第563回/光の彩り、色の愛 - 閃耀のモノクローム(NaN) - 不思議系
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第563回/光の彩り、色の愛 - 閃耀のモノクローム(NaN)

不思議系
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閃耀のモノクローム

閃耀のモノクローム■制作者/NaN(ダウンロード
■ジャンル/不思議の世界でエレメント探しノベル
■プレイ時間/30分

主人公が目を覚ますと、真っ白な部屋で見知らぬ少女と二人きりだった。少女の名前はアヤ。アヤは自分の事が何も分からないと言い、ただ主人公に、3つのエレメントを探さないといけないという。夢なのか現実なのかも分からない世界で、この世界から脱出すべく、主人公とアヤのエレメント探しが始まった。不思議な彩りの短編ノベル。

ここが○

  • 絵が非常に綺麗。
  • 夢か現実か分からない世界観をよく描写できている。
  • 選択肢1つで全く違う風味の落ちがつく。

ここが×

  • 前提の説明がないため、特に彩エンドには唐突感。
  • キャラクターに少し弱さを感じる。
  • 前半の引きが少し弱い。

■光の彩り、色の愛

たまには自分でも作品を探してみようと、ちょっと気になった作品をプレイしてみました。意外と最近は短編率が下がっていたので、30分くらいで読める手頃な作品をプレイしてみたくなったのです。「風見鶏は何を想うのか」の作者さんの作品ですが、あの作品同様、まず物凄く美麗な画像で目をひきますね。美麗な画像は素晴らしい作品の必要条件でも十分条件でもないのですが、これくらい美しいと、見た目だけでも「おっ」と思わせるパワーを持っています。

主人公が真っ白な部屋で目を覚ますところから物語が始まります。同じ部屋にはアヤという少女がいて、「エレメントを探さないと」と言いますが、この時点ではエレメントが何なのかも、その目的も全く分かりません。探せばここから脱出できるのかどうかも分からず、前半は読者に「この物語がどこへ行こうとしているか」を全く提示していないので、少し読者を引っ張る力が弱く感じました。とは言え短編ですから、こういう作りもありでしょうね。

閃耀のモノクロームそして、エレメントを手に入れる度にちょっとした試練のような描写があります。これも最初に読んだ時は全然意味が分からないのですが、最後まで読めば意味が分かります(愛弥エンドだけでですが)。何となくよく分からない不思議な雰囲気を積み重ねているのではなく、ちゃんと意味がある伏線になっているのが分かった時は、感心させられました。

ヒロインのアヤは、ちょっと性格が掴みにくいところがあります。エレメントを手に入れると性格がちょっと変わるような描写もありますし。2種類のエンドを見ると、意図してああいう掴み所のないキャラクターにしたのかなとも思えますが、もう少し主人公との絡みを見せるなどしてみたら、より魅力的になったような気もします。

後半の選択肢で、エンディングは2つに分岐します。グッドとバッドという感じでもなく、ノーマルとトゥルーという感じでもありませんので、「愛弥エンド」と「彩エンド」と表現する事にします。分岐ノベルだと、だいたいメインのエンディングに力が入れられていて、それ以外はおまけのような扱いの事も多いんですが、この作品はどちらのエンドもしっかり作られており、しかも両方がかなり味わいが違う余韻を残してくれます。これは上手い作りだなと思わされました。

愛弥エンドですと、上に書いたようにエレメントを手に入れる際の不思議な描写の意味も分かります。そういう点もありまして、どちらかと言えばこちらの方が読後のすっきりした感覚で読み終える事ができます。悲しい出来事もあったのですが、これから先に少し希望を感じさせてくれる終わり方でもあります。

愛弥エンドが現実的な不思議ストーリーだとすると、彩エンドはよりファンタジー方面に振った終わり方です。こちらだと、色々な描写の意味があまり明らかになりませんので、少し釈然としないところが残ります。こういう事態に陥る事になった前提がまるで描写されていませんので、若干の唐突感を感じるのは否めません(前提条件が描写されていないのは愛弥エンドも同じですが、あちらはそれほど気にならなかった)。しかし、ラストの蝶々など、愛弥エンドにはないワンポイントも見られ、これはこれで味わいのある終わり方です。

と、ヒロインのキャラクターには弱いところを感じますし、前半の引きが少々弱いかなとも思うのですが、その弱点の反面、全く風味の違う2つのエンドを楽しめます。ヒロインをもっとがっちりと設定し、前半にしっかり伏線を描写すると、今度はこのように2つの味の違うエンドを作るのが難しくなったと思われますので、この作品はこれでいいのかも知れません。

また、グラフィックスだけでなく、演出やエンディングもしっかりして、作り込まれている作品だなあと思わされました。ツールはティラノスクリプトです。選択肢は一箇所しかなく、その結果で分岐しますから分かりやすいですね。プレイ時間は30分です。決して難解な物語ではなく、読後には質のいい余韻を残してくれる物語ですので、ちょっと不思議な物語を読んでみたい方にお薦めします。
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