第548回/この幸運は、あなたの魔法 - 幸運の魔女(Snow Ground) - ファンタジー
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第548回/この幸運は、あなたの魔法 - 幸運の魔女(Snow Ground)

ファンタジー
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幸運の魔女

幸運の魔女■制作者/Snow Ground(ダウンロード
■ジャンル/幸運を奪う孤独な魔女ノベル
■プレイ時間/40分

広大な森の奥に住むと言われている魔女。その森に足を踏み入れると、幻覚の魔法にかかり、更には自然の壁に道を阻まれ森の奥に辿り着くことはままならないという。その森に一人の少女が迷い込んだ。幻覚から逃げ、森の奥で小さなこやを見つけた少女は、小屋へ足を踏み入れた。そこにいたのは……。魔女と少女の交流を描いた短編ファンタジー。

ここが○

  • 魔女と少女の交流が暖かい。
  • しっかりとした文章力。
  • 背景や曲が世界観にあっていて良い。

ここが×

  • あまり起伏のある物語ではないので、物足りない人もいるかも。
  • 明るい方のエンドは少しあっさり風味。
  • 各種メニューから右クリックで戻れないのは、少し不便。

■この幸運は、あなたの魔法

ファンタジーが続きます。前回はファンタジー要素のある海戦ノベルでしたが、今回は魔女パウラと少女ノナの出会いの物語。ファンタジー要素のある人間ドラマとでも言いますか。何せ舞台はほとんどパウラの家の中だけですので、さほど劇的な展開はしないのですが、素直なノナと斜に構えるパウラの対比ややり取りがほのぼのとしていて、ゆったりした気持ちで読めます。

パウラは年齢300才の魔女。300才ではありますが、見た目は若く見えるようです。ノナは「お姉さん」と言ってますしね。そのパウラは森の奥に一人で住んでおり、幻覚の魔法で森の奥に人が近付かないようにしています。そのため、パウラはずっと孤独に生活していました。が、幻覚魔法で人を寄せ付けないようにしていたのにも関わらず、道に迷った少女、ノナがある夜にパウラの小屋にやってきました。

幸運の魔女ノナとのやり取りを通じ、ずっと孤独だったパウラは少しずつ心を開いていくのですが……。というような展開です。舞台はほぼパウラの家ですから、ともすれば単調になりがちなのですが、途中パウラの過去が明かされたり、展開が一本調子にならないような工夫がされています。

全体に地味な物語ではあるのですが、テーマは意外と深いです。文章力もしっかりしていて読みやすいです。また背景写真がファンタジーっぽくてとても良く、雰囲気を高めていました。暖炉の燃えている室内の写真は、特に良いですね。後半は急に物語が動くのですが、それほど唐突感は感じません。パウラの過去が語られるところも印象的でしたし、あまり動きのない物語において上手くアクセントになっていたと思います。

ただ、悪魔(?)の彼については、作中でほとんど説明がない上、扱いもちょっと中途半端な気がしましたので、彼についてはもう少し丁寧に扱って、言及と言いますか、説明があっても良かったような気はしました。彼を上手く扱えば、もう少しテーマを際立たせる事も出来たような気がするんですが、特定のイベントのためだけに出てきたような感が、若干否定し切れません。

後半の選択肢でエンディングが2種類に分岐します。明るいエンドと暗いエンドで、最後に流れる曲でだいたいどちらかは分かるでしょう。明るい方のエンディングは、確かに明るくて希望を感じさせる終わり方ですが、深みがあって余韻を残してくれ、テーマをより明確に示せているのは、暗い方のエンドだと思います。とは言え、明るい方のエンドも好きなんですけどね。タイトルの意味をより明確に示しているのは、こちらですし。

ツールにはLight.vnを使っています。プレイはしやすいのですが、設定画面やセーブ場面、文章読み返しなどの画面から、右クリックでメイン画面に戻る事ができず、バックアイコンをクリックしなくてはならないのは、少し煩わしく感じました。Light.vnのシステム的には、右クリックで戻れるようにもできるはずなのですが。短編ですし、そこまで頻繁に使うものではありませんから、プレイ感覚を損なうというほどの事はないですけどね。

全体に、小説とかゲーム、漫画というよりは、絵本のような雰囲気を感じます。各種のアイコンは全て平仮名で書かれているのですが、もしかしたら絵本のような雰囲気を狙った一環なのかも知れません(深読みの気もしますが)。物語として見ると、少し起伏に欠けるところはありますから、山も谷もある派手な物語が好きな方には合わないかも知れません。が、独特の幻想的な雰囲気を醸し出しており、これがこの作品独自の魅力だと思います。

プレイ時間は、2つのエンディングを見て40分というところだと思います。選択肢はいくつか出てきますが、最後の選択肢以外は展開に影響しません。読了すると、各種おまけを見る事ができ、その中でプロモーションムービーまで見られたりします。これをオープニングニングに流せば良かったのではないか、という気もしました。地味で通好みの物語。幻想的なムードを味わいながらほのぼのとしたい方は、読んでみてください。
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