第552回/私が守ろう、貴方の未来 - ミライハカイ(Enharmonic☆Lied & さつき晴れ) - SF
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第552回/私が守ろう、貴方の未来 - ミライハカイ(Enharmonic☆Lied & さつき晴れ)

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ミライハカイ

ミライハカイ■制作者/Enharmonic☆Lied & さつき晴れ(プレイする
■ジャンル/暗殺ロボットとほのぼの交流ノベル
■プレイ時間/30分

今際野俊輔は高校生。ある日彼のクラスに、来栖シルバという転校生がやって来た。シルバは未来から来たロボットで、なんと俊輔を暗殺する使命があるという。が、シルバはどうも真面目に俊輔を暗殺する気があるとは思えない言動ばかり。やがてだんだん仲良くなっていく俊輔とシルバだったが。ちょっとSF風味のドタバタ学園短編。

ここが○

  • 絵がとても可愛い。
  • 絵だけでなくシルバのキャラが可愛い。
  • 短編ながら、しっかり作られた3種類のエンド。

ここが×

  • テーマとしては少々使い古された感も。
  • 後半の事件は、少し唐突感。
  • 1人クラスメイトでもいれば厚みが出たかも。

■私が守ろう、貴方の未来

えんどれす・ばれんたいん」「おるばり!」シリーズのEnharmonic☆Liedさんと、「妹のコミュ力が皆無な件。」「イモウト及第点」のさつきちさんによる作品です。普段のEnharmonic☆Liedさんの、ちょっとレトロでドット絵の香りがする絵も捨てがたいですが、さつきちさんによるこの作品の絵は物凄く可愛くて魅力的です。

それでいて、BGMはEnharmonic☆Liedさんの曲そのものです。この曲を聴いていると、なんだか短編ギャグの物語が延々ループしていくような錯覚を覚えます(笑)。お互いが作品を公開している作者さんの合作は、色々な楽しみ方ができて面白いものですね。「ミライハカイ」。タイトルもなんだか意味深で、プレイ意欲をそそります。

ミライハカイ主人公の今際野俊輔は高校生。彼のクラスにある日やって来た転校生、来栖シルバ。ロボットが何事もなく転校してくるというのにも驚きますが、シルバはいきなり俊輔に対して、「貴方を暗殺する為にやって来た」と言います。宣言したらそれは既に暗殺じゃないのでは、という気もしますが(笑)、このシルバのどこか抜けた所のある性格がとても可愛らしく、俊輔とのやり取りもほのぼのします。

シルバは暗殺ロボットのはずなのに、妙にフェアなところがあります。そのずれっぷりがまた面白いのですが、ここでクラスメイトでも一人絡ませてみればより良かったかも知れません。そうすれば、ラストがより際立ったのではないかと思うのです。まあ、かなりの短編ですし、余計にキャラを増やしてごちゃごちゃするならば、シンプルにしてしまうのも一つの方法かも知れません。

そして終盤のとある事件。この事件については、一応その前に軽く触れられてはいるのですが、もう少し前からしっかりと伏線を張っておいても良かったような気がします。その事件が起こるに至って、シルバの本当の任務が明らかになるのですが、シルバの任務は前半ではどうせ隠されているのですし、事件についての伏線はもう少し堂々と張っていても、別段不自然にならず、そうすれば唐突感も減ったのではないでしょうか。シルバの任務が明らかになるのと、事件が同時に来るので少し唐突感を感じたんですよね。これを上手く分散させるのも、一つの手なのかな、と思いました。

この作品は、少しSF風味のある学園ものというところです。SFと言っても「ドラえもん的」くらいの感じ(ハッピーエンドは、非公式ドラえもんっぽい?)。そのSF風味のテーマは、さほど新しいものではなく、比較的昔からある手法です。しかし、手法自体はよくあるものながら、シルバのキャラクターが非常によく立っており、物語を盛り上げてくれます。定番の手法であっても、料理法、描写法次第では、いくらでもエンターテインメントとして面白いものに仕上げられるという好例だと思います。

事実「新しいアイディアなんだけど、楽しいかと言われると……」という作品もある中、こういう、手法はよくあるが、見せ方とキャラで楽しい物語に仕上げられた物語というのは、最近は意外なほど見ません。短編でありながら起承転結の作りも非常にしっかりしています。そういう意味で、非常に楽しんで読むことができました。

なお、主人公には望未という妹がいます。彼女も物語の鍵を握るキャラクターなのですが、あとがきを読むと、彼女には最初立ち絵がなかったそうで、さつきちさんの要望で立ち絵がついたようにも読み取れます。さつきちさんの「妹愛」はさすがだなと、改めて感心しました(笑)。こういう、予想外の膨らみを見せるところも、合作の面白さですね。

ツールはティラノスクリプトです。ダウンロード版はなく、ブラウザーでしかプレイできません。そして文章表示速度が変えられなかったりしますが、まあティラノという感じのプレイ感覚。短編ですので、特にプレイに支障はありません。ラスト近くの選択肢で、3種類のエンディングに分岐します。もちろんハッピーエンドが一番読後感が良いのですが、その他2つのエンドも捨てがたい味があって素敵です。最初から最後までエンターテインメント直球勝負の作品。絵も綺麗ですが、とても楽しめる短編です。
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