドではないものの、それなりに綺麗な終わり方なので、意外と読後感も悪くありませんでしたし。

もちろん、いかにもホラーな描写も多々ありますが、それよりは「状況で怖がらせる」シーンが多く、じわりじわりと怖さがまとわりついてくる作品。シチュエーションホラーとでも言いましょうか。もちろん怖かったのですが(笑)、ホラーが苦手な私でも、こういう作品ならもっとプレイしたいなと思わされました。

Kids box」「理のスケッチ」は、いずれも少し難解で考えさせられる作品。特に後者は、文章が長くて難しく、楽しんですらすら読めるというタイプの作品ではないので、人を選ぶかも知れません。が、内容的には深く、じっくり味わえば、後々まで残る感銘を味わえる作品だと思います。「Kids box」はちょっとSFっぽいところがあり、これも考える面白さがある一作。

では無印作品からもいくつか。「紅く追憶の水葬」は、美麗なグラフィックスと凝った設定で読み応えのある、一風変わったミステリー。ミステリーというよりはサスペンス寄りのような気もしますが、グラフィックスの点では今月ご紹介の作品の中でも随一ではないでしょうか。二転三転する終盤も、見所でした。「イザイアノトケイ‐what a brutish witches‐」も、独特の設定のミステリー風サスペンス。ただ、クリスチャンである私は「イエス・キリスト卿」という表現で、思いっきりずっこけてしまったのですが(笑。まあ「卿」を英訳すればLordではあるけど……)、強烈な個性のキャラクターと、ラストの意外な展開で最後まで気を抜けない物語。

ありすとーく」は、チャットアプリの画面だけで、音一切なしで進む新趣向の物語。ちゃんと物語として成立してますし、想像の余地もあるところが面白い。でもこの作者さんは、やはり最新作の「ハッピーエンドに花を添えて」のように、場面と台詞回しで読み手を魅了する物語が本領のように思いました。そして「7日目の花嫁」は、乙女ゲームではあるのですが、男性でも楽しめます。日和と龍神様のやり取りがほのぼのしますし、何より龍神様は男性が見てもいけているキャラクターで好感が持てました。ラストも綺麗で、こういうストレートなエンターテインメント作品はほっとします。

25本もあると、なかなか全部は振り返れませんが、今月は特にジャンルがばらけていて、バラエティに富んでいた印象でした。

印象に残ったキャラクター


ときかけさんちのあさごはんときかけさんちの朝ごはん」は、美味しそうな朝食のイラストもさることながら、ときかけさんとノーラのやり取りがとても和みました。ノーラに何か秘密があるように描かれていて、最後まで何も語られなかったのでちょっともやもやしたものが残りましたが、この作品は続編があったらプレイして、また2人のやり取りを見てみたいです。

2人のやり取りと言えば、「探偵は振り向かない」の加納と七菜も、コメディとハードボイルドを行ったり来たりの、面白いコンビでした。この作品、後半が急にすとんと落ちてしまった感があるのですが、このコンビの活躍も、できればまた見てみたい気がします。この作品も「ときかけさん」同様、意味ありげな設定が出されながらも、作中では詳しく語られていませんし。

また、「冬の朝の、ベンチから見える東の空は、美しくて、」の、主人公と先輩も面白いやり取りでした。主人公は妙に哲学的な思考なのですが、ちょっとお気楽な先輩同様、言葉の端々から人生の苦労が見え隠れするのが興味深かったです。今月はこのように、個性的で面白いコンビネーションを見せてくれる作品が多かったように思いました。

雪と手袋」では、女性特有の心理が上手く描かれていたのが印象に残りました。主人公の霧子、部長の蒼川、それに小学生ながらさらちゃんの策士ぶり。それでいて、作者さんは男性らしいんですよね。お見事です。「あの空の向こうに」は、主人公の依都と紫月より、サブキャラのひなのが印象に残っています。もうちょっと彼女が活躍して欲しかったですが、おまけで依都とのやり取りがちょっと見られたので、満足です(笑)。

雨紡ぎの四葩」は、何と言っても生首人形ヒロインのオルタシアのインパクトが凄いです。人形なのにやけに言動が人間的で、飛び跳ねたりもしますし(笑)。その分と言いますか、元彼女の桃香の影がいまいち薄かったのが少し残念なのですが。この作品も、キャラクターが個性的な作品でした。

その他は「あなたのお家に行ってもいいですか?」で絶妙な活躍をした田中や、「SECRET GARDEN」のお姉さん、「女子トイレの殺人」の壊れたキャラクター達(特に主人公の名前、「助士玲人」に吹いてしまった)、「ハイドアンドシーク」の全員鳥の名前の子供達(カナリアがお気に入り)など、楽しいキャラクターが今月も物語を彩ってくれました。

印象に残った台詞、場面


鬼のうた台詞で今月一番印象に残ったのは、やはり「鬼のうた」の藤吉の「自分の方こそ鬼ではないか」という一言です。この作品、短いですし展開も王道で特に捻っている訳ではないのですが、場面設定と台詞回しが絶妙でした。ゆきの「お慕いしておりました」も捨てがたい名台詞です。

仮面のセカイ」の、3本目のおまけのラストは衝撃的でしたね。その後タイトルに戻った時の背景写真がまた凄いです。この作品、正直読後感は良くないのですが、場面場面の印象は非常に強いものがありました。「永3-Eimin-」のラストも、手法としては正統派ながら、それまでのやり取りとの落差で、とてもインパクトのある場面でした。

人間標本」は、淡々と語られるグロテスクな過程が夢に出そうです。怖さを煽ってくるタイプではないのが、かえって効いていました。「学園ライト!」は、初めて「影」を見た時、動作の不具合かとびっくりしてしまいました(笑)。いきなり戦闘シーンになったのも驚いたのですが。また、「 Giggle。くすくす」は、「頷く」の手紙の最後の一行がぞわっときました。この作品、類似の「ちょっと怖い話を集めた」系統のオムニバス短編集の中では、かなり良く出来た物語です。この作者さんには今後も注目してみたいですね。

手紙と言えば、「遺書」は外せません。手紙を演出に使った作品は、よほど下手な使い方をしない限りは効果が上がるのが約束されているようなものなんですが(スマートフォンなどのデジタルコミュニケーション全盛の時代ですから、なおの事です)、この作品の手紙の使い方の上手さはお見事でした。この作者さんは新作も出たようですので、また時間を見てプレイしてみたいと思っています。


という訳で、25本。冒頭で書いたように、「恋愛」がゼロというのは少々寂しい気がしますが、様々なジャンルの作品を楽しめた一月でした。12月は、ぜひ面白い恋愛ものにも出会えればいいですね。
関連記事

Comments 0

Leave a reply