第565回/4つの小さな冬景色 - ノベルゲームアンソロジー「冬」(こたつワークス) - オムニバス・その他
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第565回/4つの小さな冬景色 - ノベルゲームアンソロジー「冬」(こたつワークス)

オムニバス・その他
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ノベルゲームアンソロジー「冬」

ノベルゲームアンソロジー「冬」■制作者/こたつワークス(ダウンロード
■ジャンル/冬のオムニバスノベル
■プレイ時間/30分

毎朝いつものT字路で親友のトモミと待ち合わせるチカ。後輩雪野の家に遊びに来た先輩氷沢、2人の他愛のない雑談。クリスマスツリーの飾りを探しに行く子リスの小さな冒険。そして冬山へ最後の星を見に行く3人の家族。冬をテーマにした4つの短編作品を集めたオムニバスノベル。

ここが○

  • 冬をテーマにしたバラエティ豊かな4本の物語を楽しめる。
  • 絵本のようだったりレイアウトが凝っていたり、一工夫二工夫が凝らされている。
  • 文字が大きくて読みやすい。

ここが×

  • 短編なのにテンポが良くないと感じる箇所も。
  • Windows 8以降だと、エンドロールで固まってしまう。
  • 読者の想像に任せるようなところは好みが分かれるかも。

■4つの小さな冬景色

この季節にぴったりの短編集をご紹介します。そして今年最後のレビュー作品です。「ときかけさんちの朝ごはん」の作者さんによる企画のようですね。あの作品も、レイアウトなどのセンスが非常に良く感心させられましたが、この作品も随所に凝った演出やレイアウトが見られて、工夫の跡が感じられます。

収められている作品は4人の作者さんによる作品が1本ずつ、全部で4本。この手のオムニバス形式の短編集って、立ち絵がある作品ってあまりないという印象なのですが、この作品ではどの作品にも独自の立ち絵や1枚絵があり、ビジュアル面でも楽しませてくれます。それぞれの作品で絵柄も全く異なるので、見ているだけでも楽しいですね。

ノベルゲームアンソロジー「冬」1作目は、「Tのマリーゴールド」。中学生のチカとトモミの友情を描いた物語です。途中、延々選択肢(選択が1つしかないので「選択肢」ではない気もしますが)が出てきて同じ描写が繰り返されるのが、少々テンポが悪い気がしましたが、中学生のちょっと複雑な友情を描いた物語として良くできていました。選択肢で2つの終わり方に分岐しますが、チカとトモミが幸せな卒業式を迎えるエンドの方が好みです。でももう1つの終わり方も、ちょっと苦い味があっていいですね。

2本目は「冬、駄弁る。」。なんて事のない、他愛のない雑談だけの物語ですが、雪野と氷沢の会話の端々から時々見え隠れする、ちょっと惚気た感じが何とも微笑ましいです。起承転結があるタイプの物語ではありませんが、寒い冬に少し心が温まる、ほのぼのストーリーです。

3本目は「ある特別な冬の日」。リスのお父さんがしばらく帰ってこれなくなり、クリスマスツリーの飾りができなくなったので、リスの子が飾りを探しに森の動物達を訪ねるという、絵本のような物語。絵も可愛らしく、動物達のキャラクターも個性的で面白いです。途中飾り物を選ぶ選択肢で、ラストの1枚絵が少し変わるお遊びもいいと思います。

4本目は企画主さんの作品「蚕の緞帳」。途中で出てくる料理が妙に美味しそうな描写だったり、どこか謎めいていて最後あっさり終わるところなど、「ときかけさん」を彷彿とさせるところもあって、随所に「らしさ」をうかがわせます。星の画像がとにかく綺麗ですし、独特のレイアウトが非常に目をひきます。少々読者の想像に委ねるようなところもあり、ここは好みが分かれるかも知れませんね。

なおこの4本目も選択肢で終わり方が少し変わります(3種類かな?)。基本的な終わり方は同じなのですが、少し味わいが変わりますので、全部見てみてください。私は、2回とも父親を選んだ時の終わり方が好きなのですが、2回ともよもぎを選んだ時の終わり方も素敵だと思います。

4本全部を読了すると、後書きが読めて、エンドロールも見られるようになるのですが、Windows 8以降の環境ですと、エンドロールがちゃんと再生されずに止まってしまいます(readmeにも書いてある)。謎な現象ですし、何とかならなかったものかという気もするのですが、プレイ上では特に支障があるわけではありませんから、Win 8以降の方は諦めましょう(笑)。それと、作品によって音量に妙に差があるのが少し気になりました。

ツールはLive Makerです。プレイ時間は、全4作の全部のエンドを見ても30分くらいだと思います。冬にプレイするのが一番でしょうが、あえて暑い季節にプレイして、寒い冬に思いを馳せるのもまた一興でしょう。ストーリーとは関係ないのですが、文字サイズが大きくてとても読みやすく、好印象でした。とにかく、4本の作品は文章や雰囲気だけでなく、グラフィックスもそれぞれ個性的ですので、そこに注目してみるのもいいですよ。
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