第561回/雀、雀、お宿はどこだ - ついのやどりは竹叢に(おおとり) - 不思議系
FC2ブログ

NaGISA net - フリーノベルゲームレビュー

ARTICLE PAGE

作品リスト − 新着順名前順プレイ時間順ジャンル別掌編
久住女中本舗作品リスト - 新着順/名前順
Peing質問箱(リクエスト、ご質問お気軽に)

第561回/雀、雀、お宿はどこだ - ついのやどりは竹叢に(おおとり)

不思議系
  • comment0
  • trackback-

ついのやどりは竹叢に

ついのやどりは竹叢に■制作者/おおとり(ダウンロード
■ジャンル/雀の恩返しノベル
■プレイ時間/1時間

柴田隆志は、間近に迫った学園祭で、大道具係に選ばれた。いつも通り絡んでくる幼馴染の織絵を適当にあしらいつつ、学園祭を成功させるべく怒涛の1週間が始まった。ある日自宅で弁当箱を開けたところ、中から長尾という少女が現れた。そして始まる隆志と長尾の騒がしい毎日。影から見つめる織絵。果たして長尾の正体は一体?

ここが○

  • 賑やかな学園祭前の様子が楽しい。
  • 微笑ましい隆志と長尾の会話。
  • 不思議で味わい深い雰囲気。

ここが×

  • 織絵の扱いがちょっとあんまりな気がする。
  • 主人公隆志の行動にも、ちょっと感情移入しにくい。
  • 攻略難易度が少々高く、苦労させられる。

■雀、雀、お宿はどこだ

初出2013年の作品。絵柄が手作り風全開なのですが、こういう手作り風の作品は実は結構好きだったりします。凝った作品にはない独自の味を持っている作品も多いですし、時々こういう作品を無性に読んでみたくなります。この作品は、内容も独特の味付けを持っており、オリジナリティの高い一本だと思います。「竹叢」は「たけむら」と読みます。

舞台は、学園祭1週間前のとある高校(多分)。主人公の隆志は、学園祭でのクラスの出し物であるお化け屋敷で、学園祭実行委員である鈴村織絵に大道具係に選ばれました。織絵は主人公の幼馴染でもあり、何かと言うと主人公に絡んできます。隆志は、無理やり選ばれた大道具係ですが、力を入れて取り組みます。

ついのやどりは竹叢にこの手の作品の主人公って、学校行事にはまともに取り組まない無気力な学生が多いんですが、主人公の隆志はかなり一生懸命に仕事に打ち込んでおり、印象がいいです。そして大道具係の仕事を終え、帰宅した隆志が弁当箱を開けると、何故かその弁当箱の中から女の子の首が!(右の画面写真) この絵はかなりインパクトがあります。この画面写真だけ見たら、ホラー作品に見えるかも知れません(笑)。

弁当箱から現れた少女の名前は長尾。苗字なのか名前なのか最後までよく分かりません。そして成り行きで始まる長尾との共同生活。いわゆる「ボーイミーツガール同居型」です。なのですが、明確な恋愛的描写は見られません。それでいて、幼馴染の織絵は、序盤からかなりはっきりと隆志に対してアプローチをかけてきます。中盤では、隆志と長尾を密かに後ろからつけてくるという、若干怖い描写も(笑)。

この辺り、長尾に対しては恋愛感情的描写がほとんどなく、織絵は恋愛感情むき出しというのが、ちょっとバランスの悪さを感じました。もうちょっと上手く三角関係に発展させてみるとか、隆志が葛藤する場面でも描いてみれば、3人の関係の面白さもあったと思うのですが、そういう方面の面白さはほとんどありません。隆志がまた織絵に冷たいんですよね(笑)。ここはもう少し何とかしようがあったのではないでしょうか。

そして長尾の正体が明かされてからの後半。意外とあっさりと終わってしまいますが、読後感は悪くありません。この作品、選択肢により3つのエンディングに分岐するのですが、大抵ノーマルエンドになるでしょう。グッドエンドとバッドエンドは結構難易度が高く、到達するのが大変です。作者さんのサイトにヒントがあるのですが、答えがずばり書いてある訳ではないので、それでも苦労するかも知れません。

グッドエンドよりも、実はノーマルエンドの方がすっきりとまとまっていて私は好きだったりします。グッドエンドだと、まあグッドな終わり方なのですが(何だそれ(笑))、蛇足のようにも、語り足りないようにも感じられるという、何とも言い難いラストですので、ノーマルエンドで十分のような気がしました。

全体に、素材は面白いのですが、どれか1つの要素をもう少し深く掘り下げてみれば、もっと面白くなった気がします。例えば、隆志と織絵の関係、隆志と長尾の関係、隆志と長尾の過去、長尾の正体などなど。色々な要素が出てくるのですが、どれも軽く流されるだけですので、そこが少し惜しく感じられました。が、軽妙な文章でテンポ良く語られるドラマは、この尺の物語としては十分楽しめるでしょう。

ツールはNScripter。プレイ時間は1時間くらいだと思いますが、選択肢の難易度が割と高いので、1時間では済まないかも知れません。NScripterらしく使いやすい既読スキップがあるので、繰り返しプレイもさほど苦にならないとは思いますが。見た目もシナリオも荒削りなのですが、洗練された作品にはないパワーがあり、特に隆志と長尾のやり取りは微笑ましく読めますよ。
関連記事

Comments 0

Leave a reply