第545回/語り尽くせぬ五分間 - 五分で終わる話(サイトール) - SF
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第545回/語り尽くせぬ五分間 - 五分で終わる話(サイトール)

SF
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五分で終わる話

五分で終わる話準推薦
■制作者/サイトール(ダウンロード
■ジャンル/爆弾解除SF風人間模様ノベル
■プレイ時間/20分

爆弾が仕掛けられているという通報を受け、片田舎の星に駆けつけたイヴン。そこにいたのは、かつての友人であるロボットのキューブだった。爆弾はキューブの体に取り付けられており、爆破までは5分しかない。キューブとの会話を通じて、5分の間に爆弾の解除方法を探し出せるのか。スペースオペラ風の舞台で繰り広げられる、味わい深い短編ノベル。

ここが○

  • イヴンとキューブの会話内容が、なかなか深い。
  • ちょっとレトロモダンなデザインが格好いい。
  • 色々考えさせられるラスト。

ここが×

  • 本格的なSFやサスペンスを期待すると肩透かしかも。
  • 繰り返しプレイを全く考慮していない作り。
  • どの終わり方もあまり大差ないので、そういう意味で繰り返しプレイには向かない。

■語り尽くせぬ五分間

また独特でインパクトのあるタイトルの作品の登場です。「五分で終わる話」。てっきり、五分で読了できる超短編なのかと思ったら、五分では読めません(確かに超短編ではありますが)。タイトルの意味は、本編を読めば分かります。そしてプレイすれば、確かに「五分で終わる話」だと感じるでしょう(後日談含めたら五分じゃないだろ、という突っ込みは禁止で(笑))。

主人公は、片田舎の星で働く下っ端の警察官です。ある時、爆弾犯人がいるとの通報を受け、急行したところ、そこにいたのは旧友のロボット、キューブでした。爆弾はキューブの体に取り付けられており、起爆時間までは五分しかありません。五分以内に、爆弾を止める事ができるかどうか。なるほど確かに五分で終わる話です。これがタイトルの由来ですね。

五分で終わる話この設定からすると、サスペンスなのかSFかと思わせてくれます。事実、少しサスペンスFっぽい雰囲気はありますし、舞台立てはSF風味ですが、実はこの作品は、主人公とキューブとの人間模様(キューブはロボットですけど)を描いた、ある種の人情物です。複雑な爆弾解体や時限装置解除の要素は(ほとんど)なく、作中で出来る事は、キューブとの会話が主体です。

この会話内容が、何というかちょっと深いです。キューブは、余った部品を寄せ集めて作られたような、謂わば落ちこぼれのようなロボットなのですが、そのキューブの思いが、会話から徐々に伝わってくる加減が巧妙です。また、最初は他愛のない会話から始まって、途中でイヴンの過去の夢の話が入ってくるのですが、これがちゃんと本線に絡んでいるのが、上手い作りだと思わされました。

制限時間はタイトルの通り五分で、上部に残り時間が表示されます。そして、会話をしたり調査をしたりすると、残り時間から30秒が減ります。これがなかなか緊迫感を上手に演出しています。また、作中は基本的にモノクロの画面で、キューブの目やイヴンの銃、起爆装置の表示(LED?)だけが赤く光っているのですが、これがまた雰囲気を高めていました。キューブのデザインや独特なフォントも含め、レトロモダンな世界観が魅力です。

作中でのキューブの思いの吐露は、ロボットでなくても、人間であっても抱き得る普遍的な思いなのではないかと思います。それをイヴンにぶつけてくるキューブと、心を揺り動かされながらも、冷静に対処するイヴン。そしてそのキューブを友人として最後まで信頼するのか……。短いやり取りではあるものの、人間ドラマとして、密度が濃い描写です。プレイ時間は20分程度なのですが、その短い時間の中でずっしりと重みのある物語を味わえます。

ただこの作品、複数回プレイをまるで考慮していない作りなのです。まあ、基本的には選択肢では少し展開が変わる程度で、明確な分岐は3種類(2種類と言ってもいいかも)なのですが、「爆死エンド」以外は、読了後もう一度読む事ができません。セーブファイルを削除すれば再びプレイできますが、そもそも自力でセーブが出来ません(セーブファイルは、クリア後自動で生成されます)。作品のテーマからして、わざとそうしていると思われますが、もう少し親切でも良かったのではないでしょうか。一度のプレイで、全部の会話内容を見るのは不可能ですし……。

終わり方のうち、爆死エンドはちょっと笑ってしまいました。これほど素っ気なく終わるバッドエンドも、なかなか見られないのではないかと思います。この爆死エンドの場合は、もう一度最初からプレイすると、タイマーが2分半(だったかな?)残った状態から再開できますので、是非一度は見てみてください。初めて見た時にはあまりに無愛想な終わり方に呆然としましたが、ある意味必見です(笑)。

ラストでは、夢を追いかけるか否かの選択肢もありますが、会話内容が変わるだけですので、好きな方を選びましょう。ツールはツクールVXです。既読スキップが使い辛いなど、システム周りが少し使いにくいのですが、そもそも繰り返しプレイは前提としていないのでしょう。プレイ時間は20分程度。短いプレイ時間ですが、考えさせられるところの多い物語です。エンディングに関わる選択肢は1箇所だけで、難易度も全然高くはありませんので、是非プレイしてみてください。
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